点数がどうとか、ジャンプが成功するとかいうことよりも、
演技からその人の生きざまが見えることに、胸を打たれることがある。
この2日間の宇野昌磨の演技は、まさにそんな感じだった。
昨シーズンからずっと負荷のかかっていた足首が、顔をゆがめるほどの痛みを伴って、何らかの故障を抱えていることはわかっていた。
それでも出てきて、演技をするだろうことも、わかっていた。
知りたいのは、その状況で、昌磨がどんな人間性を見せてくれるのか。
逃げ道を残しつつ演技をして、演技構成点の高さで、かろうじて三連覇するような試合なら、全日本選手権は残念なものとなる。
ほとんどのジャンプを失敗しつつ、照れ笑いを浮かべながら優勝することも考えられた。
でも、昌磨は、凡人の予想を一笑に付すかのように、超人的な集中力と気合で、神がかった演技を見せてくれた。
怖ろしいまでの気迫に、リンク全体が凍りつく。
邪悪なものを寄せ付けないような、確信に満ちた瞳。
私は、月光の中で立ち尽くす人のように、ただ演技の衝撃を受け止めていた。
クリスマスイブに、お腹の底から力を込めて、「優勝おめでとう」と叫べる幸せをありがとう。
昌磨、あなたは本物の全日本王者です。