オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

昌磨の笑顔に慰められていたステファン

こんばんは。かなだいのデニス・テン・メモリアル杯が宴もたけなわですが(YouTubeで見られます)、

昌磨のスケート・カナダも迫ってきております!!

 

Inside skatingに、Florentina Toneさんによる、ステファンへの素晴らしいロングインタビューが掲載されていました。

www.insideskating.net

 

読んでいて、不覚にも電車の中で泣いてしまった箇所がありました。

それは、昌磨の復活劇の始まり、2021年にストックホルムで開かれた世界選手権のフリーのときのお話。

 

観客はおらず、どこもかしこもコロナの恐怖で覆われ、雰囲気はものすごく重たかった。ホテルから出ることもできず、ステファンは、競技会を心からは楽しめていなかった…という中で、

 

(意訳)

昌磨のフリーの前、彼の肩に手を置いて、目をのぞき込んで言ったのを覚えています。

「うまくいってもいかなくてもいい。ただ、リンクに出て、突き進んでほしい。やりたいようにやって、楽しんで。楽しんでね」。

昌磨は、すでに戦う覚悟を決めているとわかっていたから、その言葉は、むしろ自分自身へ向けた言葉でした。

昌磨は、ただ微笑んで…それはまるで、「うん。わかった。心配しないで。心配しないで」と言っているようでした。

 

つまり、落ち込んでいたステファンは、演技前の昌磨を励ますはずが、

「逆に昌磨の笑顔に慰められていた」…と。

そして、「そうだ互いの存在があるじゃないか。一緒に頑張ろう」みたいなことを思ったのが、オリンピックシーズンへの足がかりとなる絆が生まれた瞬間だったそうです。

 

 

知らなかった。

YouTubeで演技前の動画を探したけれど、肩を持って語り掛けている動画は探せず。

 

とりあえず、『ダンシング・オン・マイ・オウン』の演技をもう一度見て、“涙で前が見えません状態”で降車駅を乗り過ごしました😭😭

 

そうなんだよなぁ。やっぱり、「お日さま昌磨」なんですよね。

昌磨がたいへんなときでも、見ているこちらが元気づけられてしまう。不思議な人です。

 

Inside skatingのFlorentina Toneさんインタビューの中から、

今シーズンの昌磨のプログラムについて語っている部分だけ、

試合前の参考に意訳させていただきます🙏

 

Florentina)ショートプログラム『Gravity』は、すでにあちこちに多くのファンがいますが、どのように、なぜ選曲したのですか?プログラムを見ると、彼は明らかに、第二の皮膚のように、曲をまとっていますが…

Stéphane)サロメ(振付師Salome Brunner)と、イースター休暇の間中、音楽を聴いていました。候補は二つありました。そして、どちらでいくべきか議論していて…そして、ある晩、私たちはもう一度聴いてみて、「オーケー、Gravityでいこう」という感じで。

 

翌朝、リンクに着くと、曲をかけました。昌磨が滑っていて、セッションの最後にサロメが、「これだね!」と。

僕も、「だね。もう一つの曲を試す必要はないね」と言いました。そういう経緯です。

Florentina)でも、事前に彼には伝えたのですか?「この曲でいく?」って。

Stéphane)はい。伝えました。二つの選択肢があって、これが一つ目で、これが二つ目。二つ目の選択肢について話したかどうか、わかりません。ただ、「二つ選択肢があって、これが一つ目だよ!」と。

二つ目の曲については、まったく話していません。

★二つ目の曲が何であったかは、Florentinaさんはあえて聞かないことにしたそうです。

 

Florentina)フリーの『G線上のアリア』と『メア・トルメンタ』はどのように生まれたのですか?

Stéphane)個人的に、昌磨のバロック音楽の作品がとても好きなんです。

なぜかわからないけれど…たぶん、昌磨と『ヴィバルディ』を滑ってから…ヴィバルディは、彼にとてもフィットすると思います。ヴィバルディだけでなく、バロック音楽が合っている。彼の表現方法(スタイル)に、バロックが合っていると感じるんです。

 

どう説明したらいいでしょうか?彼は、何かとてもクラシックな雰囲気を持っていると同時に、とてもモダンな一面もあります。バロック音楽にも、同様の側面があります。メランコリックであると同時に、ハッピーで、とても繊細です。

 

『G線上のアリア』は、僕が聴いた音楽のうちの一つで、うまく伝わるといいのですが、「この曲をリンクに響かせる必要がある」と思ったんです。そして、「この曲に合わせて滑るべき人は、昌磨だ」と。

 

「この作品だ」と思って、彼に見せました。彼はすぐに気に入ってくれて、100%賛成しました。なので、僕が彼に言ったのは、「プログラム全部を、G線上のアリアだけにしたくない。もっとダイナミックな何かを加えて、進化させたい」だけです。

 

そして、ショートに近い曲を、ものすごくたくさん聴きました。ショートが本当にうまくいって好きだったから、ショートの後半部分を、フリーの後半に使おうとさえ考えました。

 

でも、この『メア・トルメンタ』が、この声で歌われているのを見つけました。その歌声は、「なるほどこれだ」と思わせるものでした。

 

リンクでその曲を聴くやいなや、僕は昌磨を見て、「この声こそ、求めていたものだ」と言いました。プログラム全体が、とても昌磨らしいと、僕は思います。

 

記事では、宮本賢二氏が振り付けた経緯や昌磨への想い、オリンピックシーズンのこと、世界選手権のこと、デニスのことなど、独自の興味深い内容がたくさん紹介されています。

読み応えがありすぎるくらいありますが、ぜひ、読んでみてください。