オリンピックで3Aを跳んだ初の米国女性
「誰が何色のメダルを取ろうと、何点取ろうと関係ない。これは私のオリンピック」。 バンクーバーオリンピックのインタビューで、長洲未来が放った一言が好きだった。あの時も彼女は、すべての力を出し切った演技をして、心から幸せそうに見えたっけ。
その彼女が、物議をかもした4年前の疑惑のソチオリンピック落選から、「もう一度、オリンピックチームに選ばれるために、スペシャルなものが必要だと思った」と挑戦を始めたトリプルアクセル。
これまでの成功率を考えれば、オリンピックで跳んで成功するとは思わなかったし、「跳ばないほうがいいのになぁ」と思っていた。 なのに、チームの銅メダルがかかった大事な場面で、加点付きのトリプルアクセルを決めるなんて! リンクで雄叫びをあげる長洲未来は、心が震えるほどかっこよかった。
ごめん、ごめん、忘れてた。彼女は真のアスリート。トリプルアクセルを跳ばないなんて、ありえないよね。
高得点をたたき出す女子選手は多いけれど、大勝負を挑む女子選手は、多くない。アメリカフィギュア女子史上、初めてオリンピックでトリプルアクセルを跳んだ女性。不条理を乗り越え、最後に栄光を手にした女性。
長洲未来の物語は、この先、ずっと語りつがれることになる。
イスラエルのブキャナン選手
長洲未来の言葉、「これは私のオリンピック」を借りるなら、イスラエルのエイミー・ブキャナン選手もすごいと思った。
彼女の点数は46.30。トップのメドベージェワ選手の約半分だ。実力の違いすぎる人々の中で戦うって、ものすごく怖いことですよね。私だったら、ひるんで転んで、照れ隠しに笑うんだろうな。
でも、ブキャナン選手は、ひるむことなく、自分を卑下することもなく、自分の演技をやりきって、輝く笑顔でガッツポーズ。自分を誇りに思える瞬間は、点数に関係なく素敵に見えた。
日本応援席のコーチ陣も、素敵だった。選手ばかりにスポットライトが当たるけれど(ランビエール伯爵のぞく)、コーチだって、365日、寒いアイスリンクで頑張っているわけだから、オリンピックに参加している喜びが伝わってきて、じーん。「コーチをオリンピックに連れて行く」って、最高の恩返しですよね。
選手がそろってないぶん、コーチが席に座れてよかった。
本日の幸せシーン
そのほかにも、今日はいろいろと幸せなシーンを見せてもらった。
・キャリアの最後に、金メダルを手にしたパトリック・チャンにおめでとう!!
何はともあれ、稀有なスケーターだから。
・オリンピック出場権を得て、メダルを手にしたアダム・リッポンと長洲未来におめでとう!!
・団体戦のショートもフリーも滑るのは厳しいかも・・・と言いながら、頑張って滑ってメダルを手にしたシブタニ兄妹におめでとう!!
ステキな写真がアレックスのツイッターに載っていたのでリンクさせていただきます。
THIS TEAM!!!!! 🙌🏼🇺🇸 pic.twitter.com/9Z6RxNtwKX
— Alex Shibutani (@AlexShibutani) 2018年2月12日
いま、NHKのオリンピック放送を見ながらブログを書いています。スキージャンプとスピードスケートの試合を涙しながら見ているわけですが、政治ショーと化した史上最低のオリンピックに辟易していましたが、ようやく選手が主役になってきました。
今週は、寝不足になりそうです。