オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

The Guardian「彼女たちがスケート界を変えた代償は?」

先ほどの記事に続いて、

エテリ組の指導法に対して疑問を呈するThe Guardian誌の記事です。
長いので、部分的に訳しました。


日本にもファンが多いフィンランドの元代表選手キーラ・コルピさんが、自身の体験も交えて、思春期の少女スケーターの指導に問題提議をしています。

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氷上のグレース・ケリーかと思うほど美しかったキーラ・コルピさん

ただ、コルピさんは、エテリ組を批判はしていません。

自身の体験をベースに、また、子どもの権利活動家として意見を述べています。

 

ガーディアン誌は、批判的だと思います。

この記事に反論するロシアの記事も見かけました。

 

ロシアのお人形さんたちは、スケートを変えました。しかし、その代償は?

www.theguardian.com

外見は、フィギュアスケートにおいて、常に重要です。

このスポーツには、アスリートが苦痛やミスをおかしても笑うべきだという文化があります。選手が点数が出るのを待つキス&クライでは、感情をあらわにする様子を見せることはめったにありません。

審査員によって演技に不当な点数を付けられた場合でも、スケーターはカメラに向かってキスをし、群衆に手を振るでしょう。

どんなに腹が立っていても、彼らは決してそれを明かさず、代わりに黙って苦しむことを選びます。

「渦中にいるとき、それは悪循環です」とキーラ・コルピは言います。

キーラ・コルピは、フィンランドの2度のオリンピック代表選手であり、現在は、マンハッタンのニュースクールの心理学の学生であり、子供の権利活動家でもあります。

「スケートをしている子どもたちは、一部の文化的規範が、どれほど不健康で有毒であるかさえ、理解していません」。

先週、モントリオールで世界選手権が行われるはずでした。

しかし、新型コロナウィルスのパンデミックによって、開かれませんでした。

意図せずに、それがフィギュアスケート女子の勢力図を変えたかもしれません。
奇跡でも起きなければ、3人のロシアの女の子が表彰台を競ったでしょう。16歳のアリーナ・コストルナヤ、15歳のアンナ・シェルバコワとアレクサンドラ・トゥルソワ。

このトリオは、フィギュアスケートに革命をもたらしました。

昨年シニアにデビューをしたばかりですかが、スケート界に衝撃を与え、たくさんの記事の見出しになりました。
グランプリファイナルとヨーロッパ選手権で、表彰台を独占しました。

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イメージ写真です

彼女たちの何がそんなにいいのでしょうか?
えーと、驚くべきジャンプによって、最大限の技術点を獲得しています。
トゥルソワとシェルバコワは、スケートの聖杯をマスターしました。4回転ジャンプという、究極の要素を。

つい最近まで、空中で4回転するというのは、女性にとっては前代未聞の偉業でした。
しかし、懸念があります。

第一に、私たちは、女性のためのスケート大会ではなく、少女たちのジャンプ大会をやっているのでしょうか?
第二に、さらに重要なことですが、子どもの発達過程における、身体面、感情面、心理面の成功の代償は何でしょうか?

「最もよくない側面は、スケートや体操、おそらく他のスポーツでも、ほとんどの場合、非常に権威主義的な文化で育つことです」とコルピは言います。

「あなたは、『怪我をするのは自分が弱いから。心身状態の調整に失敗したら、それは自分が弱いからだ』と思って育つのです。でも、なぜ、子どもたちの身体は損なわれてしまうのでしょうか。

明らかに、アスリートには責任があります。

でも、人々は、コーチングに何か問題があるかどうか、決して問いません。トレーニングのし過ぎはなかったのでしょうか?

私は、12歳のアスリートについて、アメリカ、フィンランド、スウェーデンの医師に聞いたのですが…ロシアではもっと早くから始まると思いますが…疲労骨折などその年齢では起こりえない理由で、診察に訪れるそうです。

それは、訓練量が多すぎるという事実を示しています。そして、若い選手たちは、それに対して何ができるでしようか?」

ロシアの3人のティーンエイジャー全員が、同じコーチについています。

才能ある女性スケーターの確固たる地位を築いてきた、エテリ・トゥトベリーゼ。

彼女は評価の分かれる人物ですが、彼女についてはあまり知られていません。誰もが近しい関係にあるスケートコミュニティでは、珍しいことです。

彼女は、ユリア・リプニツカヤという赤いドレスを着た15歳の少女が、2014年のソチオリンピックで魔法のような演技を見せ、チーム戦でロシアが金メダルを獲得するのに欠かせない役割を果たしたとき、コーチとして名を上げました。

リプニツカヤはスターになり、翌月の世界選手権で2位になりましたが、身体が発達し始めたため、すぐに見捨てられました。

2016年には、完全にスケートを止めてしまいました。
疲れ果て、期待外れに終わった次の年、彼女は、長い間拒食症と戦っていたことを明らかにしました。
「もう、氷の上に魅力を感じません」と、彼女は忌々しげに言いました。

(中略)エテリは次の段階に移り、メドベージェワという天才を導いた。

⇒しかし彼女は、トレーニングメイトで3歳年下のザギトワにオリンピックで敗れ、カナダでキャリアを続ける道を選んだ。

⇒次のお気に入りはザギトワだったが、先日、休養を発表。

ザギトワは、こう言いました。

“Quads are too dangerous for me for the time being,” she said. “I will need to prepare for them physically and mentally. I will also need to lose some weight, something like 3kg, to decrease the risk of injuries.”

4回転ジャンプは、当分、私には危険すぎます。精神的、肉体的な準備が必要です。

怪我をするリスクを減らすために、3キロほど体重を減らす必要があります。

これで、論争が起こりましたよね。

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思春期は、女性スケーターの演技を大きく変える可能性があります。背が高くなり、体重は重くなります。予想されることです。

最も重要なことは、それは自然なことだということです。

しかし、一部のスケートコミュニティでは、それは望ましくない発達であり、4回転ジャンプなどのスキルに有害であると見なされています。

物理的な変化は、テクニックを微調整する必要を意味します。

そして時にコーチは、それに対する興味や忍耐力を持っていません。

代わりに、シェイアップされた若いスケーターを見つけるだけです。思春期前の体重が少ない人を。

だから、思春期の境にいるスケーターが、思春期に対する恐怖や懐疑を感じるのは、まっとうなことです。

特に見た目のイメージによるメッセージ性が話題になるスケートでは、選手が抱く根が深く不安定なパターンと一致しています。

「危険なことです」と、コルピは言います。
「私は、生理がこないことの危険を教えられたことはありませんでした。こないのは、いいことだと思っていました。

それによる症状は、誰も話してくれませんでした。

ホルモン機能が働かないことで、十分なエネルギーが得られず、疲労骨折が起こるという身体的な問題について。

こういった不健康についてメッセージを送るために、コミュニティに対して声をあげる必要があります。

この考え方は、常に食事を制限し、体重を減らすべきであり、何を制限しなければならないかに関わらず、制限、制限…。そのようなメッセージは、とても心配です。
私は、心身が壊れてしまったアスリートをたくさん知っています。

(中略)

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「トレーニングやコーチングで深刻な感情的虐待があり得ます。

スケートは、どのように発展してきたか、クレイジーな難度ジャンプへの評価、身体的にまだ大人になっていないほうがジャンプが跳びやすいという事実などから、児童虐待につながりやすいのかもしれません。

ロボットのように心と身体を扱えるほうが、うまくいくのです。
コーチは成功への鍵を握っています。しかし、コーチングが感情的に虐待的である場合、たいへん劇的な結果をもたらす可能性があり、親子間の虐待とよく比較されます」

(中略)

世界選手権が延期され、ロシアの10代トリオは、年末まで再び競技会に参加することはできません。

その時には、彼女たちの身体は劇的に変化し、トゥトベリーゼは、次のプロジェクトに移っているかもしれません。

「私は、エテリの子ども工場が最大の問題だとは思っていません。問題は、このスポーツの病んだ文化です。

エテリの工場は、スケートというスポーツが持つ非人道的な方向性と文化の象徴です。彼女が原因ではありません。
彼女と同じような方法で教えている多くのコーチがいて、このやり方を支持している多くの連盟があります」

(中略)
「多くの人々にとって、スケートはもはや面白くありません。人々は、女の子ではなく、感情的に成熟した女性スケーターを見たいのです。私もそうですが、こういったとてもとても幼いスター選手を見るのは、つらいです。演技と成功の裏にあるものを、考えずにはいられないですから」 

エテリ組の指導に疑問を呈するガーディアン誌と、

エテリ組だけの話ではないとを指摘するキーラ・コルピさん。

虐待に通じる面があることにも触れていて、それは私も感じていたことです。

 

13歳くらいで鬼のように4回転ジャンプを跳ぶ練習を繰り返し、身体への衝撃はどうなるのでしょうか?

しかもそれは、コーチに強制されたことではない…勝つために自主的にやっている…と本人たちは思っている。しかも、めったに褒められるこはない。

うーん…これは…明らかに…

 

次回はもっと、たのしい記事を書きます。

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すみません