オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

昌磨と同世代のサマリン選手引退

ロシアで長らく男子トップグループにいたアレクサンドル・サマリン選手(25歳)が、

ロシアで開催中のスポーツイベントで、キャリアを終了することを話しました。

 

 

インスタ等での正式なコメントはまだないですが、

「最高の結果ではないけれど、トップグループで演技を終えられてよかった。」というコメントがあったので、ほぼ間違いないのかな。

 

サマリン選手と言えば、ジュニアの頃から国際大会で頭角を現し、

演技はもちろん、ブロンドにブルーアイで、ファンの多い選手でした。

昌磨が優勝したジュニア世界選手権にも、一緒に出ていて、

シニアに上がったのは、昌磨のほうが早いですが、何度も同じ大会に出場しています。

 

私の記憶にあるのは、

長身から放たれる、大砲級の4回転ルッツと3回転トゥのコンビネーションジャンプ。

決まると、加点も入れて20点くらい稼いでしまう、強烈なジャンプでしたよね。

 

プログラムで一番似合っていたと思うのは、2020-2021年シーズンの『ポーリュシカ・ポーレ』です。

試合で演じることは少なかったのですが、皮肉なことにロシア民族音楽、軍歌(?)でもあるので、ウクライナ侵攻後は、国内のショーで演じられることが少なくないようです。

 

怪我に苦しんだ期間がありましたが、絶好調&ピークだったのは、おそらく2019年前後。

欧州選手権で2位になり、グランプリファイナルにも出場しました。

 

2019年と言えば、宇野昌磨選手は、山田コーチの元を巣立ち、

コーチなしで挑んだフランス大会で精神的に“どん底”へ。

一方のサマリンは、ネイサンに続く銀メダルで絶好調。

 

そのメダリスト会見で、“日本の”記者が、昌磨の演技に対するコメントを求めたときのこと。

露サマリン選手 宇野選手の大失敗について 日本人記者からの質問にコメント拒否 - 2019年11月3日, Sputnik 日本

サマリンはこの質問に驚いた表情を見せ、「他の選手の演技にコメントするのは正しいことではないと思う」と答えた。

「宇野昌磨選手の演技は見ませんでした。 でもどんな場合でも他の選手の演技を批評することは私にはできません。 宇野さんが才能ある人であることはみんなが知っているでしょう。 それに彼なら絶対立ち直って、 見事な演技をみせてくれるはずですよ。」

 

質問した日本の記者が恥ずかしいが、人間性がわかるコメントですね。

確かネイサンも、「昌磨はすばらしいスケーター。必ずまたここに戻ってくる」と言ってくれたと記憶しています。

スケートは、自分との戦い。ジュニアの頃から、お互いに頑張っている姿を見ているので、一時的な試合での順位に関係なく、相手を理解しリスペクトしているのでしょう。

 

そんな、謙虚で心優しいサマリン選手は、続くロステレコム杯では、優勝。2位アリエフ、3位イグナトフと、ロシア勢が表彰台を総なめにした珍しい大会として、記憶に残っています。

 

不調だった昌磨は、ステファンを仮のコーチとして同伴し、不調にもかかわらず3位と0.63点差の4位。

 

 

If Stephane (Lambiel) wasn’t there, then there is no smile - Shoma Uno, Japan

もしステファンが一緒じゃなかったら、笑顔になれなかった。

 

あの時が、昌磨が不死鳥に化身する起点でした。

 

サマリン選手は、私の好きなドミトリー・アリエフとも仲がよく、

人をうらやんだり攻撃したりしない穏やかな性格だと伝え聞いています。

 

ロシアのウクライナ侵攻後は、召集令状を受け取ったというニュースも流れて心配しましたが、スケーターとして、第一線で活躍し続けました。

この先の進路はわかりませんが、しあわせな未来であってほしいと思います。