撮影:Kim Hong-Ji/Reuters
あくまでも想像ですが、このブログには、毎日寝る前に宇野昌磨選手のビデオを見に来てくれている人が、けっこうな数いると思う。
確かに、音楽と一体化して自由自在に伸縮するバネや、スイーッと氷の上を移動する開放感が、睡眠前のひとときによく似合う。
特に、ミスなく完璧に滑り切ったときの演技を見ると、心が解き放たれて、気持ちよく眠りにつける気がするのだ。
そんなときに見る演技の解説は、ブリティッシュ・ユーロに限る。
演技に興奮していても、口調はあくまでエレガント。適度な低音ボイスが、氷に吸い付くような宇野選手のスケーティングとマッチする。
「ファンタスティコ!」と絶叫してくれるイタリア解説や「オー・ラ・ラ!」と驚いてくれるフランス解説も楽しいけれど、お日様の出ている時間向きだ。
「私のかわいい坊や」と抱擁してくれるタラソワ解説は冬の夕暮れ、やたら早口なアメリカ解説は、15時のティータイムがちょうどいい。
さて、寝る前の演技としておすすめの作品を。
突如として苦手な3Aを克服し、4回転まで身につけて、破竹の勢いでシニア勢を震撼させた2014年シーズンのJr.グランプリ・ファイナル。
一滴のエネルギーも出し惜しみせず、リンクを縦横無尽に滑りぬけたエキジビジョンを、ブリティッシュ・ユーロ解説で振り返ってみたい。
もっとも、解説者も演技にひきこまれて、ほとんどコメントはありませんが。
2014年Jr.グランプリ・ファイナルEX ブリティッシュ・ユーロ解説
曲はヴァネッサ・メイの「The Blessed Spirits」(祝福された魂)。
えー、名古屋の・・・(資料確認中)16歳ですね、ショーマ・ウノ!
あと数日でお誕生日です。
ジュニア・グランプリ・ファイナルで金メダルを獲るとは、なんて素敵な誕生日プレゼントでしょう。
--演技スタート--
4回転トゥループ(解説者心の声⇒ん、エキジビションで4回転? しかもこの暗闇の中で?)
トリプルアクセル(解説者心の声⇒たっ、高い)
音楽が力強さを増していく。ドンドコ、ドンドコ、ドンドコ・・・
音に負けていない力強いスピン。会場から手拍子。
3回転フリップ(解説者心の声⇒なんだこの試合みたいな構成は!)
(両手をバンッからの)ステップシークエンス(解説者心の声⇒やばい、金縛りだ。目をそらせない)
クリムキンイーグル(解説者心の声⇒なんという腹筋と股関節。私には無理だ)
--演技終了--
(ショーマの微笑みで我にかえった解説者)
なんというすさまじい才能の持ち主でしょうか、この若者は。
問答無用で魅入らずにはいられませんでした。
楽しんでいただけましたか? 私はとても気にいりました。
(完)