オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

昌磨×ネイサンの哲学しちゃうコラボ『On the Nature of Daylight』

今も心に余韻が残っている、ネイサンと昌磨のコラボ『On the Nature of Daylight』。

昨年も二人のコラボがあったので、

「今年も絶対やってほしい」と無邪気に願っていましたが、

考えてみると、ネイサン・チェンと宇野昌磨がコラボして滑るというのは、奇跡に近いことだと思う。

スポーツ報知

「THE ICE」豪華スケーター集結 宇野昌磨、チェン、坂本花織、りくりゅうらが出演 : スポーツ報知

 

当然、「どんな作品を滑ってもらおうか」というのは、

企画段階で真剣に議論されたと思う。

『On the Nature of Daylight』…予想外の選曲でしたが、

受け手がいろんなことを考え、

さまざまな解釈ができるすばらしい作品だったと思います。

 

私にとっては、昌磨見て、ネイサン見て、

「えー、どっちを見ればいいの??」とフラストレーションを感じつつ、

心の深い部分で感じながら見るプロでもありました。

 

演技前の紹介では、

「過酷な世界に身を投じ、苦難に立ち向かうとき、志を同じくする仲間がこの地上のどこかに存在すると信じることが、心のよりどころとなる。そんな想いをこめられたこのナンバー」と。

 

「哲学を感じさせる作品だなぁ」と思って見ていたのですが、

曲のタイトル「On The Nature of Daylight(事物の本性について)」は、

哲学書のタイトルからきているらしいです。

 

「Daylight」って、昼間とか日光という意味しか知りませんでしたが、

辞書を引いたら、「今まで不明だったことに対する理解、知識」「夜明け」とか、いろんな意味があるんですね。

 

振付の佐藤有香さんが、「ある程度骨組みは決めてくるけど、できるだけ思いや提案は受け入れる」とメイキングで話していて、

 

練習風景を見ても、テーマである「過酷な世界に身を投じ、苦難に立ち向かうとき、志を同じくする仲間がこの地上のどこかに存在すると信じることが、心のよりどころとなる。」に対して、

昌磨とネイサンの想いや考えが込められていることは間違いない。

 

盛岡公演千秋楽の演技は、集大成ともいえるもので、

最初に見たときよりも、二人の間の空気が完成されていました。

 

前半は、硬質なイメージ。

私は、今回のコラボでは、感情をぶつけて滑る昌磨を、

ネイサンが包み込むイメージでした。昌磨がネイサンを見る時間よりも、ネイサンが昌磨を見つめる時間のほうが長いと思っていました。

が、配信で見ると、昌磨も、チラッチラッと、ネイサンの動きを見て、感じながら滑ってますね。

 

ネイサンが昌磨をやさしく見つめる眼差しに、

競技生活の中で、昌磨が苦悶、苦闘、スランプに陥っていた時期も、

安定、毅然としたネイサンがそばにいてくれたことが、

よみがえってきました。

 

もちろん、ネイサンも、大変な時期はたくさんあったはずなのに、

平昌以外で大崩れしたことは、記憶にないです。(「ワンジャンプ」まだ読み終わってない)

だからこそ、昌磨も、北京でネイサンの金メダルを願っていたのかな…などなど考える。

 

さらに、なぜか、無意識のうちに、自分の過去も振り返ってしまう不思議。

短いようで、私が“エセ哲学”する時間もあったこの作品。

3分38秒もあったのですね。

 

昌磨がナウボイスで、今回のコラボについて、

「クオリティが高い」「現役よりのパフォーマンスというか、言葉は難しいけど、二人の“らしさ”が出た、いいコラボだったんじゃないかと思う」と話していましたが、

付け焼刃ではない本格的な作品を、短期間で創って仕上げてしまうトップスケーター2人。

 

後半、「同じ世界で同じ思いを共感できる人がいた」と気づいてからは、

作品が、柔らかく、温かく変化。

2人が触れ合う印象的なコリオが、たくさんありました。

 

何回見ても、見足りない。

 

千秋楽では、ネイサンに体をあずけた昌磨の背中をネイサンが押すシーンの、

タメと柔らかさが最高。

信頼感、距離感が深まり、作品も熟してきたことが伝わってきました。

 

昌磨の3Aも、この日が一番安定していたと思います。

「人と一緒に滑るからこそ、ジャンプを失敗したくなかった」みたいなことを昌磨が言っていましたが、愛知、日光、大阪で私が見た回は、

緊張してジャンプを跳んでいるのが伝わってきて、けっこう、手に汗握りました。

ネイサンと滑るときは、昌磨くんにも特別な感情があるのではないでしょうか。

 

ネイサンも、絵本の出版会見で、

「昌磨と滑るのは、すごく好きです。

彼はとても軽やかで流れがあるスケートをする。

だから、真似ているわけではないが、合わせられるように、一緒についていけるようにしながら、自分のスタイルを維持してやるというスタイルになっていて、

一緒に滑る子で学ぶことがたくさんある。大会に出ていると、一対一で滑ることがあまりないので、こういうチャンスがあるとすごくうれしく思う」と、素敵な笑顔で語ってくれました。

 

ネイサン・チェン「スケートは確実に続けていきたいと思っている」絵本発売記念トーク - YouTube

 

コラボの演技の最後にいつも、

昌磨がにっこり最高の笑顔で、ネイサンのほうを見てました。

それがすべてかな、と。

 

ありがとうネイサン。

何度か言ってるけど、ネイサン、好きです。

時々、昌磨より好きな瞬間がある(笑)。

 

今シーズンも、変化に富んだ1年になりそうな昌磨とネイサン。

来年も、ザ・アイスに来てくれるかなぁ。

来てくれると信じているし、コラボがあると決めつけているのですが、

未来はどんなストーリーになるのか、今からわくわくしています。