オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

SP曲は「天罰」。五輪の年に難解な曲を選んだネイサン・チェンが、クール過ぎ。icenetwork一部翻訳。

こんばんは。おでこをかすめる秋の気配に、ちょっぴり切なさを感じる 種子島ぴーです。秋はあんまり好きじゃないなー。

 

さて、9月に入り、USインター、ロンバルディア、オータムクラシック、オンドレイ・ネペラ、ネーベルホルンと、ISUのチャレンジャーシリーズが立て続けに開催されました。

 

ネイサン・宇野・羽生・フェルナンデス・ボーヤン(国内大会?のホームビデオですが)各選手の新作がお披露目されたわけですが、私が一番驚いたのは、ネイサン・チェン選手でした。

 

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photo by Melissa Majchrzak Posted 9/18/17 icenetwork

 

どうしたネイサン? なぜ、こんな難しい曲を??

ネイサンと言えば、全米選手権で優勝して以来、アメリカ期待の星であり、「平昌オリンピックで最もメダルが期待できる選手の一人」として、米国民全員から(言い過ぎ?)期待されています。

 

「どうすれば金メダルが獲れるか」ってことを、第一に考えそうじゃないですか。

と・こ・ろ・が、彼がSPで選んだ曲は、Benjamin Clementiceの「Nemesis」。聞いた瞬間、見た瞬間、「うぉー、難しそう」と誰もが思うであろう曲なんです。

 

なにしろ、Benjamin Clementiceが演奏する「Nemesis」は、テンポの速い三拍子。音に乗るのが難しそうなうえに、ピアノの鍵盤をたたく音が耳に残るけれど、単調にも聞こえてしまう曲。

 

加えて、振付はシェイ=リーン・ボーンです。選手が動きやすいコリオを考えるというよりも、プロ好み、技巧的、挑戦的なコリオの印象があるのですが、みなさんはどうですか? 見ているほうは、新鮮で楽しいんですけどね。

 

で、ネイサンはと言えば、初戦からこの難しい曲に4回転を入れながらグイグイ挑んでいるんです。

 

「Nemesis」を直訳すると「天罰」。

 

「天罰」ですよ!! 「誰も寝てはならぬ」(トゥーランドット)どころの騒ぎじゃありません(笑)。曲の解釈とか、どうなるんだろう?? 

五輪の年にこれをやるネイサン・チェン、最高にクールだ!!

 

 

ネイサンの新プロ「Nemesis」はこちら


Nathan Chen US Int'l Figure Skating Classic 2017

 

どうですか、コリオも身のこなしも、知的&素敵じゃありませんか?

2度、3度見ると、ますますかっこよくなっていきますよ。バレエ音楽やサウンドトラックのイメージが強かったネイサンですが、完全に殻を破った感じで、最終形が楽しみです。

 

さて、ネイサンの初戦USインターについての記事を、おなじみicenetwork のフィリップ・ハーシュ記者が書いているので、音楽の部分だけ訳してみました。

Chen chooses non-traditional music.

web.icenetwork.com

 

ネイサン・チェンは、伝統的でない曲を選んだ。

昨シーズン、ネイサン・チェンは、4回転ジャンプの歴史を塗り替えただけでなく、挑戦するリスクを受け入れたことで脚光を浴びた。

 

オリンピックシーズンの初戦であるUSインターナショナルで、彼は、ほとんどのスケーターたちが、「トゥーランドット」や「カルメン」「オペラ座の怪人」など、嫌になるほど使い古された曲で安全に演技をしている中、危険を冒した選曲をして目を引いた(おやおや~? )

 

チェンは、振付師シェイ=リーン・ボーン(SPをBenjamin Clementineバージョンの"Nemesis")とローリー・ニコル(映画『小さな村の小さなダンサー』から、ストラヴィンスキーの『The Rite of Spring』の力強い楽節を使ってフリープログラムを創り上げた)に曲を選んでもらった。

 

「どちらのプログラムも気に入ったよ」と、コーチであるラファエル・アルトゥニアンは言う。

 

「どちらのプログラムの曲にも、特にストラヴィンスキーの曲は、無骨で荒々しく、シンコペーションのある部分が含まれています。フィギュアスケートの動きは主に、スタッカート(切音)やアクセントよりも、流れるようにカーブを描き、上品です。つまり、18歳のネイサンがコリオ的に曲を解釈するには、今シーズンはより時間を必要とするだろうと分かったうえでの挑戦です」

 

「僕のゴールは、フリープログラムを一つの作品として仕上げることであり、技術的に自分がどこまで到達したかという頂点を築くことです」と、ネイサンは話す。

 

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