こんにちは。東京は、穏やかな晴れの祝日(敬老の日)です。
さて、スケーターたちの新プロが続々披露されて、楽しい9月。
オリンピックシーズンゆえに、どんな曲で滑るかにコーチの戦略も見えますよね。
そんな中、私が気がかりだったのは、
ミハイル・コリヤダ君のフリー『シンドラーのリスト』と、
ダニエル・グラッスル選手のショート『ホワイト・クロウ』でした。
昌磨の『ボレロ』も、ワリエワの『ボレロ』が頭をよぎってある意味心配でしたが、
まったくの別物でした。
『ボレロ』の場合、たとえばカロリーナ・コストナーの『ボレロ』は、私の中で強い印象は残っていません。(アイスダンスの場合は、イメージとしてはバッティングしないので省きます)
話を戻して、コリヤダ君の『シンドラーのリスト』は、ジェイソン・ブラウンの傑作『シンドラーのリスト』があり、
ジェイソンがオリンピックシーズンに再演することを、すでに公表していました。
グランプリシリーズのエントリーでは二人は重なりませんが、
グランプリファイナル、オリンピック、世界選手権で“シンドラーのリスト対決”があったら、たまらないな…と。
あれほどの傑作『ホワイト・クロウ』を捨てて、ジェイソンと激突する意味はあるのか? と思ったのです。
そして、そのコリヤダ君の傑作『ホワイト・クロウ』を、
オリンピックシーズンのショートに選んだダニエル・グラッスル。
コリヤダ君の『ホワイト・クロウ』が、まだ人々の目に焼き付いているこの時期に、
あえてなぜ、その曲を?
今まで、『ホワイト・クロウ』を使用したスケーターって、他にいましたっけ?
不勉強で申し訳ないのですが、明らかにコリヤダ君に触発されてあの曲を認知した気がしました。
そして、ロシアテストスケートで、コリヤダ君の『シンドラーのリスト』を。
ロンバルディア杯で、ダニエル・グラッスルの『ホワイト・クロウ』を見ました。
こからは、本当に私の主観なので、気分を害する人がいたら申し訳ない。
コリヤダ君の『シンドラーのリスト』は、予想を大きく上回っていて、心震えました。
音楽が流れ始めた瞬間から、心臓をギュッとつかまれてしまって、
きっとそれは、一瞬にして『シンドラー』の物語にコリヤダ君が飛び込んでいったから。
そして、音楽の繊細さとコリヤダ君の繊細さが一致したからだと思います。
演じている間、ジェイソン・ブラウン選手が頭に浮かぶことは、一度もありませんでした。
むしろ、『ホワイト・クロウ』味を少し感じました。
振り付けは、イリヤ・アヴェルブフだと思うのですが、手の表情の振り付けがとても豊かで、「ここはこんな手、あそこはこんな手」と、見る楽しさがありました。
改めて感じたのは、コリヤダ君には、空間との対話力があるということ。
一人芝居力と言いましょうか(笑)
リンクの上の空間とここまで会話しながら演技ができるスケーターは、あまりいないと思います。
一瞬、顔芸みたいにする選手はたくさんいると思うのですが、彼はずっと『シンドラーのリスト』の世界の中で、表現を続けていきます。
ファンのみなさんの評価はどうなのでしょうか。
私は、とてもいいプロだと思いました。
2時間36分あたり
2021/22 Russian Test Skates. Free Program - YouTube
一方、ロンバルデイア杯で、ショート5位から、フリー1位で逆転優勝した
ダニエル・グラッスルのSP『ホワイト・クロウ』。
44分25あたり
Men Short Program | Challenger Series Lombardia Trophy Bergamo 2021 - YouTube
振り付けは、ブノワ・リショー氏です。
私の中では、ダニエル・グラッスルはリショーさんとセットです!!
この曲を選んだのは、グラッスルに新境地を開かせたかったのか、
コリヤダ君の演技を見て、リショーさんが創作意欲を掻き立てられたからなのか…(わかりません)
『ホワイト・クロウ』のサントラの中から、ほぼコリヤダ君と同じ曲を使用して振り付けられています。
私の感想は、うーーーーん。残念。もったいない。
グラッスルの雑味が、全面に出てしまっていました。
彼は、クラシックというよりコンテンポラリーダンスで良さが引き出される選手だと思います。
ジュニアのときから、ポーズは美しくないけれど、ブノワ・リショーの独創的な動きによって、なんか気になる、見たくなる演技をする選手でした。
この『ホワイト・クロウ』も、クラシックバレエというよりも、
ヌレエフの内面の葛藤に焦点を当てて演じるのだろうな…と予想していました。
クラシックバレエを一切とっぱらった、新解釈の世界観やコリオを期待していたのですが、中途半端なコリオ…では?
ダニエルの良さが欠点に見えてしまって、もったいなさすぎる。
コリヤダ君も浮かんでしまうし、「“伝説のバレエダンサー”なのに、動きが美しくない…」と見えてしまう。
ダニエルの代名詞である独創的なスピンは、やはり魅力的。
あーいう、バレエを連想させない動きで構成してほしかったです(無理かな?)。
どういう理由でこの曲を選んだのか知らないので、無責任に言わせていただきますが、
私としては、このプログラムは疑問符です。
リショーさんも猛烈に手直ししてくると思いますが、
曲を変えてほしいくらいです。
そういえば、同じロンバルデイア杯で、
オーストリアのマウリツィオ・ザンドロンが、
昌磨のSP候補のマイケル・ジャクソン『アースソング』を滑っていました。
こちらは、ミックスではなくしっとりと滑っていました。
シーズン初めてと最後では、同じプログラムでもまったく別物に仕上がることが多いのですが、
とりあえずの率直な感想でした。
みなさんの初見の感想はいかがでしょうか。