オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

年に一度の母娘旅行。「マイブック」にまとめれば、何度でも幸せな記憶がよみがえる。

一年に一度、離れて暮らす母と一緒に旅に出る。

 

成田空港で落ち合って海外へ出かけたり、国内の空港のロビーに現地集合したり。

私にとって、もっとも大切で幸せな時間の一つであり、すべてのスケジュールに優先するイベントである。

 

と書くと、親孝行な娘のように聞こえるだろうか。

実は、私はそうとうな親不孝で、20代、30代の頭までは、仕事が忙しいことを言い訳に、実家に連絡一つ入れない娘だった。

 

しかし、母が私を責めたことは一度もない。

夢や才能がありながら、女性が自由に仕事をするのが難しい時代を生きた母にとって、私が仕事で活躍することは、何よりの喜びだったからである。

 

私が自分の親不孝ぶりに気が付いたとき、母はすでに60代半ばに差し掛かっていた。「足腰がしっかりして、石畳の道を元気に歩けるうちに、夢だったヨーロッパの国々に連れていきたい」と思ったのが、母と旅行をするようになったきっかけである。

 

とはいえ、母と娘の関係は、この世でもっとも難しい。

旅の計画を綿密に立てる私と、ガイドブックさえ読んで来ない母。

荷物をなるべく少なくして、両手を空けて行動したい私と、引っ越しでもするんじゃないかと思うくらい大荷物で空港に現れる母・・・。

「旅行中は絶対に怒らないぞ」と思っても、1週間も一緒にいれば、くだらない小競り合いが勃発したりする。

 

最初の旅から帰ったときは疲れきって、「もう、無理。二度と一緒に海外なんて行かない!!」と思ったものだ。

 

それでも、「そういえば、ドイツに行ったことないなぁ」なんて電話で言われると、「ふーん。じゃあ、ベストシーズン調べておくね」となって、半年後には空港に集合することになる。

 

懲りずに「また一緒に旅行したい」とお互いに思う、大きな役割をはたしているのが、アルバム写真集をつくることだ。

 

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「マイブック」作りも旅行の一部分。もう、10冊以上作っている。

 

最初は普通のアルバムを作っていたけれど、写真をプリントしてコメントを書き、同じものを2冊作るのは骨の折れる作業だった。

 

そんなとき、デジタル写真をインターネットから送るとオリジナルの写真集にしてくれるサービスを知った。

 

何社か試してみたけれど、私に一番合っているのは、アスカネットという会社が出している「マイブック」という商品だ。母との旅行以外も含めると、10冊以上作っている。

 

最大の特長は、

・各ページに写真を何点、どう配置するかを、専用のソフト(無料ダウンロード)を使って細かく指定できること。

工夫すれば、見開きに35カットくらい写真を入れることができるので、あの写真もこの写真も入れたい私は、とても助かっている。最後のページに、旅行中に食べたものをずらーと並べるのもいい。


・各写真に、いくらでもコメントをつけることができる。
もちろん、文字の配置や大きさ、書体も自由。私は、旅行から戻ってからガイドブックをチェックし、観光地の正確な名称や情報を入れている。旅行社のサイトから、説明文をコピーして、貼り付けちゃったりすることも(テヘヘ)

 

・イラスト読み込みや簡単な画像加工もできる。

暗めに映った顔を、白く美しく加工できるし、撮影し忘れた名所旧跡の写真をネットの無料ダウンロードサイトから探してきて補うこともできる。


・旅行記のほかに、作品集としての使い方も。

私の母は俳句をやっているので、旅先で詠んだ句を写真に添えて、句集のようにすると喜んでくれる。反対に、出来あがった「マイブック」を見ながら、旅行中の光景を思い出して俳句を詠むこともあるようだ。

 

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・サイズもいろいろで、高級感がある。 

人に見せると、「すごいね。自分で作ったの? 本みたい」と100%驚かれる。母は、俳句の会でうれしそうに見せて他の会員に妬まれているようだ。

 

私はもともと、「写真を撮るよりも、風景を目に焼き付けるほうがいい」などと言って、写真を映さないほうだった。

 

でも、「マイブック」を作るようになって、わかったことがある。

風景や光景を目に焼き付けようとすると、一番印象に残っている場所や出来事だけしか覚えていない。

でも、「マイブック」にまとめておくと、ページを開くたびに「あんなことがあった」「こんなものを食べた」という光景が、次々と浮かび上がってくる。時間がたっても、想い出があふれ出てくるのである。

 

だから、「マイブック」を作るまでが、私の旅行の一部になった。

旅先では、たくさん、たくさん、母の写真を撮る。

たぶん、世界中で一番、母をきれいに映せるのは私だ。