オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

かなだい。試練の回数は、成長スピードに比例する。

こんにちは。早朝の四大陸選手権アイスダンスFD。

「見たいけど、怖い」。

という葛藤を乗り越え、早起きしてスタンバイ。

ライブで“かなだい”の『オペラ座の怪人』を見ました。

 

私の「あ゛―」という叫び声で目覚めた夫は、

クッションに突っ伏している私とパソコンの画面ですべてを悟り、

静かに立ち去ったそうです。

 

あれから、気持ちの整理をするのに時間がかかったのですが、

ようやく納得できたので、自分に向けて書き留めておこうと思います。

 

ここまで四大陸選手権を見てきて、

酸素濃度の低さが心配でした。

特に、“かなだい”は、現地入りが遅かったので、「体が環境に順応していないのではないか」と。

 

ですが、報道によって、高地での反応が体に出るのが3、4日後なので、あえてギリギリに現地入りしたことがわかりました。

ただ、今日あたりは、ちょうど影響が出る頃かもしれず、結局、いずれかの時点で影響はあるということかも。

 

二人の『オペラ座の怪人』の前半は、見事でした。

 

 

最初の見せ場、コレオグラフィック・キャラクター・ステップ・シークエンス(で合ってる?)では、世界観がずば抜けていて、一気にオペラ座の空間へ。

 

続くローテ―ショナル・リフトは、「おおお!!」と息を呑むスピードと切れ味で、

「また進化している!」と興奮しました。

 

ただ、緊張と集中、力みは、体力と酸素を消費するので、

「冒頭からこんなに集中して大丈夫なのか?!」という心配はありました。

 

しかし、私の心配をよそに、二人は、魅せる魅せる。

テクニカルボードの数字がどんどん上がり、ずらりと並んだグリーン。

スピードを維持したまま、後半へ。

 

「このまま演じ切るのか」と思ったところで、ちょっとスピードが落ちてきて…。

ロマンチックなダイアゴナル・ステップのシーンで、大ちゃんがまさかの転倒。

それ以降は、なんか、様子がおかしかった。

 

最後のリフトでは、朦朧とする意識の中、哉中ちゃんを落とさないように、必死に下敷きになろうとしているかのようでした。

 

いつもなら、ミスがあっても満面の笑みをたたえて観客席に挨拶する大輔氏なのに、

今日は、1回ニコリとするのが精いっぱいのようでした。

 

リンクから上がる時も、小柄なズエワコーチに体を預けるようにしていて、珍しかった。

 

 

キスクラでも、体が動かないみたいでした。

 

直後のインタビューでは、大ちゃんの顔色が赤黒くて、完全に酸素不足ですよね。あれは、日焼けじゃないです。

話すのもつらそうで、哉中ちゃんが、一生懸命フォローしているのがわかりました。

本当は、早く横になりたかったのではないでしょうか。

 

 

私も、運動中に一度だけ酸欠になった経験がありますが、全身の力が抜けて、脚に力なんて入れられないし、頭が働かない状態。

それで、人を持ち上げて氷の上で回転するなんて、無理でしょう。

 

酸素が薄い高地で競技をするのは、スケーターにとって危険すぎ。

能力や努力と無関係の「低酸素」によって、結果や演技が左右されるのは、

試合でもなんでもないと思います。

 

昨日は書き忘れましたが、ボーヤン・ジン選手は、

フリーの演技後、リンクに倒れ込んで動けず、4段階くらいに分けて、必死に立ち上がっていました。

肺がドックン、ドックンと大きく動いているのが見えて、怖かったです。

彼のように、コロナ感染経験がある人の中には、肺にダメージを受けている人も多いと聞きます。理由はわかりませんが、中国のペアとアイスダンスは、棄権しましたよね。

 

コロナ禍での高地開催は、諸事情はあれども、もう少し考えるべきだったと思います。

(もう、コロラドスプリングスは、止めてほしい)

 

ただ、この環境の中でも、いい演技をした選手もいました。

自分が応援しているスケーターが、このような目に遭ってしまうのは、やはりつらい。

 

それで、ずっと考えていたのですが、

結論としては、

「試練の回数は、成長スピードに比例する」ということ。

 

“かなだい”は、他のアイスダンサーの10倍くらいのスピードで成長し、進化しています。

他の組の1年は、“かなだい”の1カ月ぐらいではないでしょうか。

 

だから、他の組が10年の間にいろいろ経験する試練、「スケジュールがタイト」とか「体調不良」とか「過酷な試合環境」とか、そういったことで起こるミスやトラブルが、

短期間にギュッと凝縮して発生するのでしょう。

 

「結成1、2年で、主要な国際大会に出てノーミスの演技をする」なんてことは、

どう考えたってあり得ない。

 

だから、「結成1、2年で主要な国際大会に出るのは快挙。でも、当然、ミスは毎回あるよ」くらいの捉え方でいいのかな、と。

 

だから、シングルの選手が、「大量のミスをして“どん底”だったけど、あそこから這い上がりました」というのとは明らかに違って、

 

「ずっと上り坂だけど、経験が少ないからいろんな目に遭うよね」ってことだと思う。

 

そう思ったら、今回のミスも、

♪テレレ レッテッレー♪高地の魔物と戦って、勇者の経験値が上がりました。

ってことで、納得。

 

 

まずは、ゆっくり体を休めてもらって、

今シーズンのラスボス 世界選手権に向けてゴー!ゴー!