こんにちは。欧州選手権男子が終わりました。
すばらしい演技と感動、そして、ちょっぴり後味の悪さ(困惑)を残しながらの試合だったと思います。
最終グループの流れと感想を、感情だけで書いていくと、
まず、第一滑走は、マッテオ・リッツォの『Fix You』。
はい、お気に入りです。
そして、琴線に触れる演技に、涙がにじみました。
メダルを獲ってほしいと思いながら見ていました。
大会後に、怪我の手術を控えていましたが、後ろ向きではなく、表彰台が目標と話していたマッテオ君。冒頭の4Tを完璧に跳んで、うぉぉぉぉ💪
次々にジャンプを決めていって、実況も叫びました。
マッテオ イズ オン ファイア~!! マッテオ、絶好調!!
1カ所だけ、見せ場のツイヅルからの3Aが、
ツイヅルの方向がも~、「あ゛~」って壁に向かっていってしまって転倒。
しかし、立ち上がって、小さく拳を振り上げたマッテオ君。
転倒したのにガッツポーズ??と不思議でしたが、試合後のインタビューで、
「あの3Aがメダルを左右すると思っていたので、失敗して、観客の力を借りて頑張りたくて小さなジェスチャーをした」と。
感情あふれるステップ、心をつかむステップ。
演技後、泣いているお客さんがたくさん見えました。
170.44点で、暫定トップへ。
続いて、デニス・ヴァシリエフスの『ブルース・デラックス』。
胸元のざっくり度が、増し増しになってる気がするけど、ユーロバージョン??
デニスも、エモーショナル&オン・ファイアーだった。
冒頭に果敢に跳んだ4Sは、惜しくも転倒。
しかし、2本目も果敢に4Sに挑戦。単独でリピート扱いになったけれど、それがなんだって言うの?! その勇気がすごいよ!
3A+2Aもループもがんがんに決めて、高速のシット・デニス・スピンも、すべての音を拾ったステップも、デニス イズ オン ファイア~!!
彼が、すべてを出し切れた演技を久しぶりに見られた気がします。
小さい頃、スケートを始めたリンクに近いこの場所で、
複雑な感情に包まれての試合…と話していましたが、
希望どおり、すべてが合致したすばらしい瞬間の演技を、見せていただきました。
オール・スタンディングオベーションと、観客席に揺れるたくさんのラトビア国旗に、鳥肌が立ちました。
続いて、マッテオ君、グラッスルに代わって、しばしイタリアを背負う男、フランジパーニの『これからも僕はいるよ』。
この赤い、スカーフ付きの衣装、けっこう好きなんですよね。
ちょっと、力が入ってしまったのか、冒頭の4Tが3Tになってしまいましたが、
最近の彼は、ミスをしても大きく崩れない。続く4Sは、がっしり着氷して、骨太の『これからも僕はいるよ』に、ああ、安心。
しかし、それでも、先輩、マッテオ君の方が順位は上のままでした。
さてさて、本日の大一番は、SP3位でフリーに進んできた、エストニアのアレグザンダー・セレフコ。
昨日のSPがまぐれではないことを証明する、感嘆すべき演技でした。
冒頭の4Tは、惚れ惚れするような出来。
3A+3Tもフリップもループも、ガシッ、バシッと着氷していきまして、
「うぐっ」「ぐぉぉっーっ」と、見ているこっちが野獣系になって画面にかぶりつき、セレフコと私のどっちがアスリートかわからない感じになっておりました。
一番の見せ場は、後半のジャンプ。
3A+2Tが2A+2Tになってしまって、一瞬ひやりとしましたが、
返す刀で3Lz+2A+2Tのコンビネーション。新鮮だー!!
最後のスピンも、感情がぐわーーーっと高まる、芸術的なスピンでした。
この演技、見ていない人がいたら、必見です。
この演技は、まぐれじゃないはず。体型も以前と変化していて、筋トレもしたんだろうなぁ。
なんという、なんという素晴らしい演技。
得点は、フリーは暫定2位ですが、SPの貯金があるから、
暫定1位のマッテオ君より上の順位になるのではないでしょうか。
おぉ、暫定トップだ!! メダル確定です。
エストニアに、ユーロ史上初のメダルをもたらしました。
フリーに進めなかった弟も、会場で兄の雄姿をカメラに収めます。
かわいい笑顔。
残るは二人。
まずは、SPトップのアダム・シヤオ・イムファ。
プログラムは、『タイプライターを打って、ファックスで送って、丸めて飲み込んで吐き出してギュン』です。
冒頭のパントマイムは、いつも通り念入りだったのですが、
ジャンプがとても不安定。
冒頭の4回転ルッツは、踏ん張った。4回転トゥは転倒。
3A+2Aは、高さはあったけれど、安定しては見えなかったけどGOEはプラス。
4回転サルコウは、ギリギリ踏ん張り。4T+3Tも3Aも、いつもより粗い印象。
でも、4回転が4本入っているし、得点としてはトップに立って当然の流れ。
という場面で、側宙。
そして、バックフリップ!!
一部の観客は、ワーっとわいていましたが、私は、うーん…実況も無言。
試合でバックフリップ入れるのは、どうなの?これで、2回目ですよね。
前回の「気分が乗っていて、気づいたらやっちゃってました」というのとも違うし、
若干の嫌悪感。好きな選手なんだけど。
この件は、別の記事で書きたいと思っています。
最終滑走は、SP2位、スイスのルーカス・ブリッチギー。
アフリカの大地を思わせるコリオが素敵な『The Rainmaker』。
このままアダムが優勝するのも何なので、性格のゆがんだ私は、
ブリッチギーにトップに立ってほしい気がしましたが、
となると、マッテオ君が4位になってしまうし、複雑な気分。
しかし、今シーズン好調なブリッチギーなら、間違いなくいい演技を見せてくれることでしょう。
と思ったら、最終滑走の雰囲気にのまれてしまったのかな…
冒頭の4Tを失敗。続く4Tのコンビネーションが、単独の2回転に…。3Aは両足着氷。
まじですか。
ジャンプシークエンスの最後も2回転になって、大量失点。
精彩を欠いてしまいます。
マッテオ・リッツオとの得点差はいかに。
どちらが表彰台か?? と思ったけど、
なんとブリッチギー選手のフリーは10位でした。
表彰台を逃してしまいました。
ここで私が、すごいと思ったのは、グリーンルームに控えていたマッテオ・リッツォが、自分が3位になったことを喜んだり、ガッツポーズをしたりしなかったこと。
早めに立ち上がって姿を消しました。紳士だなぁ。
そういうわけで、結果は以下の通り。
🥇アダム・シャオ・イム・ファ フランス
🥈アレグザンダー・セレフコ エストニア
🥉マッテオ・リッツオ イタリア
おめでとう、マッテオ・リッツオ。
手術とリハビリがうまくいって、来シーズン戻ってきてくれますように。