オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

宇野昌磨SP『Gravity』。緊張感の中のメロウ

緊張した空気の中で、どこまでメロウさ、アンニュイさを出せるのか。

 

私が、宇野昌磨選手、今シーズンのSPで注目していたのは、そこでした。

なかなか、難しい挑戦だと思います。

 

ジョン・メイヤーの『Gravity』。

歌詞の意味はともかく、私の中のイメージは、

照明を落とした暗めのバー。

一日の終わりの開放感と気だるさの中に、

幸福感と生命力が漂う空間です。

 

しかし、それ以前に…

観戦する私の心がガチガチに緊張しており、

メロウな雰囲気を感じ取れるかどうかが問題でした😂

 

報道では、昌磨がジャンプに苦戦しているという話も聞こえており…。

「プリーズ・ウェルカム・ザ・ファイナル・コンペティター」

のコールと共に、最終滑走の昌磨が登場。

ひゃー、緊張~たすけて~

 

 

ニュー衣装です。

落ち着いたレッドにブラックの襟。

キラキラ、キラキラと上品に光っています。

すっかりおなじみになった、マシュー・キャロンさんの、

昌磨仕様の肩のストーンの並べ方。

予想したデザインとは違ったけれど、

ジャンプの跳びやすさを重視しているのだと思います。

 

演技スタート。

エレキギターの弦をはじくように、音に合わせて腕で空気をはじく昌磨。

最初の部分のコリオ、いいな。

と、今ごろ気づく。

 

まずは、ステファンが言うところの“猫のような歩み”で、

宵闇に忍び寄るような助走からの4回転フリップ。

 

おおおー。

音楽に溶け込む鮮やかな着氷に、観客からも大歓声とため息。+3.46。

これ1本で14.46を叩き出して、好調な滑り出しです。

 

次は、今シーズン、力を入れている4T+3T。

きれーに跳び上がった4T!!

 

と思ったら、手をついて「うわっ」。

しかし、ひょいっと1Tをつけてコンビネーションに。(←2回転か3回転じゃないと0点だけどコンボにしたの偉い)

ほっ。

 

次のキャメルスピンで振り上げた脚は、

今まで見た中でも、特別美しかったと思います。

 

ラストジャンプは、6分間練習で何度も確認していたトリプルアクセル。

どーだー??

ちょっと考えるように跳び上がって、

軸が斜めのきりもみ状態だったけど、無事に着氷。

 

ふぅーっ。

 

そこからは、私も肩の力が抜けて、

重力(Gravity)に身を任せながら楽しめました。

 

 

ステップは、緩急がついて、ふんわりと空気を押しながら、

甘く、時に力強く。

シャープで魅力的なツイヅルに歓声。

そういえば、滑りながら空気を押せる人って、昌磨の他に思い浮かばない。

(あ、ステファンがいた)

 

スピンが1つレベル3になったのは、ポジションの変化のせい??

ちょっとわからないですが、もったいなかった。

 

 

終わって、ちょっと苦笑い。

一番力を注いできたコンビネーションにミスが出たから、

後で、相当悔しがるんだろうなぁと、

uno裏方チャンネルの映像が頭に浮かんで、にやにやしちゃいました。

キスクラでも、満足していない表情。

 

 

初戦からステファンを大喜びさせちゃ面白くないから、

完璧なSPは、NHK杯に持越しということで(笑)

 

「緊張感の中で、どれだけメロウでアンニュイな雰囲気を出せるか?」

という私の注目ポイントについては、

試合であのゆったり感は、彼にしか出せないものであったと思う。

 

ジャンプにミスがあっても、

プログラムの世界観を保てるのが、宇野昌磨の凄さです。

 

 

ただ、私が緊張していたせいもあったし、

昌磨自身も、宙を見つめながら移動する場面で、

ほんの一瞬、空気が途切れた瞬間があったように感じました。(違ったら申し訳ない)

 

「最高の『Gravity』」は、私の中でも次回に持ち越しかな。

 

トップと約4点差は、逆転可能な位置なので、

こういう状況のときのフリーは、昌磨の中の火の玉がはじけます。

 

「4回転トゥを課題としてフリーに向けて頑張る」とのことなので、

コンビネーションジャンプも見どころですが、

 

何しろ、昌磨のフリーが、世界を驚かせるのが待ち遠しくて仕方がない。

 

舞台背景なしで、リンクに礼拝堂や大聖堂を建立できるのは、宇野昌磨だけ。

昌磨が放つ静寂に、清められたいと思います。