いやー、どゆこと? なんて凄まじすぎる試合でしょうか。
昨夜に引き続き、深夜3時だというのに、
眠気が吹っ飛んで、興奮で眠れそうにありません。
GPフランス大会男子フリー。
金メダル争いは、SPの上位3名、イリア・マリニン、アダム・シャオ・イム・ファ、鍵山優真(以下敬称略)の戦いと思われました。
しかし、その前に、
スイスのルーカス・ブリッチギー選手が、すばらしいフリーを見せてくれました。
曲は、『Enduring Hope』他。振付は、かのアダム・ソーリャ。
アフリカの野生を感じさせる音楽と個性的な衣装。
面白いプログラムだし、ブリッチギー選手から「表現したい」という明確な意思が伝わってきました。
しかも、身体能力の高さとパワー全開で、ほぼノーミスで演じ切りました。
会場は、大喝采。若手ではないけれど、この1、2年で、とても目立ってきた選手です。
フリーは、全体3位でした。
そして、登場したのは、SPでも怪我からのスーパーカムバックを見せつけた鍵山ゆまちの『Rain, in Your Black Eyes』。
ジャンプのフローが驚異的。おそらく、大会一だと思います。
高速で入って、ものすごい飛距離を出してから、スピードが一切落ちずにすーーーっと流れていく。
次々に繰り出される美しいジャンプに、目を奪われるしかありませんでした。
アクセルのパンクが~、もったいなかった😨
「これが、コストナーと磨いた表現力か」と、SPとの明らかな違いを感じました。
フリーは、ブリッチギーに次ぐ暫定2位。総合で暫定トップへ。
次に登場したのは、開催国の期待を一身に背負ったアダム・シャオ・イム・ファ。
欧州王者ですが、プレシーズンは安定感がなかったので、
ここで崩れたらどうしよう…と、緊張しました。
しかし、とんでもなく素晴らしい、度肝を抜かれるようなフリーでした。
『Departure』他。冒頭のパントマイムから、目が釘付けになりました。
いつも、「うっ、苦しい、毒リンゴを食べてしまった。早く体内から邪悪なものを出さなくては」というストーリーで見ています。
で、「この場面、この状況で、彼の精神力やいかに?!」と思って見ていましたが、
とても落ち着いていました。
4LzがGOE+3.78、4T+2Tが+2.44、4Sが+3.46、4Tが+2.99と、
ハイクオリティな4回転4本に、3A2本。
さらに、身体能力と演劇性を一つの鍋で煮込んだような、
恐ろしいステップとスピン。
これほどの演技ができたなら、点数なんてもう、どうでもいいでしょう。
技術点ボードは、速報値で115.85点。
観客は、熱狂!熱狂!熱狂!
アダムも、バックフリップをしながらリンクを引き上げていきました。
(前にも書いたけど、足首を痛めそうな着地だから止めて😨)
得点は、当然200点を超えるでしょう。
と思ったら、はい、205.71点!!
総合306.78点で、300点倶楽部の仲間入りを果たしました。
ラストに登場したのは、イリア・マリニン。
この状況で、彼がどのような戦いを見せるのか。
「アダムに205点を出されたから、焦って4Aを入れちゃうんじゃないか」とか、
またまた素人考えで冷や汗かいてました。ちゃんと、コーチのマリニンパパがついてるってば(笑)
曲は、ドラマ『Succession』のサントラです。
マリニン君、とても落ち着いていました。
でも、印象としては、ジャンプを跳ぶとき、少し慎重になっていた気がします。当たり前か。マリニン君比で、抑え気味でした。
それでも、予定構成通りに、じわっじわっと得点を重ねて、
アダム・シャオ・イム・ファの技術点に近づいていく様子は、鳥肌ものでした。
4回転ルッツのGOE+4.11って、すごすぎないですか?
4回転の中でも、もっとも難しいジャンプのはずですよね。
ステップの鬼迫も十分。
後半、緊張からか、軸が斜めになって着氷が乱れるジャンプがあったものの、
技術点は、わずかにアダムを上回りました。
うーん、どうだろう?! PCSは、アダムのほうが上のはず。
ここへきて、SPのステップでの尻もち減点1が響いてしまうのか?!
どっちだ、さぁ、どっちだー
フリーの得点は、203.10点。
総合得点は、304.68点。
アダムとの差は、2.1点で、総合2位となりました。
しかし、現地に来る直前に、スケート靴のブレードが折れて取り換えるというアクシデントがあったそうですが、
それでもここまでやれるとは、昨シーズンとは段違いに成長した、恐るべしマリニン君。
そして、304.68点出しても、優勝できないのねー。
306.78 vs. 304.68。
アダムとマリニンの、伝説になりそうな名勝負。
こんなすごい試合が見られるなんて、しあわせです。
🥇アダム・シャオ・イム・ファ 306.78
🥈イリア・マリニン 304.68
🥉鍵山優真 273.14
この後の中国杯、フィンランド大会、NHK杯でも、
こんな興奮する試合が見られるといいなぁ。