こんにちは。最近、ロシアの話題に触れていなかったのですが、
気になることがいろいろと起こっています。
まず、ワリエワのドーピング問題ですが、北京オリンピックのときには、
「検体Bサンプルの分析が終わっていない」とかいう理由で、
結論が先送りされていました。
そして、1週間前くらいに、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)が、ワリエワの検体Bサンプルの調査を完了したと伝えられました。陽性だと…。
ただ、周辺の人たちへの聞き取り調査が終了していないので、
「結論は永遠に出ない」という話もあります。
そんな中、ロシアのテストスケートが開催されました。
国威発揚のためか、国際大会に出られないスケーターたちのためなのか、
“テスト”スケートとは思えない、盛り上げ方と演出。
スケーターたちは、映画スターのように登場し、満員の観客に迎えられながら演技しました。
ただし、スケーターの中には、「国際大会に出られないことでモチベーションが下がっている」と、本音を語る人も出てきていて(名前は出しません)、
テストスケートだし、シーズン始めだし、
映画スターのような演出と落差がある滑りを見せるスケーターも・・・。
女子は、カミラ・ワリエワ、トゥルソワ、エリザベータ・トゥクタミシェワ、ソフィア・ムラヴィエワ、ソフィア・アカチエワ、アデリア・ペトロシアン、ソフィア・サモデキナが出場。トゥルソワは、SPだけで棄権しました。
ここで物議をかもしたのが、ワリエワのフリーの演技でした。
曲は、虚構を暴く、映画『トゥルーマン・ショー』より。
彼女は、ドーピング違反が発覚したときの釈明として、
「検査の前に、遠く離れて暮らすお祖父ちゃんの家を久しぶりに訪れ、食事をした。
そのとき、間違ってお祖父ちゃんのグラスで水を飲んでしまったが、心臓病の薬を飲んでいたお祖父ちゃんが、グラスの中に唾液を戻しており、それを飲んでしまったために陽性反応が出たのだと思う」
という、文字通りゲロゲ~ロな説明をしていました。
ロシア以外のほとんどの人が、「そんなこたぁ、ないだろう」と思っているわけですが、
彼女の今回のパフォーマンスは、「私は無実。被害者」と言うメッセージが込められているようなプログラムでした。
冒頭には、ニュースの音声。「ショッキング」という言葉が聞こえたので、たぶん、ドーピング問題を報道している声でしょう。
演技のフィニッシュは、黒いフードをかぶって終了。
これは、北京オリンピックの公式練習で、黒いフードで顔を覆ってマスコミの前を通り抜けたシーンを再現しているものと思われます。
演技後は、エテリと涙のハグ。グレイヘンガウスともハグ。
うーん。どうなんでしょうか。この演出は。
まず、「これは話題になる」ということで、クリエイターとしては垂涎のアイディアだと思います。
でも、北京では、エテリもグレイヘンガウスも、
ワリエワにそんなに寄り添っていなかったような。
少女にこんなプログラムを滑らせて、毎日練習するたびに、悪夢がデジャブになるのはどうなのか?
テストスケートの前に、ワリエワは、「このプログラムを滑ることで、北京オリンピックで起きたことを乗り越えたい」と話していましたが。
心理カウンセラーのアドバイスなら、まだ納得できますが。うーむ。
「彼女が、もうドーピングをもう止めていたとしたら、何か影響は出ているのだろうか」。
という、目で演技を見てしまいました。
演技はノーミスでしたが、トリプルアクセルや4回転はありませんでした。
そして、体型もナチュラルに変化していました。(SPのみで棄権したトゥルソワも、成長していました)。
「エテリ組女子の選手生命は短い」を裏付ける予感。
もしも、今後、ワリエワがドーピング違反確定で試合に出ることを禁じられ、
成長期を迎える中でジャンプが跳べなくなり、最後の演技がこのトゥルーマン・ショーの悲しいプログラムだったとしたら、複雑な気持ちです。
そして、男子はドミトリー・アリエフ、ミハイル・コリヤダ、マーク・コンドラチュク、ピーター・グメンニク、アルトゥール・ダニエリヤン、アンドレイ・モザリョフ、アレクサンダー・サマリン、エフゲニー・セメネンコ、アレクセイ・エロホフ、マカール・イグナトフ、アルテム・コバレフ、グレブ・ルトフリンが出演。
アリエフとコリヤダ君の動向が気になる私は、二人の演技だけ見ました。
それはさておき、出演者にサマリンの名前があって、ほっとしました。
ロシアは、プーチンが「30万人をウクライナとの戦場に動員する」と発表。(100万人説もあり)。
直後に、「サマリンにも招集令状が届いた」と伝えられていました。(真偽不明)
オリンピックで男子のエースになったマーク・コンドラチュクも、少し前に兵役につきましたが、形だけに近いもので、練習は通常通りできるタイプの兵役らしいです。
でも、アスリートで戦場に送られている人は、当然います。
これまでは、ロシアの地方から召集された兵士たちが戦場に送られることが多く、モスクワなど都市部の人にとっては、他人事であったかもしれません。
でも、都市部の人たちも召集されるようになり、やっと、戦争がリアルに感じられ、反戦の動きが(前より)高まっているように感じます。
アスリートも、成績が落ちたら召集されるのではないか…という恐怖もあり・・・。
アスリートは、結果を出し、人気を上げるしかないとしたら、本当に怖い。