言葉が出てこないほどの、衝撃。
かつてないほど、近年最高に、
昌磨の演技に心を揺さぶられました。
今季世界最高得点を出した中国杯よりも、断然よかった、
今日の『I Love You Kung Fu/Clair de Lune』。
競技の中で、ジャンプもやりながら、“表現する”という部分に全力を尽くす。
何度も繰り返してきたあの言葉は、こういうことだったのか。
これが、昌磨のやりたかったことなのね。
と、納得しました。
3Aを跳び終わったあたりから、ずっとプルプル震えてました。
すごい。ものすごい演技だった。
鍵山選手が、105.51というすごい得点を叩き出したとき、
「誰も勝てないな」と思いました。
もっと点数が出ると思ったくらいです。
(ただ、なぜか私は、ゆまちの演技とコネクトできないんです)
で、こういう状況で、昌磨がどう戦うのか?
「もしかすると、ジャンプが崩れて、演技も崩れてしまうかもしれない」
という、久々に緊張感高まる中での昌磨登場。
リンクに出て行ったとき、いつもより表情が険しく、
靴のカバーをはずす動作が荒々しく見えました。
両手の指先に、ふーっと息を吹きかけていたので、
「緊張で手が冷たくなっているのだろうか?」など思って、さらに緊張。
そして、動きだした瞬間、
ザ・アイスで見たときよりも、中国杯で見たときよりも、
“ただ美しい”ではない何か、が見えました。
そこからは、もう、昌磨の頭のてっぺんからつま先までの動きを凝視し、
息を止めて見ていました。
ステファンが、「この曲を聴いたとき、夜の歩道を、月明りの下で歩いていく昌磨が浮かんだ」みたいなことを、どこかで言っていたのを思い出しました。
ザ・アイスで初めて見たとき、私も月明りの中で不思議に光る生命体を見た思いでしたが、
中国杯では、照明もなく、もっと現実世界の演技に感じられました。
でも、今日、照明がないドームの中で、
再び、月明りの中で発光している昌磨が見えました。
ステップの途中の、
吐息のような「アイ」「ラ」「ビュ」の一文字一文字にも感情が込められ、
見事としか言いようがない表現の世界。
そのうえで、きっちり降りた4回転フリップ。
4回転トゥに3回転トゥを付けたのは、
中国杯のときには、「勝敗にこだわらなくなったからかも(失敗を気にしない)」と話していましたが、
今日の4T+3Tには、確かな闘争心が見えたと思う。
「ジャンプも表現も両方やり切りたい」という言葉通りの演技を、
確かに、私は受け取りました。
そして、私の好きな「試合の宇野昌磨」を再び見たことに、感動しました。
点数は、何点でもいいし、
ジャンプが回転不足でも、気にならない。
今日の演技は、何回も何回も見ると思う。
何回も何回も見ると思う。