オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

坂本花織のいる風景。フランス大会フリー

圧倒された。

坂本花織フリー『愛の賛歌』。

 

 

「大丈夫だろうか?どうかミスが出ませんように」と

緊張で硬直しながら見ていた全身に、

グングンとエネルギーが満ちていく。

 

特別なコリオを演じているわけでもなく、

ただ滑っているだけに見えるような場面でも、

心の真ん中をわしづかみにされているような、何かがあった。

 

まるで、リンクの上の何トンもの重たい空気を、

坂本花織一人で動かしているようだった。

 

それはきっと、彼女がスケートに込めた想い。

プログラムに捧げる愛の力。

 

驚くべき爆速。

彼女が2度、からだを揺らせば、もうリンクの端に到達している。

 

固まった個体(私の体)に、パワーが満ちていく不思議な感覚。

 

「坂本花織が氷の上にいるだけで意味がある。」

そう思った。

 

 

演技が終わると、総立ちの観客席。

手を叩き、バナーや日本の国旗を振って叫びながら、みんなちょっと涙ぐんでいた。

 

女子が女子を見て、こんなに熱狂することがあるだろうか?

(もちろん男性も彼女の演技に驚愕していたが)

 

 

ジャンプであれ、ステップであれ、シンプルなストロークであれ、

坂本花織のスケートは、他のスケーターとは別物だった。