オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

「表彰台の頂点は一つだけ。でも、勝者になれる瞬間は誰にでもある」。カロリーナ・コストナーISUインタビュー翻訳/後半。

カロリーナ・コストナー選手のISUインタビュー後半です。

しっかりした意志と意見を持った知的なコストナー選手。近い将来、イタリアからすばらしい後輩選手たちが現れそうな予感がします。

前半はこちらをどうぞ。

www.tanegashimapi.com

 Q しんどい時もあるでしょ? 怪我とか失敗とか。

C 今よりよくなろうとするには、練習であっても、自分の限界をちょっぴり超える必要があります。もし、今すでにできていることだけ練習していたら、同じ水準のままです。大事なのは、「失敗してもいいんだ」って自覚していること。うまくやれないかもしれないけれど、だからと言って、ダメな人間だっていうことじゃないのよ。

若い人たちをインスパイアする(鼓舞する、発奮させる)ことは、私にとってとても重要なこと。イタリアには、やる気に満ちて、スケートがしたくて、才能のある少年少女がたくさんいます。どの国にも、才能のある若いスケーターはいるんです。

彼らが一生懸命練習し、忍耐強さと勇気を持っているなら、正しい方法で導き、サポートし、何かを成し遂げられることを見せてあげたい。(何かを成し遂げるというのは)たくさんの要素が合わさった結果なので、自分を最大限に活かせることが、もっとも重要なことなんです。

残念ながら、表彰台の頂点は1つだけ。でも、その人個人の中にも、勝者になる瞬間はある。新しいことを学んだとき、出場したかった大会に出たとき、新しいジャンプが跳べたとき・・・。

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Q 世界選手権の後は、何をしていたの?

C 家にいました。普段は、(ミーシンがいる)ロシアのセントペテルスブルグと(ローリーのいる)カナダのトロントで時間を割かれているので、家族と(イタリアで)過ごしました。弟のサイモンがアルペン・アイスホッケーリーグのプレイオフで、チームが優勝したのよ。彼の試合をたくさん観戦して、一緒にいろんなところへ顔を出したわ。過去2、3年の間に家族に起こったことが、私を強くしてくれた。小さい頃からそばにいてくれた祖母が亡くなったこととかね。家族と過ごしたことが、また(スケートをするために)海外へ出る強さをくれました。

(そっくりの弟さんを見たい方はこちらへ)

Highlight year for Kostner - 2017 WM - International Ice Hockey Federation IIHF

Q どのくらい家族と一緒に過ごしたの?

C 1カ月くらいかしら。所属チーム(陸軍スポーツ部隊)がベースを置くローマにもいたし。そこで、氷から離れてトレーニングをして、身体を適応させていったの。最初は、気持ちを充電し直して、ゆっくりと身体を適応させていきました。それから、5月の半ばに、タルトゥ(エストニア)でアレクセイ・ミーシンの訓練キャンプに来ました。

でも、氷から長く離れていた時期はなかったですね。家の近所にもリンクがあるので、滑りたいと思ったら滑りに行っていたし。本当に、スケートなしでは生きられない!

でも、朝起きて朝食を食べてのんびりするのっていいですよね。(通常は)トレーニングの時間が予約されているから、一年中スケジュールがキチキチなんです。道路で練習をするランナーやサイクリストと違って、(アイスリンクを予約して)練習しなくてはならないので。時間と時間厳守に縛られているんです。だから、たいしたスケジュールもなく家にいて、「お茶する時間ある?」って友だちに電話して会うのっていいですよね。

Q 次のシーズンの準備は、どんな予定を立ててるの?

C  日本でファンタジー・オン・アイスに出演しました。日本に行ってショーで演技をするのは、いつも楽しみなんです。同じ滑るにしても、2つの側面があるから。ショーでは、感情をこめて音楽と共に演技できます。

それからトレーニングに戻るんです。フランスのクールシュヴェルでミーシンのキャンプに参加して、カナダのローリーのところへ行く。音楽を決めて、ルールが変わったところがあれば確認します。そこから、プログラムづくりに入っていくんです。

 Q シーズン前半に、グランプリシリーズの他に競技会に出るつもり?

いくつか出るのが目標です。イタリア(ミラノ)で世界選手権が開かれるのを、本当に楽しみにしているんです。チームみんなが楽しみにしています。私たちのチームは、この数年で本当に一つになりました。長年、そばにいた経験豊富なスケーターがたくさんいます。すばらしいことだし、またチームの一員に加われたことが幸せなんです。私がチームを離れていた時期なんてないかのように、彼らは私を歓迎してくれました。 

Q 今季のプログラムについて教えてくれない?

まだ何も決まっていないの。「これが私よ」っていうものを探しているところです。華やかで、私に喜びをもたらしてくれるプログラムを。感じた喜びを氷上に投影したいんです。もちろん、リズムも含めて自分に合った音楽であることを前提に。

過去には、選択が難しかったこともありました。好きなジャンルの音楽はたくさんあるし、世界選手権はイタリアで開かれるし・・・そのプログラムで私がどうなるかを考えています。

曲を氷の上で聴いてみて、動いたり踊ったりしたくなるか感じてみる必要があるんです。ときには、スタジオで聴いたときは、演技にふさわしいすばらしい構成だと思う曲があります。壮大な締めの部分とクライマックスがあり、スピードの速い部分とゆっくりな部分があるような。

でも、氷の上で滑ってみると、いいんだけど、なんて言うか・・・すばらしいけど特別なものを感じないことがあるんです。2、3日その曲で滑ってみると、「違う、これじゃない」とわかるんです。

そういうときは柔軟に対応します。2013年の12月みたいに、途中で曲を変えたこともあります。*(SPを「ユーモレスク」から「アヴェ・マリア」へ、FSを「シェヘラザード」から「ボレロ」へ変更して大成功した)

変えられるのよ。(まずはその曲に)挑戦してみるべき。でも、よくないと思ったら、それを受け入れなくちゃ。その曲・プログラムを気に入っているときは、あきらめるのは難しいけれどね。

でも、変えてみたら前進する機会が生まれるし、何か別のすばらしいものが見い出せると思います。完璧な選択なんてないわ。すぐれた選択か、事態を難しくする選択か、ということだと思います。

(インタビュアー)インタビューに答えてくれてありがとう。すばらしいシーズンが訪れますように!

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