さて、プリンスアイスワールドで楽しみにしていたものの一つが、
田中刑事選手の『Je te veux』でした。
ジェ・テ・ブなのか、デ・ジャ・ブーなのか分からなくなりがちですが、
「ジュ・トゥ・ヴ(―)」らしいです。
「君がほしい」みたいな意味?
町田樹氏が自作・自演してきた作品ですが、
あの有名な「パリ市庁舎前のキス」という写真に着想を得て創られたのは、知りませんでした。
こちらに写真が掲載されています↓
今回、「フィギュアスケートの作品は著作物足りうる」という町田氏の考え、信念、構想に基づいて、ケージ・タナカに作品を“継承”しています。
この『Je te veux』は、指先を使って物語を奏でるシーンが多いので、
美しい指先を持つケージ・タナカに絶対に合う!! 間違いなく合う!! と思っていました。
で、期待通りに素敵でしたー。
寒い寒い冬のパリの情景が、私には見えましたよ。
コートの襟を立て、美しい指に挟んだシガレット。
帽子からのぞく、はらりと顔にかかった前髪。
色気と上品さが100m四方に漂っていました。
見る前は、「ケージ・タナカとワルツを踊っている感覚を味わおう」と思っていたのですが、
実際には、呼吸を止めて、ただ見入るのみ(笑) 微動だに出来ませんでした‥
ケージ・タナカは、私の知らないパリジェンヌと踊っているように見えました(笑)
まっちーが、「田中さんは、私よりもパリの男性を演じるに適した身体をもっている」とおっしゃっていましたが、
「本当に、演者として恵まれた容姿だなぁ」と思って見ていました。
舞台映えって言うんですかね。
帽子、シガレット、スカーフ、コート、トルソーと、
いろいろな小道具を使う作品なので、
はさむ、振る、掛ける、脱ぐ、放る、巻く、抱きしめる‥と、
長く美しい指を惜しみなく使用して演じていました。
「継承プロジェクト」と銘打たれているので、緊張しているかと思いましたが、
演じ急ぐこともなく、余裕すら漂っていましたよ。
「あ、まっちーが滑っていた作品だ」と明確にわかるのですが、
氷上にまっちーの影は、一切見えませんでした。
試合の演技もいいけれど、『ジョジョの奇妙な冒険』や『Pump It』など、
近年、比類なきEXで名をはせているケージ・タナカ。
継承プロの一人目に指名され、
高橋大ちゃんの『LUXE(リュクス)』にも出演が決定し、
試合とはまた違う彼のすばらしさが、多くの人に認知・評価されているなぁと思う今日この頃です。
そういえば、フィナーレ近くで、ゲスト男性陣がジーンズの短パン姿で登場。
ケージ・タナカの大腿四頭筋ウォッチャーには、ミラクルチャンスだったと思います。
オレンジのテーピングが見えたので、練習のし過ぎか、ちょっと痛めていたのかな?
今回のプリンスアイスワールド2021-2022「Brand New Story Ⅱ」は、
1公演1000人以下の観客なのに、大道具、小道具、衣装にもお金がかかっていて、
会場スタッフなどのことも考えると、大赤字だと推察されます。
2年間練られたチームメンバーのハイレベルな演技や、
継承プロジェクト第一弾のことを考えると、
横浜だけで終わってしまうのは、いくら何でももったいない。
早くコロナが沈静化して、例年以上に全国各地で上演してほしいと心から思います。