オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

息をのむ駿くんの「Nostos」/ひたすら美しい佳生くんの「シェルブール」

ロンバルディア杯男子フリーが終わりました~👏

日本男子3人とも素晴らしい滑りでした。

 

まず、三浦佳生選手の「Umbrellas of Cherbourg(シェルブールの雨傘)」。

氷に乗って漂う感覚が、ひたすら気持ちよかった!

今シーズン大好きなプログラムの一つになりました。

 

 

今大会ではジャンプが今一つはまっていませんでしたが、

そんなことはどーでもいい。

 

全身の動きがなめらかにつながっていて、滑っているだけで美しかった。

この心躍る感じは、「美女と野獣」以来かもしれません。

佳生くんは女性を思い描いて滑るのが上手なのかも😆

 

ジャンプのパンクさえも、流れに乗って美しかったです。

 

フレンズで見たとき、「試合ではブルーの衣装を着てほしい」と願いましたが、

本当にブルーのジャケットで登場。

 

 

このブルーがいいのかどうか判断がつきませんが、

特筆すべきは、以前の佳生くんであれば、

ジャケットだと腕が短く見えてしまっていたのに、今回はそれがないこと。

肩と腕の可動域が広がっていることがよくわかりました。

 

4回転サルコウを決めたあとに、おなじみのサビのメロディーに乗せて、

傘を持っているような仕草でステップを踏む場面があり、

振り返った佳生くんが軽く微笑んでいるように見えて、鳥肌が立ちました。

 

ショートの演技も動きにキレがあって、

練習で絞り込んだボディがスタイリッシュな衣装に映えていました。

だから、ジャンプのミスは、たまたまだったと思います。

総合で第4位でした。おめでとうございます。

 

そして、佐藤駿選手の「Nostos」。

「帰郷」という意味でノスタルジアの語源なんですって。

 

あら、マッテオ君。本拠地リンクですよね。

 

繊細さに息をのむ。

こんなに音を表現できる人でしたっけ?

息をのんで見つめる中、ピアノのポロロン♪という静かな響きと共に

大技4回転ルッツ!

まっすぐな軸とやわらかな膝で、GOE 4.60ですよ!

 

フリップがパンクしたのはもったいなかったけど、

ジャンプのミスに気付かないくらい(いや気づくけども)、

一筆書きのようにつながった動きで、

見ている者の集中力を途切れさせない演技。

 

上半身の大きな使い方、アップダウンのさせ方が“別人佐藤2号”状態ですよね。

シズロンがだいぶ乗り移ってきました。

 

そういえば、私はアイスダンスのときは“パパシゼ”ですが、

単体では“シズロン”で(そう聞こえるので)、

でも世間一般では“シゼロン”のようです。

“パパシゼ”なんだから、当たり前か!?

気になってフランス語解説を聞いてみたら、“シゾーン”でした。

私も駿くんのようにギヨーム先生呼びにしようかな。

 

それはそうと、“シゾーン”がインスタで振り付けていた上半身の動きが、

入っていなかったような🤔待ってたんだけど…

 

 

あまりにも難しいからかな? 普通の人はバランス崩しちゃうのかも。

腕の長さを出し、指先に視線がいくようにデザインされた衣装もGOOD!

先シーズン化けた駿くんですが、今シーズンは本格的に大化けです。

PB更新ですね。銅メダルおめでとうございます。

 

鍵山優真選手の「Ameksa」。

観客からの人気&声援がすごかったです。

 

衣装も巧みなマエストロ的な。

 

ゆまちの演技は、「巧い」の一言。

難しいジャンプも空中での長い滞空時間で軽々と回転し、

猫のような膝は着氷ミスなど起こり得ない。

今回の三連ジャンプなんて、

氷じゃなくてトランポリンの上で跳んでるみたいに軽やかでした。

 

超絶難しいステップも、エグイくらいにコントロールされている。

失敗する予感がまったくないし、ジャンプに加点がつくのも納得。

コストナーがコーチについて、表現力にも磨きがかかったとか。

 

しかし…これは書いたことがないと思うのですが、

私はゆまちの演技と“交信”できないのです😭

理由は不明ですが、なぜかコンタクトできない。

断っておきますが、悪口ではありません。私のシナプスが反応しないだけです😭

 

そして、ゆまちの演技に熱狂する観客を見ながら、

なんとなく劣等感を覚えるのです。

通好みの演劇や小説が理解できない人、みたいな感じ?

しかし、上手いことだけはわかります。

銀メダルおめでとうございます。

 

大トリは、イリア・マリニン選手の「I'm Not A Vampire」

「僕は吸血鬼じゃない」と言いながらも、衣装の袖には血!

 

 

なんと言うか、「貫禄のエンターテイメントの世界」だと感じました。

 

キャラが明確で、ジャンプの難易度がずば抜けていて、しかも安定している。

スピードもある。ステップに見せ場をバンバン盛り込む。ラズベリー・ツイストもバックフリップもやっちゃう。

動きにくそうだけど、華やかで“ザ・フィギュア”な衣装。

 

いつの間にかリンクの周りには見物人が増えていました。

芸術的なプログラムより、

キャラクターの明確なプロをやる戦略、なかなか良いと思います。

フリーはサクッと205.30を叩き出し、金メダルです。おめでとうございます。

 

マリニン&日本代表3人の戦いが注目されたロンバルディア杯。

期待通り4人ともハイレベルで、進化した演技を見せてくれました。

ニカ・エガゼ選手も、昨シーズンとはレベル違いに化けています。

 

トップが引退しても「停滞期」を作らない選手たちに敬意を払いつつ、

次のオリンピックまでの期間を楽しみにしたいと思います。