オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

佐藤駿NHK杯フリー。小鳥から火の鳥へ

佐藤駿くんのフリー『火の鳥』。

足の状態がよくないと聞いていたので、この演技には驚いた。

 

丁寧なグータッチだった。

 

これまで幾度か、足や肩に不調を抱えて試合に臨み、

不安そうな表情で演技をする姿を見てきたからだ。

 

足首に不調を抱えている今、

こんなに堂々と舞い、

こんなに晴れやかにジャンプを跳んでみせるとは、思いもしなかった。

 

どう考えても、今できる最高の演技で、フリーの自己ベストを叩き出してみせるなんて!

 

 

冒頭の火の鳥を表現するコリオ。

翼を広げ、辺りをうかがう様子が

試合を重ねるごとに鮮明になっていく気がする。

 

「4回転ルッツは決めたい」と話していたルッツは、

あまりに軽々と決めて見せたので、思わずテレビの前で1人スタオベ。

 

その後も、すべてのジャンプが軽やかに宙に浮き、回転もシュルシュルと速く、

 

捕まえようとしても手をするりと抜けて捕まえられない“火の鳥”そのものだった。

 

終盤からは、観客の拍手が鳴りやまず、“炎”を感じさせてくれる演技だったと思う。

 

 

フリーはパーソナルベストを叩き出して、1位。

評価が渋めだったPCSも、じわじわと上がってきた。

 

総合では2位になって、グランプリファイナルへの進出決定!

 

おめでとうございます!

 

これはもう、オリンピック代表の座をほぼ手中にしたと思う。

スケート連盟が確実視している鍵山優真選手と

僅差で総合2位になったという点も、ポイントが高いと思う。

 

ショートもフリーもノーミス。

しかし、どちらにもミスのあった鍵山選手と、どちらの点数も僅差で、

 

総合得点は僅差で敗れたことで、ファンとしては、もやもやする気持ちはある。

 

だけど、陰謀だとは思わない。

 

鍵山選手は、ノーミスであれば、ショートで100点を上回る点数を出す選手だし、

 

フリーでジャンプを1,2本ミスしても、成功したジャンプやステップでGOEを積み重ね、

4回転ジャンプ1本分の点数はカバーしてしまう選手である。

 

駿くんは、足首に故障を抱えたこの状況では、最高のスケートをした。

けれど、万全のコンディションなら、4回転ジャンプの本数も種類も増やせる余力を残している。

 

さらに、“伸びしろ”という宝を持っている。

特に、ステップ。

さらにエモーショナルに、さらに深いエッジで、火の鳥の勇猛さも見せてほしい。

 

佐藤駿の演技を、誰かと比較する必要は、まったくない。

彼は彼自身と戦っている。

 

選手本人とコーチの笑顔が、それを証明していると思う。

 

ところで、前にも書いたけれど、私は最初、佐藤駿というスケーターが、

『火の鳥』を演じられるとは思っていなかった。

曲の迫力に負けてしまうのではないかと、心配していた。

 

ところが、初めて見たときから、

鳥の羽ばたきや首の動き、耐空間を表現していて

「!」と驚いたのであった。

 

初見では“小鳥”であったけれど、

NHK杯では“火の鳥”になっていた。

 

ミラノオリンピックの頃には、

火の鳥の翼から炎が出ているのではないか、と期待している。