こんにちは。スケート・カナダのフリーが終わりました。
しかし、フリーの試合の前に気になったことがありました。
それは、ネイサンのコーチのラファエル・アルトゥニアンが、
「バブル方式に違反したため、大会参加資格をはく奪された」というものです。
今日の試合に、ネイサンは、コーチなしで挑まなくてはなりませんでした。
一般的に考えれば、これは非常に不利なことです。
ニュースのタイトルに、「資格はく奪」「ルール違反」などと書かれると、
まるでラファがバブルを抜け出して市内観光に行ったり、
バーにでも繰り出したかのようじゃないですか?
少なくとも、何か悪いことをしたような印象を受けます。
で、調べてみたところ、このような流れでした。
ラファは、会場から指定ホテルに戻る前に、アイスダンスのあるコーチから、「ロシアのダイアナ・デイビスとグレブ・スモルキンの演技を見てフィードバックがほしい」と依頼される。
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このため、バブル内の席で見学していたつもりが、あやまってバブル外の席に座ってしまっていた。周囲に人(観客)はいなかった。
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ラファを発見した係員にとがめられ、事務局に連行。大会参加資格はく奪
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ニュースになる。
NBCの記事のタイトルは、「バブル方式のプロトコルに“不注意に”違反した」となっております。
“不注意”なのか?
私は、責められるべきはラファではなく、スケート・カナダの大会運営だと思います。
というのも、バブル方式は、「建物や選手がカプセルの中に入っている」といった物理的なものではありません。
「オペレーション」によって、外と中の接触を避けるシステムです。
そのために、エリアの色分けをする、矢印で誘導する、パーテーションで仕切る、係員を配置する…といったことが必要になってきます。
ラファが侵入した経路には、そのようなものはなかったそうです。
事実、ラファはすんなりとバブルゾーンから出られたわけです。
そして、ラファが注意を受けたりなんだりしている間に、
運営側は、「他の人が間違わないように」と、標識だか張り紙だかを、ちゃっかり設置しましたとさ。
これは、自分たちのミスを認識したということですよね。
「これではまずい」と。
なのに、スケート・カナダ連盟の広報は、
「スケート・カナダは厳格な新型コロナ対策の下で組織され、ホテル、交通機関、会場エリアにはスケーターとコーチだけがアクセスできる“バブル”環境での運営が必要でした。 残念ながら、アルトゥニアン氏は競技会場にいる間に誤ってバブルを抜けたため、再入場する資格がありませんでした」と、メールで返答したそうです。(NBCの記事より)
こりゃあ、私がラファ親父でも怒りますゼ!!
表示も案内もないから、当然バブル内だと思ったら、「あ、そこ違いますから、中にはもう戻れません」と言われて、コーチとしての参加資格はく奪。
教え子が大事な局面を迎えているというのに、直接指導できず、不安な想いをさせてしまう。
しかも、「うっかりミスおじさん」みたいな報道のされ方。
本来なら、「自分たちの不手際で、アルトゥニアン氏とチェン選手に多大なご迷惑をおかけして申し訳ありません。改善します」といった発表がほしいところです。
念のため、ラファは、バブル方式を遵守し感染を防ぐ重要性は、十分に認識しています。怒っているのは、案内不十分にもかかわらず、このような経緯で参加資格をはく奪されたこと。運営が非を認めて謝罪しないことです。
各国のスケート連盟は、自国の保健省とか保険局に、「コロナ禍ではあるが、このような形式で国際大会を開催したい」と申請して許可をもらっているはずです。
しかし、カナダ大会の運営は、バブル方式を徹底できていなかった。
「ちゃんとできないなら、大会開催資格をはく奪しますよ」となっても仕方がない。
資格をはく奪されるべきは、ラファではなくスケート・カナダではないか、と私は思います。
そして、この件は、他人事ではすまされない。
もしこれが、コーチではなく、選手だったらどうなったでしょうか?
急いで公式練習のリンクに向かっていたら、違う場所に出ちゃった…ということもあり得ます。
オリンピックもありますし、怖いなぁと思いました。
大会運営者は、ラファをスケープゴードにせずに、
非を認めて改善策を練るべきだと思います。