こんばんは。スケーティングが上手い選手の筆頭と言えば、
ダントツでカナダのパトリック・チャンだった時代がありました。
カナダの10年連続チャンピオン、3度の世界選手権優勝、オリンピックのメダルを3個保持
私は、ソチオリンピック優勝ほぼ間違いなし、と言われていた彼が残念な結末になってしまったとき、彼の身になって考えすぎてしまったがゆえに、つらい記憶が残っています。
しかし、現在は、アイスショーにも出演するが、基本はビジネスパーソンとなり、しあわせな家庭も築いているパトリック。素敵な進路の一例だと思います。
そんなパトリック・チャンのインタビュー記事が、Olympics.comに掲載されています。
パトリック・チャン独占インタビュー:宇野昌磨の選手生命の長さ、イリア・マリニンの4A、そして、フィギュア引退後の彼の人生
その中で、「Patrick Chan on Uno Shoma vs. Ilia Malinin-パトリック・チャンが語る宇野昌磨 vs.イリア・マリニン」の部分を意訳します。(自分の中で咀嚼しているので、本当に意訳ですのでご了承ください)
前回、カナダで世界選手権が開催されたとき、パトリック・チャンは、3年連続3度目の優勝を2013年に飾り、急成長を遂げていた羽生結弦と並んでオリンピックの優勝候補に浮上していた。
2020年のモントリオールでの世界選手権開催は、コロナのパンデミックによって中止され、本年度の開催となった。大会の4つのカテゴリーすべてが大きな注目を集めているが、おそらく、最大の関心は、米国の10代イリア・マリニンが、初のタイトルを獲得する準備が整っているように見える男子シングルだろう。
男子シングルで4回転ジャンプが必須となった時代の一員であるチャンは、マリニンの4回転アクセル成功を、驚きを持って注視してきた。
「称賛の眼差しで見ています。スケートの限界を押し上げ、誰も達成したことのない段階で、エベレストに登ったようなものです」と、言い切った。
しかし、マリニンは今後2年間、身体的コンディションを維持しながら、芸術性にも磨きをかけることができるだろうか?
2年連続優勝している現チャンピオンの宇野昌磨は、引き続き、優勝候補に数えられていたいだろうし、もう一人の日本人スケーター鍵山優真は、2022-23シーズンに怪我で妨げられたものの、今シーズン、本格的に巻き返している。
「昌磨は、まだ現役で滑っている、私の最後の“同志”です。そして、『まだ滑っている』。それこそが、私がスケーターに求めるものです」と、2018年のオリンピックで個人銀メダル、2022年に銅メダルを獲得した宇野について、チャンは語りました。
「私は、多くのスケーターが、怪我をして、体がスケートの技術的要求についていけなくなって、辞めてしまうことを恐れています」と、チャン。
宇野は、ミラノ・コルティナ2026オリンピックまで、マリニンを破るために頑張れるかどうかについては疑問を呈しているが、
*(「マリニン君の時代が来るから、来年は勝てないかも」という発言等を指していると思われます)
パトリック・チャンは、ミラノまで続けたほうが賢明だと考えている…ただし、昌磨自身がそれを選んだ場合に限るが。
「彼は、次のオリンピックに行くべきだと、本当に思っているよ」と、チャンは宇野について語った。
「これは、彼にとってチャンスだと思う。彼が向き合ってきた多くの競争相手は、もう競技を引退しています。彼は、十分長く、スケートに時間を費やしてきました。お馴染みの顔です。毎年毎年、安定して試合の場に戻ってきました。
昌磨はベテランです。彼が2026年オリンピックに出るのを見たいです。彼がオリンピックチャンピオンになる、最高のチャンスだと思います」
パトリックの昌磨に対する、温かいまなざしがうれしい。
昌磨よりも、一つ世代が上だと思っていましたが、
“後輩”というよりも、“同志”として見ているんですね。
そして、オリンピック金メダルが確実視されていたのに、その手につかめなかった…という経験からの、俯瞰した視点に説得力を感じました。
オリンピックまで、まだ2年あります。
昌磨が、男子スケーターとしては最年長組で、ピークを過ぎていくかのような持って行き方、流れがあるようなないような気配ですが、
パトリックの言葉を訳すうちに、「あと2年」は、
昌磨にとって、有利に働くような気がしてきました。
つまり、年齢的に不利になるのではなく、
昌磨の超安定性が、武器になるのではないか?と。
宇野昌磨を応援する者としては、昨今の流れに心が乱れることもありますし、
ISUアワードも、なんだかなぁと思ったし、
今度の世界選手権で、何かが明らかになる気もしていますが、
競技を一歩引いて見ているパトリック・チャンの言葉に、
♪なんか行けそうな気がする~
と、明るい気持ちになったのでした。