オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

勇者の名は、三浦佳生。

いい演技だった。

 

『ラストサムライ』。

曲のすばらしさを、三浦佳生が教えてくれたような演技だった。

 

実は、SP『Conquest of Spaces』の時から、

「顔つきがすでに“ラストサムライ”だな」と感じていた。

 

そのくらい、現地入りしてから絶好調。

スピードはまさにランボルギーニ。

それを見て、「短期間で完全復活したんだな」と思った。

 

 

美しい所作から、眼光鋭くスタートしたフリーの演技。

 

4回転ループ、パンク。

ただのパンクではない。空気を切るような、激しいパンク。

 

4回転トゥ、軸が斜めになって両足気味に着氷。

 

すばらしいスピードで飛び込んでいった4回転サルコウ、パンク。

ただのパンクではない。かなりの飛距離だった。

 

切れ味鋭い3A、成功したと思ったのに転倒。

 

前半、すべてのジャンプに失敗!

しかし、勢いは衰えなかった。

 

後半、うりゃー!と、ものすごいスピードで飛び込んだ高速回転の4回転トゥ、転倒。

コンボに出来ず。

 

失敗しても、失敗しても、ひるむことなくジャンプを跳び続ける姿に、

“滅びの美学”を見せられているような気持ちになり、

画面から目が離せない。

 

 

観客から、温かい声援と拍手が沸き上がり、

それが突撃の合図でもあるかのように、

3F+1Eu+3S成功!

3Lo+2A成功!

 

終盤のイーグルのエッジの美しさよ!

スピード。天を仰ぐ表情。

鳥肌が立ってゾクゾクした。

 

ジャンプが成功しなかったとき、勢いを失ってしまう人は多いけれど、

何度崩れ落ちても、ひるむことなくジャンプを跳び続ける姿は、

見ている者に力をくれる。

 

拍手をしているこちらのほうが、反対に力をもらっているのだ。

 

こういう場面で、アスリートとしての矜持が見える。

自分にできる精一杯のことをやろうとしたのだろうか、

表現がいっそう輝きを増していた。

 

演技を終えた瞬間の表情は、

戦い抜いたけれど、味方が全滅した焼け野原に茫然と立っているサムライに見えた。

 

 

不謹慎かもしれないが、この『ラストサムライ』は、最高に美しかった。

 

キスアンドクライで、唇をかみしめ、

点数と順位が出ると、こらえきれずに涙がこぼれているように見えた。

 

そうだ。ここはフランスじゃないか!

私は、宇野昌磨を思い出していた。

2019年、涙のGPフランス大会。

だから、ブログのタイトル、同じにしてみました。

勇者の名は、宇野昌磨。 - オオナゾコナゾ

 

 

あれは、昌磨が異次元のスケーターに進化するスタート地点だった。

 

佳生くん、昌磨も高志郎君もデニスもいなくなったシャンペリーに行こうぜ!(冗談)

 

私には、ここからゆるやかに上り調子になり、

ジャンプも表現力もそなえたトップスケーターに進化する佳生くんが見える。