こんばんは。大型台風に一晩中直撃されて、寝不足の種子島ぴーです。
いろいろなものが転がったりぶつかったりする音がしていたのですが、窓を開けるのも危険な状態。
みなさんのお家は大丈夫でしたでしょうか?
ロシアのテストスケート
さて、ロシアで恒例のテストスケートが開催されました。
現在はどの程度、恐ロシヤな行事か知りませんが、
以前のイメージでいえば、連盟のお偉い方々が選手のプログラムや仕上がり具合を見て、
「もっと軽快な曲に変えなさい」とか
「そのプログラムはあの子には合わないから変更しなさい」とか、
厳命するイメージが。
選手にとっても、コーチにとってもドキドキのイベントですね。
そんな中、私はロシアフィギュアスケート界の行く末に興味があるわけではないので、
「好きな選手がどんな具合かを見たい」というただ一点に絞ってチェック。
つまり、ミハイル・コリヤダ君と、ドミトリー・アリエフです。
すべてが抒情的なアリエフ
まずは、雄弁な手のひらを持つ男、ドミトリー・アリエフ。
昨シーズンは、SP『モディリアニ』、LP『Clouds, The Mind on the (Re)Wind』という、これ以上素敵なプログラムはないのではないかというくらい、
とってもアリエフなプログラムを滑っていたのに、
本格的なオンシーズンになるとジャンプが崩壊。
ひげを伸ばして、SP『モディリアニ』をブルースに変更したものの、うまくいかず…。
シーズン後半は、姿を見ることはかないませんでした。
ゴールデンスケートの記事によれば、昨シーズンの不調についてコーチは、
「全力でオリンピック出場枠に臨んで、オリンピック代表に選ばれ、願いがかなった後、ぷっつりきてしまったのではないか」と。
しかし、このオフシーズンは、日本のアイスショーにも出ずに、復活に向けた準備をしてきました。
まずは、SP『ロックオペラ モーツァルト』。
「この歌は、モーツァルトがどん底にいるときに、薔薇について歌ったものです。
テーマや気分が僕に合っています。
心の痛みがあり、感情の爆発があり、最後の部分で、ステップシークエンスですべてを出せる力強いパートがあります。
すごくいいと思っています」
goldenskate.com/2019/07より
私は、全身で表現するアリエフの動きがとにかく大好き!!
抒情的で、宇宙を感じさせるような滑りです。
テストスケートでは、ジャンプで2度の大きな転倒があったのですが、
まーったく気になりません。
転ぼうが何しようが、ゆったり座って、彼の美しい動きを眺めていられました。
このブログでは、アリエフのことを、「手のひらで語る男」とか「雄弁な手のひらを持つ男」とか言っておりますが、手のひらの感情表現では、突出しています。
そして今回改めて、「胸でも語れる男」であることを発見。
胸の使い方も当代随一ですよ(笑)
美しい・・・
いつも最終的にはネックレスが口に入ってしまうが・・・美しい。
フリーは、『サウンド・オブ・サイレンス』。
「僕はほんとに、ゆっくりして詩的な曲が好きです。
そのほうが、うまくいくんです。自分のスケートをして、プログラムやキャラクターを表現できます。
本当にすばらしい曲です。力強くて、いつも使っている曲とは、少し違います。
シリアスな男性のボーカルが入っていて(ほんとに、シリアスな男性ボーカルです!!)、メロディのテーマがすごくいい。
ラトビアの合宿の最後に振り付けました。腕の動きをもう少し振り付けて、常に磨きをかけていきます」
goldenskate.com/2019/07より
フリーは、本来のアリエフらしい滑り。
力強く美しく流れるジャンプ、パリオペラ座のエトワール(ソリスト)のような上半身の動き。
素晴らしいです!!
スタミナが心配ですが、今季はシーズン最後まで試合で見たいです。
オーマイ、コリヤダ君!!
アリエフがパリオペラ座だとすると、コリヤダ君はボリショイ劇場の王子様といった気品あふれる背筋がステキ(笑)
昨年は、病気で大変でしたが、専門家たちが指摘するのはやはりメンタル。
ショートプログラムは、THE ICEでも披露してくれた『Wind of Change』から急遽変更した『Diga Diga Doo』でした。
詳細は、tamaさんのブログへ↓↓
コリャダくんショート変更の記事 - ただのフィギュアスケートファンのロシア語翻訳
ロシア男子では、ナンバーワン人気のコリヤダ君。
大声援を受けて新作を披露。
いい男っぷりですなー。
超絶難しいステップをこなしていましたが、出来立てホヤホヤのプログラムなので、ジャンプはかみ合わず。
チェボタリョーワコーチの眉間のシワは、いっそう深くなるのであった。
フリーは、ご存じ『チャップリン』。
練習着で滑るスケーターが多いなか、衣装も試してみるコリヤダ君。
コミカルさに美しさも融合させた、新しいチャップリンの解釈が素敵なこのプログラム。
『THE ICE』では、素晴らしい演技を見せてくれましたが、
テストスケートとなると緊張感もマックス!!
ジャンプで大きく転倒を重ね、コミカルなパートでも鬼の形相に。
ロシアスケート界の重鎮(タラソワ女史とか)や引退した先輩方は、
コリヤダ君のジャンプが安定しないと、
子羊を襲うオオカミのように牙をむくので、
こっちがハラハラ。
ジャンプに成功すると、「キャー」と客席から悲鳴があがり、
ロシアのファンと私の心は一つ(笑)
チェボコーチの苦悩は、終わりを知らぬのであった。
演技はこちらにアップしてくださっています。
安定のヴォロノフ。偉大なヴォロノフ
苦戦する若手を後目に、絶対的な安定感を見せたのが、
今年のグランプリシリーズは1大会のみのセルゲイ・ヴォロノフ。
ジャンプの安定感は、半端ないです。
本当にすごい。本当に偉大。
「年齢が◎◎だから、若手に××を」と言われ続けて、何シーズンたったのだろうか。
彼がちゃんと評価されることを願っています。