オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

“かおちゃん愛”にあふれるICE TIMEの記事翻訳「坂本花織の全日本優勝は、驚くにはあたらない」。

こんばんは。大雪の札幌で、足元のおぼつかない種子島ぴーです。

東京も、明日は雪がふるのかなー。

f:id:tanegashimapi:20190109182510j:plain

さて、全日本選手権で坂本花織選手が優勝した直後に、同じチャンネルで紀平梨花選手の特番が始まって、なんだか奇妙な感じがしてしまいました。

紀平選手も好きなので、番組は見ましたが、「紀平選手が優勝すると思ってたんだろうな」と。番組編成としては、なかなか大胆な賭けですよね。

 

で、先日、webニュースで、「坂本選手が優勝して、ノーマークだった記者席から『坂本の情報がない』という困惑の悲鳴が」みたいな記事を見まして…

f:id:tanegashimapi:20181229155153j:plain

いくらなんでも、スポーツ記者であれば、そこまで不勉強なことはないだろうと。芸能記者が、面白おかしく書いているだけだと思われます。

 

ということで、前々から訳そうと思っていたICE TIMEの坂本選手の記事を翻訳させていただきます。

坂本選手をずっと追ってきたJACK GALLAGHER氏による記事です。“かおちゃん”が折り紙が好きなことまでも知っています(笑)

 (一部、私の言葉に意訳していることをご了承ください。写真は記事中のものではありません)

 

「才能あふれる振付師ブノワ・リショーにとって、坂本花織の躍進は驚くにはあたらない」 

 BY JACK GALLAGHER

 

力を蓄え、快進撃を続けてきた。

坂本花織の全日本選手権優勝は、印象的な出来事でした。一年で最も重要な国内大会で、見事にやってみせたのです。

 

18歳の彼女が、4度の全日本優勝者である宮原知子から女王の座を奪い、グランプリファイナルで優勝した紀平梨花を破ったことを、意外に思った人もいたかもしれません。けれど、私たちICE TIMEにとっては、驚きではありませんでした。

 

彼女は、この数年、勢いづいていたからです。1月の四大陸選手権での優勝に加えて、6位になった平昌オリンピック、さらにはグランプリシリーズでは2大会で表彰台に昇る強さを見せ、今秋は一貫して上昇気流に乗っていました。

 

そして、日曜の夜、彼女がすばらしい才能を融合させ、フリーで152.36のパーソナルベストを叩き出して全日本で優勝すると、(上昇気流は)最高潮に達したのです。

 

f:id:tanegashimapi:20181223224745j:plain

 

実際、坂本は、成功と縁遠い選手ではありません。2012年のノービスチャンピオンであり、2016年に札幌で開かれた全日本ジュニアでは、ジュニア世界選手権女王の本田真凜を破って優勝しています。

横浜で開かれたジュニアグランプリで、本田に勝った2カ月後のことです。

そのシーズンに、ジュニアグランプリファイナルとジュニア世界選手権で銅メダルを取っています。

その後、シニアに鞍替えし、昨シーズンのスケートアメリカで2位になって快進撃を続けました。

 

彼女は優勝したものの、魅惑的な本田や潜在性を秘めた紀平の陰に隠れていたかもしれません。

が、その間に、チャンピオンは力を蓄えていたのです。

 

ジャンプだけの人ではない。

私たちICE TIMEが心配していたのは、国内外のいわゆる“専門家”たちが、坂本を“ジャンプだけの人”と、みなすことでした。

 

最近のグランプリシリーズでも、タラ・リピンスキーやジョニー・ウィアーといったアナリストが、競技中の花織の腕の動きや上半身を、「汚い(雑)」というような表現で、けなしていました。

 

この数年、私たちは、「日本のスケートを知っている」と主張している人たちが、実際にはそうでないと気付いています。

彼らは、テレビで競技を見ますが、実際には、日本人スケーターのバックグラウンドや性質について知りません。

スケーターが“ジャンプだけの人”などというレッテルを貼られて、間違った話が作られて広まるのは、このせいです。

 

もしも、古の時代に生まれていたら

f:id:tanegashimapi:20181223224253j:plain

 

私たちのように、何年も近くで坂本を追ってきた者は、彼女がアスリート精神と芸術性、ガッツと人を引き付ける魅力を、すばらしく併せ持った選手であることを知っています。

 

“かおちゃん”は、長い間、日本人選手たちに称賛されてきました。

彼らは、技術だけでなく、彼女の不屈の精神を尊敬しているのです。

 

私は、しばしば思います。「彼女がもし、いにしえの時代に生まれていたら、戦士だったのではないか」と。

 

「彼女は誰にも似ていない」byブノワ・リショー  

私は、今シーズンの素敵なフリー「ピアノ」を振り付けたブノワ・リショーと、今週電話で話しました。

そして、リショーは、彼の誇らしい生徒について、私の感じていることを裏付けてくれたのです。

 

リショーが最初にアプローチを受けたのは、コーチの中野園子さんとグレアム充子さんからで、2016年に台北で開かれたジュニア世界選手権2016年のときに、「若いスケーターと仕事をしないか」と声をかけられました。

 

彼女のことを“ジャンプだけ”と言う人がいると、『この人は、本当に坂本花織を見たことがあるのだろうか?』と思います。

彼女は、ジャンプだけの人ではありません。特別な個性を持ったスケーターの一人です。

それは、彼女がほかの誰にも似ていないことを意味します。本当に、独特な何かを持っているんです

 

★これ、チャーリー・ホワイト王子も前に言ってましたよね!!!

  

フランスのジュニアのアイスダンス選手だったブノワは、坂本と初めてコラボしたころのことを振り返ってくれました。

「初めて花織と仕事をした当時、彼女を話題にする人なんていなかった。でも、2016年に初めて一緒に仕事をしてみて、友だちに話したのを覚えているよ。『この女の子は、いつかチヤンピオンになるよ』って」と。

 

フランスのアヴィニヨン出身、30歳のリショーは、坂本の個性と可能性に感動したと話します。

「当時は、まだ彼女の限界からは程遠いところにいました。当時、彼女が跳んでいたジャンプより、もっと高く、難しいジャンプも跳べると思いました。

過去2年間を比較すれば、彼女ほど速いスピードで進化した選手はいないのではないでしょうか」

 

練習熱心で、努力を愛する人

リショーは、さらにこう続けました。

「初めて仕事をしたときから、本当に何か特別なものを感じました。彼女は練習の虫です。練習熱心で、努力を愛する人。それが、花織です」

 

昨シーズン、坂本のすばらしいフリー「アメリ」を振り付けた彼は、今シーズンのフリーに磨きをかける手助けをするため、全日本選手権の一週間前に来日していました。

そして、彼女が、どれほど全日本選手権で優勝したいと思っていたかを話してくれました。

 

「神戸で、私たちは一日10時間近く、氷の上で過ごしました。『本当に大丈夫?』と彼女に聞きましたが、花織は練習することを望んでいました。『そうしたい』と。

私たちは、あらゆる細部に磨きをかけようと取り組みました。私たちは、試合のわずか一週間前に、プログラムを少し変更したんです。オー・マイ・ゴッド!!」

 

リショーはまた、坂本が全日本選手権で、プレッシャーに押しつぶされるのを耐えた能力にも感服していました。

 

「全日本選手権のラストグループの最終滑走だよ!!みんなから、うまく滑ることを期待されている場面で滑るなんて、怖いよね。彼女は、本当に意志が強かったよ」

(完)

私も、坂本選手の演技が大好きです。不思議な中毒性があるというか、母なる大地のような演技なんですよね。

世界選手権が楽しみです。