オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

チュッキョさんの“賭け”(THE ICE)

ザ・アイス(THE ICE)開催の第一報を受けて、昨日は興奮してブログを書きましたが、

落ち着いてくるといろんなことを思います。

 

おそらく、一番、話題になっているであろう「シングルスケーターは男子のみというキャスティング」について、長年のファンは、どう思っているのでしょうか。

 

THE ICE(ザ・アイス)| 公式サイト

 

“浅田真央ちゃんのアイスショー”というイメージだった頃からすると、

“女子スケーターの出演なし”なんて日が来るとは、想像もできなかったし、

「こんなのザ・アイスじゃない」と悲しんでいる人もいるかもしれません。

確かにそうですよね。よくわかります。

 

私は、「チュッキョさん、さすがだな」と思いました。

(昌磨がキャスティングされていた安堵感が前提ではありますが)

 

というのも、先日のスターズ・オン・アイスを見ながら、「ザ・アイスみたいだな」と思った瞬間があったんです。

 

昌磨の極上の『ボレロ』を始め、素晴らしい演技をたくさん見られて大満足で帰りましたが、

昌磨がいて、マリニン君がいて、ジュンファンがいて、花織ちゃんがいて、ルナ・ヘンがいて、友野くんがいて、メッシングさんがいて、チョク・ベイがいて…というリンクを見ながら、

「ザ・アイスでまた同じようなシーンを見るのかな」と。

 

二つのショーが、お互いの個性を消し合っている気がしたんです。

 

だから、スターズの直後に発表されたザ・アイスが大胆に舵を切ったのは、「先を見ているな。さすがだ」と思いました。

 

浅田真央さんの「BEYOND」や「Everlasting33」、高橋大輔さんの「滑走屋」や「氷艶」、羽生結弦さんのワンマンショー、宇野昌磨さんの「ワンピース」など、個性やコンセプトが際立った企画が評価される時代。

人気スケーターを集めただけでは、「絶対見たい」と観客に思わせるのは難しい。

チュッキョさんが“今年ひとつの賭けに出ました”と決意するのは、当然のことだと思います。

 

変わらなきゃ、ザ・アイスと言えど、存続できないのだと思います。

 

それに、私は、この2年ほど、ザ・アイスでの女子スケーターの起用の仕方に物足りなさを感じていました。

 

花織ちゃんとルナ・ヘンのコラボとか、舞依ちゃんとジュンファンのコラボとか、インパクトがある“ザ・アイスらしいもの”が見たかったけれど、

男子のグループナンバーに比べて印象の薄い(と私は感じた)グループナンバーで、ひとまとめにされている感がありました。(観客のニーズだったのかもしれませんが)

だから、“男子のみ”に振り切ったのは、ある意味、すっきりしました。

 

「男子スケーターのみ」っていうアイスショーは、世界的に見ても前例がないのではないでしょうか。(あったらすみません)

かつては、男子がフィギュアスケートやバレエを習っているだけで、いろいろと言われたものでした。

 

日本でも、女子ばかりに注目が集まり、大輔さんが奮起していた時代があったし、

米国では、ネイサンが意識改革に取り組んできましたよね。

例えば、彼の「シンプルで装飾の少ない衣装」は、ジュニアの選手たちに、ものすごい影響を与えました。

 

世界中で、人々の意識がどこまで変化しているのかわかりませんが、

市場の大きい日本で、男子スケーターだけのアイスショーが開かれるというのは、意味があると思います。

招かれた選手たちも、うれしいと思いますよ。

 

性別が絡む発言や企画はセンシティブなので、

チュッキョさんも“物議”や“賛否”と戦わなくてはいけないのかもしれませんが、

もとより覚悟あっての、“新しいザ・アイス”だと思います。

 

何より私は、チュッキョさんがスケーターに対して注いできた愛情を見知っているし、

今回のメッセージにも、ネイサンや出演が叶わなかったスケーターたちへの配慮が見えて、さすがだと思いました。

 

これが成功したら、女子スケーターだけの「フェアリー・オン・アイス」みたいなものが出てくる可能性もあるかもしれません。

 

チュッキョさんの“賭け”と“覚悟”を応援しています。