オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

一貫性のないジャッジが、選手と観客を盛り下げたNHK杯

昌磨がいい演技、卓越した試合運びを見せてくれたにもかかわらず、

笑顔になれず、能面のような顔で終わったNHK杯。

(EXは、まだ残っているけれど)。

 

試合後のインタビューで、

「とりあえず、“一夜明けたい”と思います。本当に今の気持ちとしては、いらんことしゃべりそうなので、今は黙って帰ろうと思います」と言っていたので、

すぐに帰宅したのかと思ったけど、

記者会見とか囲みとかあるので、一夜明けずにしゃべっちゃってますね(笑)

 

ジャンプ構成の変更については、ケージ君と詳しく語ってくれています。

 

面白過ぎるんだけど。

日本スケート連盟 on Instagram: "NHK杯2023男子シングルFS 演技終了後 #宇野昌磨 選手✨ 瞬時に構成を変えたり、 攻めの姿勢を崩さず滑り切りました。 その攻めの中でも 表現で忘れず魅せてくれました! お疲れ様でした! #NHKフィギュア #GPFigure #公式アンバサダー #大会レポーター #宮原知子#田中刑事 #本郷理華"

 

その後の報道を読むと、

やはり、4回転ジャンプ全部にq判定が付いたのは、

いろいろと思うところがあったようです。

 

⚠️ここ注意

宇野選手は、ジャッジを批判していません。

鍵山選手の優勝に水を差すつもりもありません。

 

宇野昌磨、回転不足連発の採点に疑問符「試合に出る意味を揺るがされるような試合になった」 : スポーツ報知

 

文句を言うよりもっと怖いことに、試合に対するモチベーションを、

むしり取られてしまった印象を受けました。

 

中国杯のあと、練習で注力していた4回転ループと4回転フリップ。

「これ以上ないだろう」という会心の出来で、GOEも大きな加点が付いたと思ったら、回転不足判定。

「あれでダメなら、これ以上は無理だ」と、

いきなり限界を突き付けられた感じでしょうか。

 

しかも、4本の4回転ジャンプ、すべてにqが付きました。

パワーのない選手が、無理に回ろうとして回転不足になりがちな例はありますが、

宇野選手は、回転不足を取られることが、あまりなかった選手です。

 

見ている私も、なぜあれが回転不足なのか、わからなかった。

怪しさは、まったくないように見えたのですが…。

 

「もう引退します」とか、「ファイナルは出ません」とか言いそうで、心配です。

 

私は、判定に納得できなかったら、

「おかしい」と疑問を呈して、FBをもらっていいと思います。

 

「頑張って改善したら、評価してくれるだろう」と、性善説を信じて努力しても、

かつての浅田真央さんのように、「彼女がトリプルアクセルを跳んだら、何が何でも回転不足にする」という目に合うかもしれません。

 

「真央さんがトリプルアクセルで踏み切った瞬間に、韓国のジャッジがマイナス3のボタンを押す」という衝撃の映像を、私は一生忘れませんよ。

 

フィンランド大会のときに、マッテオ・リッツォ選手が、

すばらしいフリーの演技をしました。

 

最近、挑戦している4回転ループも、会心の出来。

が、判定は、アンダーローテ。さらに、コリオシークエンスもノーカウントの判定で、

今日の昌磨のように、10点近く予想を下回る点数に、キスクラは失望した雰囲気に。

 

でも、試合後に彼は、言葉にしていました。

 

 

「やれることはやったので、自分には満足しています。でも、なぜループでアンダーローテーションを取られたのか、理解でません。ビデオを見直したけど、アンダーローテではありませんでした!加えて、コリオシークエンスがゼロ点で、それらによって10点失ったので、すごくフラストレーションを感じています!」

 

マッテオ君は、それがなければ銅メダルで、

グランプリシリーズのメダルは2つになっていました。

 

一貫性のないジャッジは、不公平なだけでなく、

選手のモチベーションを下げたり、

練習の方向性を混乱させたりすることになると思います。

 

私は、「ジャッジが信用できないから、即AIを導入すべき」とも思いません。

AIに学習させるのは人間ですし、AIを運用するのも人間なので、

「なぜ一貫性が必要なのか」を、まず人間が認識すべきだと思っています。

 

グランプリ“シリーズ”なんだから、

シリーズを通して同じ基準でなくてはおかしいし、

同じルール運用でないとおかしいです。

 

第一戦がスケート・アメリカなら、

大会の後にジャッジが集まって、

判定基準を確認してから第二戦に進む、というようなことは、行われているのでしょうか。

 

シリーズ全試合に同じ審判長が付いて、

全体を俯かんするくらいのことが求められると思います。

 

今回は、特に女子のジャンプが、審議、審議、審議マークで、

回転不足やエッジエラーが刺さりまくりでした。

刺さらなかった選手が生き残るサドンデスの様相を呈していて、

キスクラの選手の表情にも、疲労と困惑の色が見えました。

見ているこちらが、しんどかったです。

 

NHK杯は、グランプリシリーズ最終戦だったので、

「誰がどの色のメダルを獲るか、獲らないか」に、

大勢の選手たちのファイナル進出が左右される大会でした。

 

私は、ジャッジの判断は尊重すべきだと思っていますし、

陰謀論とか、そういうことを言う気はさらさらないけれど、

最終戦で、いきなり極端な厳しい採点は、いかがなものか、と思う。

 

「一貫性のないジャッジが、選手と観客を盛り下げてしまった」と、最後に感じた試合でした。