オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

マリニン君のこと

スターズオンアイス米国ツアーで、

元気そうなマリニン君の笑顔を見て、

ほっとしている種子島ぴーです。

 

©ilia_quadg0d_malinin:Instagram

Ilia Malinin on Instagram: "Thrilled to be reunited with my friends @starsonice for our US tour. #starsonice #tour #soi2023 #skating #iceshow"

 

きょうは、ちょっと難しいテーマで、

うまく書けるかわからないのですが、

マリニン君の件について、書いてみようと思います。

 

物議をかもした発言

マリニン君は少し前に、「インスタライブで、同性愛者を差別する発言をした」と、物議をかもし、批判されました。

 

一般的に伝えられている発言は、

「僕の演技構成点(PCS)が上がらないのは、ゲイじゃないから」というもの。

 

そこから尾ひれが付いて

  • 性的マイノリティへの差別発言である。
  • 自分のPCSが低い理由を分かっていない。
  • 傲慢だ。
  • (特定の選手の名前を挙げ)「J選手は、マリニンにいつも親切なのに失礼だ」

 

マリニン君は、すぐにインスタに謝罪文を掲載しましたが、

まずい言葉のチョイスを突かれて、再炎上。

(「ティーンエイジャーとしての間違い」とか「ジョーク」とか書かれていた気がします)

 

その後、米国スケート連盟のすすめで、彼は更生プログラムを受講することになりました。

 

騒ぎになった瞬間は、炎上を後押しするので触れずにいましたが、

一段落し、彼への誤ったイメージも拡散されつつあるので、

私なりに思うことを書いてみようと思います。

 

というのも、私は、あのインスタライブを見ていたので(途中まで)、

騒動に違和感を覚えたからです。

 

私は、ライブを見ていた

ライブのメンバーは男子3人で、

マリニン君ともう一人が自宅から、

もう一人はクルマの中から参加していました。

 

ライブ開始時の視聴者は、400人台。

数分たったところで、一度ブチッと切れました。

 

10分くらいして再開してからの視聴者は、500~600人くらいだったと思います。

 

ライブが始まった途端、コメント欄に、

先ごろ引退した日本人スケーターHさんに関する質問が、

Hさんのファンと思われる方によって書き込まれました。

 

「早速、来たか」と思いました。

純粋に自分の好きなスケーターへのコメントもしくは称賛を聞きたかったのかもしれませんが、地雷は、そこここにあったと思います。

また、数百人しかいない視聴者の一人が、ライブを録画して拡散したことも不思議でした。

 

マリニンのライブを見ているのは、マリニンのファンだけにあらず、です。

 

3人のトークでしたが、ネタの中心は、必然的にマリニン君になりました。

友「次のシーズンのプロは何やるの。クラシックやれよ。ボレロは?」

マ「クラシックはいやだよ。ボレロもやらない」みたいな話とか。

 

これだって、悪意があれば、昌磨のボレロと関連づけてからむこともできますが、

くだらないので、そんなことはしません。

 

世界選手権、国別対抗戦の後でもあり、

友「マリニン、おまえPCS上げなきゃだめだろ」みたいなイジリがあり、

そのあたりからの話だったように記憶しています。

 

ただ、私もはっきりと聞き取ったわけではないし、

全体的にガヤガヤと落ち着かない男子のおしゃべりだったので、

途中で疲れて聴くのを止めました。

 

問題の部分で、拡散されている動画を見直してみましたが、

 

友「イリヤ、君はストレートであることを証明する必要があるの?」

マ「は?何?どういうこと?」←友人の言っている意味がわからないと言った風に、顔をしかめて。

友「おまえ、ストレートなの?」←明らかに友人にからかわれている。

マ「あ~、正直に話そう。ストレートでいることはできないよ。プログラムコンポーネンツ(PCS)を上げなきゃいけないから、『ストレートじゃない』って言わないと。そうすれば、僕のPCSは上がる」

友「賢くやらないと」

マ「うん、賢くやらなきゃ」

(笑)(笑)

 

文字にすると強くなるけど、

どう考えても、友人間のバカ話で、

真剣に話していたわけではありません。

特定の選手の名前をあげたわけでもなかった。

 

も・ち・ろ・ん、ですよ、PCSを「ストレートかどうか」に結び付けるのはアホだし(そんなのマリニン本人だって、わかってるでしょうよ!!)、

「発言の根底に差別意識がある」と言われれば、

差別意識というよりも、誤った先入観、とらえ方があるのは、そうだと思う。

 

公の場で話すなと言われれば、その通り。

 

ただ、あの時は、誰かを傷つけているというよりも、自嘲している感じ。

 

むしろ、世界選手権でも国別でも、

ジェイソンやケヴィンが神演技を披露して大活躍した直後なので、

「すごいよね」っていう気持ちがあったんじゃないかと思います。

試合後の取材でも、彼はPCSを上げるとめに努力中だし努力していると話していましたよね。

マリニンがジェイソンを尊敬していることは、

先シーズンの試合やショーを見た人にはわかることです。

 

今後も繰り返し起きること

性的マイノリティを無意識のうちに傷つけてしまう言動は、

誰にでも起こりうるし、今後も繰り返しこのような問題が起こると思っています。

 

なぜなら、私自身の知識と認識も、甘く、浅く、お粗末なものだからです。

「自分は差別主義者ではない」と思っていても、

いつ不用意な発言をしないとも限らない。

 

たとえば、男性スケーターが女装したり、

女性を真似たしぐさ(この表現OK??)をしている姿を、

喜んだり楽しんだりするのはどうなのか。

 

コメディ要素にきわどいセリフが入っている映画やドラマは、

世界中にあふれています。

 

どんな言葉や意識が、誰をどのように傷つけてしまうのか。

時間をかけて学んで、染みついた意識を変えていくしかない。

 

だから、あの発言で、マリニン君を「差別主義者」「傲慢」と批判し、

選手生命まで葬り去ろうと躍起になっている人たちには、別の意図を感じました。

 

驚いたことに、マリニン君を批判している意識高い系(?)のはずの人の中には、

カミングアウトしているスケーターや、ゲイと言われているスケーターを、

「J子」「S子」といった「子」付けの愛称で呼んでいる人もいるんです。

 

名前の最後に「子」を付けるのは、伝統的に女性の名前ですよね。

海外で、ゲイの人にミスやミセスを付けて呼んだり、

女性の名前みたいにして呼んだら、大問題になるのでは?

 

結局みんな、そんな程度の理解度であり、そんな程度の正義感。

 

マリニン君の発言をきっかけに、

お互いに、この問題に対する理解を深めていきたいですよね。

 

マリニン君、また元気に日本に来てね。

待ってるよ。