いい演技だった。
転んでも転んでも、跳ぶべきジャンプを跳ぼうとする昌磨。
一度も逃げなかった。
怖くても、自信がなくても、力の限り跳ぶ。
ジャンプを続けて失敗すると、怖くなって跳ぶのをやめて
パンクを繰り返す選手が多いけれど、
昌磨は何度も何度も 氷の上にたたきつけられて、
それでも跳ぶことをやめなかった。
胸から氷に落ち、手首を折り、足首をひねり、
トリプルアクセルは、昨日の転倒で、感覚がつかめなくなっていたようだった。
それでも、たくさんの観客に見つめられ、
全世界に放映される中、果敢にジャンプを跳びにいく昌磨を見ているうちに、
なんだか力がわいて来た。
体の内側から、もりもりもりもり、エネルギーがわき上がってきたよ。
すごいよ、昌磨。すごいよ!!
力の限り。
生きている。
これがスポーツ。
転倒で体力を奪われ、ステップのエッジは浅く、
スピンのレベルも取れなかったけれど。
キス&クライで、涙と汗でぐちゃぐちゃになった顔の美しいこと!!
弱い自分を、逃げずにさらす。
それこそが、真の強さ、カッコよさ。
宇野昌磨のファンでよかった。
マスコミは、「コーチ不在の影響か?」と一斉に書きたてると思う。
でも、そんなことじゃない。
宇野昌磨史に残るこの大会の演技を、ゆっくりゆっくり消化してほしい。
とりあえず私は、昌磨の演技を見て、元気になれました。
そして、次のロマン・ポンサールの演技をぼんやりと見ながら、
涙がはらはらと流れてきました。