オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

The Guardian「ホルモン遮断薬を摂取した元ロシア女子スケーターの体験談」

こんばんは。外出自粛要請が出て、雪も降った週末の東京。
Netflixでサスペンスドラマを見過ぎて、疲れ切っている種子島ぴーです。

 

さて、世界選手権が延期され時期がずれたことで、当然、選手の明暗は分かれますよね。
モチベーションをどれだけ維持できるか、照準を合わせ直せるか・・・。

 

しかしですね。一つ、気になっていることがありました。
「半年以上時間が経ったとき、ロシア女子トリオは現状維持できているのか?」

 

半年~1年の間に身長が伸びたり、体型が変化する可能性は多いにあります。
誰とは言えませんが、とてもとても細い選手もいますよね。

そして、この数日、イギリスのThe Guardian誌に、女性スケーターについての記事が続けて出ていたので、スルーするわけにもいかず…ちょっとご紹介したいと思います。

 

とても長いので、記事を二つに分けます。
一つ目は、元ロシアのエリートスケーターだったAnastasia Kuprinyaさんのインタビュー。
トップフィギュアスケーターになるために、成長ホルモンをブロックする薬を摂取した女性の体験談です。

アイススケートのチャンピオンになるために、ホルモンブロッカーを摂取した。

www.theguardian.com

身体が変化し始めたとき、それを止めるために薬を使うようにアドバイスされた。
薬は裏目に出た。半年で36キロも太ってしまった。

4歳でアイススケートを始めました。
最初は、姉にくっ付いて。

でもすぐに、スケートは私の生活のすべてになりました。
2004年、10歳のとき、モスクワ選手権で優勝し、「スポーツの達人」という賞の候補者の一人になりました。スポーツに貴重な貢献をした国際チャンピオンに与えられる、ロシアの称号です。
私は、プロとして、オリンピックに出られる資質があると言われました。
学校には行きませんでした。一日6時間、練習しなくてはならなかったからです。
友人はすべてアイススケーターで、スケートのことしか知りませんでした。

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記事とは関係ないイメージ写真です

12歳のとき、思春期が訪れました。

月経がはじまり、急激に身体が変化しました。
私は平均的なティーンエイジャーでしたが、体型の変化が、最高のスケート選手になるのを邪魔する可能性があることが、すぐにわかりました。

身体が大きくなれば、チャンピオンになるために必要な複雑なジャンプが、跳べなくなります。

そのうえ、アイススケートでは、スリムで子どもっぽい体型が美の基準です。曲線的なボディではありません。
トレーニングは大変でした。厳しいダイエットを課せられたのです。
体重が1キロ増えると、いつもの15キロのランニングに加えて、さらに1キロ走らなければなりませんでした。

身体は極限まで酷使され、体重を減らそうと走りすぎてヒザを傷めました。

そんな努力にもかかわらず、体型は以前の状態には戻りませんでした。

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記事とは関係ないイメージ写真です

そのとき、ホルモンの生成をブロックする薬を服用するようにアドバイスされました。
その薬は、月経を止め、胸の成長を止め、若くてスリムな体型を保つのです。
私は、何の疑問も持ちませんでした。ロシアでは、若いアイススケート選手がホルモンブロッカー(ホルモン遮断薬)を使用して、身体の変化を防ぐことが広く知られていたからです。


ほとんどの場合、ホルモンブロッカーの服用は効果的です。

神経系や心臓の問題などの副作用は常に存在しますが、実際には誰も話しません。

私は、プロのジャッジが女性的な体型を好まないことを、性差別だとは思いません。胸の重さは、本当にジャンプに影響するんです。

しかし、多くの若い女性選手は、スポーツを完全に止めなればならない段階まで追いやられます。文字通り、身体を壊してしまうのです。

年齢を経たスケーターたちの多くは、競争によって身体が壊れているので、身体に金属のネジやプレートを入れています。

私の妹は25歳ですが、膝は偽物です。

私の場合、薬は裏目に出ました‥意図したものとは、逆効果になったのです。3カ月間服用しただけで、バストが急速に成長し、半年で36キロも体重が増えました。
もはや、トップクラスの大会で戦うチャンスは消え、私はスケートを止めました。

戦ってきたものすべてを失って、私は10代のほとんどを、ひどい鬱状態で過ごしました。

14歳で初めて学校に通い、いじめにも合いました。
たくさんいじめられ、いつも“太っている”と言われました。

それでも、腹は立ちませんでした。ロシアでは、太りすぎると叱られるのが普通だからです。

最終的には、私は自分が何者であるかを見つめ直し、自分の体重を意識しないことでしか、うつ状態から抜け出せないと気が付きました。
私は、自分自身を教育し始めることにしました。そして、スペイン語を学び、ロースクールに行きました。

ロシアでは、子供たちのために健康的なスポーツ環境を作るためのシステムが整っていません。

アイススケート界の一部の人たちは、これらの薬物療法を公に批判し始めましたが、私を守ってくれる場所はありませんでした。

私は今、コーチをしています。健康になるためにスケートをする子どもたちだけを教えています。プロになるつもりで、スケートをする子どもたちには教えません。

また、アイススケートはお金がかかるスポーツです。有名なコーチと一緒にトレーニングをしたい場合は、毎月数千ポンドを支払う必要があります。でも、健康のためにスケートクラスを必要とする子どもたちは、通常、多くのお金を持っていないので、私のレッスン料は、とても安いです。

自分がこうなったことと、スポーツ以外のことに目を向けるのに十分なほど若かったことに、感謝しています。

今私は、最高の自分になることができたのですから。

Anastasia Kuprinyaさんの告白を聞いて、どのように感じられましたか。

チャンピオンを目指せるほどの才能があり、体型を維持しないと選手生命がたたれるとしたら‥そのとき大人から薬をすすめられたら‥私が10代なら、間違いなく飲んでいたと思います。

残酷な結末です。今、自分を取り戻せて本当によかったと思います。

 

現在のロシアがどうなのかはわかりません。

ただ、以前、共産圏の国の体操選手は、みんなとても小柄で、薬で成長を止めていたことが後に明らかになりました。

あれはホルモンブロッカーだったのかな…