オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

【JALどこかにマイル実行記】オープントップバスの無理ムリ解説に、福岡県人の底力を見た。

JALの「どこかにマイル」に触発されて、2泊3日の福岡旅行に出かけた。

マイルを使うと言えば、香港やグアム、ハワイ旅行。国内旅行は新幹線がメインの私にしては、フレッシュな選択だった。

 (興味のある方は、こちらの記事もご覧ください)

www.tanegashimapi.com

 

福岡旅行中、印象に残ったものの一つが、市内の観光地をまわる「オープントップバス」。もともと、海外旅行では、周遊バスや川下りが好きで、必ず乗る。

エリア全体の様子がわかるし、歩かなくていいので、移動で疲れた旅の初日におすすめだ。

 

ところが、2012年にスタートしたこの「福岡オープントップバス」、2017年4月にようやく「30万人突破キャンペーン」をやったというテイタラク。こんなに面白いのに、年間6万人くらいしか利用者がいないというのは、どうしたわけか。

 

もともとの見込みも年間5万人だったようだが、観光客数に比して少なすぎる。

ここは、ぐいぐい推していきたいと思う。

 

福岡オープントップバスとは?

福岡オープントップバスとは、屋根のない2階建てオープントップバスに乗って福岡市内の観光名所をまわる"アトラクション"。西鉄バスが運行している。

 

車輌は、2階建てオープントップとしては日本初の国産オーダーメイドで、日野自動車製。車輌マニアも、ぜひ試乗体験してほしい。(写真をサイトからお借りしました)

 

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どんなコースがあるの?

コースは、4つ用意されている。(一部情報を修正しました。20170808時点の情報です)

シーサイドエリアをまわる「シーサイドももちコース」約60分

街なかをまわる「博多街なかコース」60分

福岡の夕景・夜景を堪能する「きらめきコース シーサイドももち80分

夜の福岡空港をめぐる「きらめきコース福岡空港約70分

 

私がチョイスしたのは、「福岡きらめき夜景コース(2017年6月時点の情報です。現在は「「きらめきコース シーサイドももち」に変更されています)」。18時出発と19時出発があり、博多地区や福岡タワー、高速道路からの夜景を堪能できる(はず)。 

所要時間は約80分で、料金は大人1540円、小学生までの子ども770円。事前に予約して、天神・福岡市役所前に集合する。

(予約の仕方はこちら。情報は時期によって変更されますので、コースや出発時間はご確認ください。) 

福岡オープントップバス – 見たことのない街の景色

 

90分で1540円とは、かなり良心的な価格設定ではあるまいか?

香港のオープントップバスなら3500円くらい、パリの夜景観光バスも4900円ほどした記憶がある。

わくわくしながら、ホテルからタクシーに乗り、集合場所へ向かった。

しかし、タクシー車内での運転手さんとの会話といえば・・・

 

「福岡市役所までお願いします。観光バスの乗り場があると思うんですが」

「あー、2階建ての走っとーね。お客さん、県外の人ね?」

「そうです。市内でお勧めの名所や旧跡はありますか?」

「いや・・・なーんもないね。うーん、ないねー」

「えっ、ない? 福岡城はどうですか?」

「あれは、建物が残ってるわけじゃないから見に行ってもね・・・」

「え゛・・・見ごたえがないってことですか?」

「ないでしょうね」

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「ほかに、人気の場所はありますか?」

「いやー、タワーに登っても大した景色はないしね。観光客の方がどこを見にくるんだかと思うんですよね」

「これから、オープントップバスで市内を回るんですけど・・・」

「ははは、何を見せて回るんでしょうね」

 

こんな感じで、自虐的を通り越して、若干の不快感を感じるほどであった。

もっと、郷土に誇りを持って、大したことないものでも10倍、100倍にしてアピールしてほしい。これから乗る「福岡オープントップバス」のように!!

 

 

 夜景コースに乗ってみました!

さっ、気を取り直して、オープントップバスに乗り込みますよ!

 

なんと満席で、私は一番うしろの席をゲット。まったりとバスは発車した。 

バスの最後尾、つまり私の横にはバスアナウンサー(一般で言うところのバスガイドさん)が着席。マイクを手に、ライブで観光情報を読み上げてくれるのだ。これが、後々に悲劇を生む・・・

 

まずは、明治通りを抜けて博多駅前へ。3.2メートルの高さから見る街は、視界が開けて気持ちいい~。

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バスには日本人観光客のほかに、韓国人観光客が数組乗っていた。

 

当日の昼間の気温は30度近く。涼しい夜風に吹かれながらのデートなのか、みなさん露出の多い服装である。これも後から悲劇を生む・・・

 

博多駅を過ぎると、有名なラーメン店 一風堂のビルが見えてきた。なんと、ビルのバルコニーのような場所で、生バンドが道路のほうを向いて演奏しているではないか。

オープントップバスのためのサービスなのかどうかはわからないが、テンションがめちゃめちゃ上がる。

 

ここで、「本日は、外国からのお客様もいらっしゃいますので、複数の言語でのご案内をさせていただきます」という車内アナウンスが。

見ていると、バスアナのお姉さんが日本語で旧所名跡の案内をするスマートフォンのスタートボタンをクリックし、マイクを近づけて録音されている韓国語の案内を流す終了すると一時休止ボタンを押す日本語の案内⇒スマホのスタートボタンを押す。を繰り返していた。

 

なんという、事務処理能力の高さ!!  私だったら、スマホのボタンを押し間違えて、きっとグダグダになるであろう。

ちなみにバスアナは、地元のプロダクションに所属するモデルさん、タレントさんだということであった。

 

やがて、櫛田神社を過ぎたあたりで、市内には旧所名跡があまりないことが判明する。

しかし、どこかの国のぼったくり観光バスと違って、バスアナのお姉さんは必死に紹介ポイントを見つけてアナウンスしてくれるのであった。

 

  • 「このビルには、スターバックスが入っております」「このビルの結婚式場で披露宴を行うカップルも」といった、商業ビルの紹介。
  • 「バスの高さは、3.2メートル。3.2メートルの高さから、3.2メートルの高さから、みなさんお楽しみください」という、バスの高さの連呼。
  • 「このミスタードーナツの店内には、メリーゴーランドがあります。メリーゴーランドがあるミスタードーナツは日本に3カ所で・・・」といったトリビアの泉的な情報。

だが、徐々に夜風が強く吹き始め、同時に「えー、みなさま」「えー」という繰り返しが多くなっていく。

 

手が冷たくなってスマホの操作がしにくいのか、日本語アナウンスと韓国語アナウンスのタイミングもズレ始めた。日本語では寺院のアナウンスをしているのに、韓国語の説明は「長浜らーめんの替え玉の注文法」だ。

 

あせるバスアナ。前の席の韓国人カップルも、けげんな顔をしてバスアナのほうを何度も振り返っている。

やがて、意を決したバスアナが、プチッと韓国語のアナウンスを切った。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」の精神か。

 

さっ! そんなことは気にせずに、高速道路へ入ってまいりましょう。

 

「みなさま。ここからは、都市高速道路でジェットコースター気分を楽しんでいただきましょう!」

バスが速度を上げ、アナウンスにも勢いが戻ってきた。

 

しかし、高速道路に入ると、ものすごい強風がバスを襲う。昼間、暑かったせいか濃霧が発生し、夜景は霧の中にかすんでいる。

 

「みなさま、手を放していただくと、ジェットコースター気分が盛り上がりますぅ

何人かの乗客が手をあげて「キャー」と歓声をあげる。そして、すぐ降ろす。

なにしろ、風が強い。寒い。息ができない。

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頭上の「事故多発注意」という看板が目に入り、恐怖感も襲ってくる。

 

だが、前の席の韓国人カップルは、強風をものともせず、しっかりと抱き合っている。これが、韓流パワーというものか??

 

と思ったら、違ったようだ。途中でバスがスピードを落とすと、韓国人カップルが座席に備え付けられた説明書をバスアナに示しながら、「レインコート、レインコート」と必死に叫んでいる。

 

タンクトップ&チューブトップ姿で強風にさらされ、凍え死にそうになっていたために、抱き合って暖をとっていたらしい。カップルがレインコートを支給されると、再びバスは高速道路を飛ばし始めた。

 

ぎょえー、寒いー、息ができないー、会話もできないー。

 

なにしろ、90分の道のりなので、メインイベントの高速道路ジェットコースターに割り当てられた時間は長い。高速道路を下りる頃には、髪はぼさぼさ、身体は冷え切り、マスクをしてくればよかったと後悔するまでになっていた。

 

 福岡に行くなら、絶対おすすめ

しかし、私はこの福岡オープントップバスに、福岡県人の底力を見た。

  • まず、料金がリーズナブル。市の税金を投入したことで、一部に非難ごうごうだったにもかかわらず、県外・国外の観光客に赤字を埋めさせるようなセコイ真似はしない。
  • 時間はたっぷり90分。30分でお茶を濁したりせずに、乗った人が一生忘れられないような時間設定にする。
  • 有名な観光地が少なくても、時間はたっぷり90分。どこかの国のオープントップバスのように、まずいディナーとセットにしてごまかしたりせずに、"乗車"だけで勝負する。

 

福岡は、九州の経済の中心地。ただ中心地であるというだけでなく、日本経済全体が低迷していた時期でも、仕事で行くと東京や他の地方都市にはない活気が、駅周辺に感じられた。

なんの統計にも基づいていないが、福岡オープントップバスに乗ってみて、"福岡の強さ"みたいなものを、私は感じたのである。

 

これから、暑い夏がやってくる。観光でも出張でも里帰りでも、福岡に行く際には、息もできないほどの強風を記憶に刻み込んでくれる福岡オープントップバスを、ぜひお楽しみいただきたい。

 

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