昌磨がいい演技、卓越した試合運びを見せてくれたにもかかわらず、
笑顔になれず、能面のような顔で終わったNHK杯。
(EXは、まだ残っているけれど)。
試合後のインタビューで、
「とりあえず、“一夜明けたい”と思います。本当に今の気持ちとしては、いらんことしゃべりそうなので、今は黙って帰ろうと思います」と言っていたので、
すぐに帰宅したのかと思ったけど、
記者会見とか囲みとかあるので、一夜明けずにしゃべっちゃってますね(笑)
ジャンプ構成の変更については、ケージ君と詳しく語ってくれています。
その後の報道を読むと、
やはり、4回転ジャンプ全部にq判定が付いたのは、
いろいろと思うところがあったようです。
⚠️ここ注意
宇野選手は、ジャッジを批判していません。
鍵山選手の優勝に水を差すつもりもありません。
宇野昌磨、回転不足連発の採点に疑問符「試合に出る意味を揺るがされるような試合になった」 : スポーツ報知
文句を言うよりもっと怖いことに、試合に対するモチベーションを、
むしり取られてしまった印象を受けました。
中国杯のあと、練習で注力していた4回転ループと4回転フリップ。
「これ以上ないだろう」という会心の出来で、GOEも大きな加点が付いたと思ったら、回転不足判定。
「あれでダメなら、これ以上は無理だ」と、
いきなり限界を突き付けられた感じでしょうか。
しかも、4本の4回転ジャンプ、すべてにqが付きました。
パワーのない選手が、無理に回ろうとして回転不足になりがちな例はありますが、
宇野選手は、回転不足を取られることが、あまりなかった選手です。
見ている私も、なぜあれが回転不足なのか、わからなかった。
怪しさは、まったくないように見えたのですが…。
「もう引退します」とか、「ファイナルは出ません」とか言いそうで、心配です。
私は、判定に納得できなかったら、
「おかしい」と疑問を呈して、FBをもらっていいと思います。
「頑張って改善したら、評価してくれるだろう」と、性善説を信じて努力しても、
かつての浅田真央さんのように、「彼女がトリプルアクセルを跳んだら、何が何でも回転不足にする」という目に合うかもしれません。
「真央さんがトリプルアクセルで踏み切った瞬間に、韓国のジャッジがマイナス3のボタンを押す」という衝撃の映像を、私は一生忘れませんよ。
フィンランド大会のときに、マッテオ・リッツォ選手が、
すばらしいフリーの演技をしました。
最近、挑戦している4回転ループも、会心の出来。
が、判定は、アンダーローテ。さらに、コリオシークエンスもノーカウントの判定で、
今日の昌磨のように、10点近く予想を下回る点数に、キスクラは失望した雰囲気に。
でも、試合後に彼は、言葉にしていました。
「やれることはやったので、自分には満足しています。でも、なぜループでアンダーローテーションを取られたのか、理解でません。ビデオを見直したけど、アンダーローテではありませんでした!加えて、コリオシークエンスがゼロ点で、それらによって10点失ったので、すごくフラストレーションを感じています!」
マッテオ君は、それがなければ銅メダルで、
グランプリシリーズのメダルは2つになっていました。
一貫性のないジャッジは、不公平なだけでなく、
選手のモチベーションを下げたり、
練習の方向性を混乱させたりすることになると思います。
私は、「ジャッジが信用できないから、即AIを導入すべき」とも思いません。
AIに学習させるのは人間ですし、AIを運用するのも人間なので、
「なぜ一貫性が必要なのか」を、まず人間が認識すべきだと思っています。
グランプリ“シリーズ”なんだから、
シリーズを通して同じ基準でなくてはおかしいし、
同じルール運用でないとおかしいです。
第一戦がスケート・アメリカなら、
大会の後にジャッジが集まって、
判定基準を確認してから第二戦に進む、というようなことは、行われているのでしょうか。
シリーズ全試合に同じ審判長が付いて、
全体を俯かんするくらいのことが求められると思います。
今回は、特に女子のジャンプが、審議、審議、審議マークで、
回転不足やエッジエラーが刺さりまくりでした。
刺さらなかった選手が生き残るサドンデスの様相を呈していて、
キスクラの選手の表情にも、疲労と困惑の色が見えました。
見ているこちらが、しんどかったです。
NHK杯は、グランプリシリーズ最終戦だったので、
「誰がどの色のメダルを獲るか、獲らないか」に、
大勢の選手たちのファイナル進出が左右される大会でした。
私は、ジャッジの判断は尊重すべきだと思っていますし、
陰謀論とか、そういうことを言う気はさらさらないけれど、
最終戦で、いきなり極端な厳しい採点は、いかがなものか、と思う。
「一貫性のないジャッジが、選手と観客を盛り下げてしまった」と、最後に感じた試合でした。