オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

感動と困惑の欧州選手権男子フリー

こんにちは。欧州選手権男子が終わりました。

すばらしい演技と感動、そして、ちょっぴり後味の悪さ(困惑)を残しながらの試合だったと思います。

 

最終グループの流れと感想を、感情だけで書いていくと、

まず、第一滑走は、マッテオ・リッツォの『Fix You』。

はい、お気に入りです。

そして、琴線に触れる演技に、涙がにじみました。

 

 

メダルを獲ってほしいと思いながら見ていました。

大会後に、怪我の手術を控えていましたが、後ろ向きではなく、表彰台が目標と話していたマッテオ君。冒頭の4Tを完璧に跳んで、うぉぉぉぉ💪

次々にジャンプを決めていって、実況も叫びました。

マッテオ イズ オン ファイア~!! マッテオ、絶好調!!

 

1カ所だけ、見せ場のツイヅルからの3Aが、

ツイヅルの方向がも~、「あ゛~」って壁に向かっていってしまって転倒。

しかし、立ち上がって、小さく拳を振り上げたマッテオ君。

 

転倒したのにガッツポーズ??と不思議でしたが、試合後のインタビューで、

「あの3Aがメダルを左右すると思っていたので、失敗して、観客の力を借りて頑張りたくて小さなジェスチャーをした」と。

感情あふれるステップ、心をつかむステップ。

演技後、泣いているお客さんがたくさん見えました。

170.44点で、暫定トップへ。

 

続いて、デニス・ヴァシリエフスの『ブルース・デラックス』。

胸元のざっくり度が、増し増しになってる気がするけど、ユーロバージョン??

 

 

デニスも、エモーショナル&オン・ファイアーだった。

冒頭に果敢に跳んだ4Sは、惜しくも転倒。

しかし、2本目も果敢に4Sに挑戦。単独でリピート扱いになったけれど、それがなんだって言うの?! その勇気がすごいよ!

 

3A+2Aもループもがんがんに決めて、高速のシット・デニス・スピンも、すべての音を拾ったステップも、デニス イズ オン ファイア~!!

彼が、すべてを出し切れた演技を久しぶりに見られた気がします。

 

 

小さい頃、スケートを始めたリンクに近いこの場所で、

複雑な感情に包まれての試合…と話していましたが、

希望どおり、すべてが合致したすばらしい瞬間の演技を、見せていただきました。

オール・スタンディングオベーションと、観客席に揺れるたくさんのラトビア国旗に、鳥肌が立ちました。

 

続いて、マッテオ君、グラッスルに代わって、しばしイタリアを背負う男、フランジパーニの『これからも僕はいるよ』。

 

 

この赤い、スカーフ付きの衣装、けっこう好きなんですよね。

ちょっと、力が入ってしまったのか、冒頭の4Tが3Tになってしまいましたが、

最近の彼は、ミスをしても大きく崩れない。続く4Sは、がっしり着氷して、骨太の『これからも僕はいるよ』に、ああ、安心。

しかし、それでも、先輩、マッテオ君の方が順位は上のままでした。

 

さてさて、本日の大一番は、SP3位でフリーに進んできた、エストニアのアレグザンダー・セレフコ。

昨日のSPがまぐれではないことを証明する、感嘆すべき演技でした。

 

 

冒頭の4Tは、惚れ惚れするような出来。

3A+3Tもフリップもループも、ガシッ、バシッと着氷していきまして、

「うぐっ」「ぐぉぉっーっ」と、見ているこっちが野獣系になって画面にかぶりつき、セレフコと私のどっちがアスリートかわからない感じになっておりました。

 

一番の見せ場は、後半のジャンプ。

3A+2Tが2A+2Tになってしまって、一瞬ひやりとしましたが、

返す刀で3Lz+2A+2Tのコンビネーション。新鮮だー!!

最後のスピンも、感情がぐわーーーっと高まる、芸術的なスピンでした。

この演技、見ていない人がいたら、必見です。

この演技は、まぐれじゃないはず。体型も以前と変化していて、筋トレもしたんだろうなぁ。

なんという、なんという素晴らしい演技。

 

 

得点は、フリーは暫定2位ですが、SPの貯金があるから、

暫定1位のマッテオ君より上の順位になるのではないでしょうか。

おぉ、暫定トップだ!! メダル確定です。

 

 

エストニアに、ユーロ史上初のメダルをもたらしました。

フリーに進めなかった弟も、会場で兄の雄姿をカメラに収めます。

かわいい笑顔。

 

 

残るは二人。

まずは、SPトップのアダム・シヤオ・イムファ。

プログラムは、『タイプライターを打って、ファックスで送って、丸めて飲み込んで吐き出してギュン』です。

 

冒頭のパントマイムは、いつも通り念入りだったのですが、

ジャンプがとても不安定。

冒頭の4回転ルッツは、踏ん張った。4回転トゥは転倒。

3A+2Aは、高さはあったけれど、安定しては見えなかったけどGOEはプラス。

4回転サルコウは、ギリギリ踏ん張り。4T+3Tも3Aも、いつもより粗い印象。

 

 

でも、4回転が4本入っているし、得点としてはトップに立って当然の流れ。

という場面で、側宙。

そして、バックフリップ!!

 

 

一部の観客は、ワーっとわいていましたが、私は、うーん…実況も無言。

試合でバックフリップ入れるのは、どうなの?これで、2回目ですよね。

前回の「気分が乗っていて、気づいたらやっちゃってました」というのとも違うし、

若干の嫌悪感。好きな選手なんだけど。

この件は、別の記事で書きたいと思っています。

 

最終滑走は、SP2位、スイスのルーカス・ブリッチギー。

アフリカの大地を思わせるコリオが素敵な『The Rainmaker』。

 

 

このままアダムが優勝するのも何なので、性格のゆがんだ私は、

ブリッチギーにトップに立ってほしい気がしましたが、

となると、マッテオ君が4位になってしまうし、複雑な気分。

しかし、今シーズン好調なブリッチギーなら、間違いなくいい演技を見せてくれることでしょう。

 

と思ったら、最終滑走の雰囲気にのまれてしまったのかな…

冒頭の4Tを失敗。続く4Tのコンビネーションが、単独の2回転に…。3Aは両足着氷。

まじですか。

ジャンプシークエンスの最後も2回転になって、大量失点。

精彩を欠いてしまいます。

 

 

マッテオ・リッツオとの得点差はいかに。

どちらが表彰台か?? と思ったけど、

なんとブリッチギー選手のフリーは10位でした。

 

 

表彰台を逃してしまいました。

ここで私が、すごいと思ったのは、グリーンルームに控えていたマッテオ・リッツォが、自分が3位になったことを喜んだり、ガッツポーズをしたりしなかったこと。

早めに立ち上がって姿を消しました。紳士だなぁ。

 

そういうわけで、結果は以下の通り。

🥇アダム・シャオ・イム・ファ フランス

🥈アレグザンダー・セレフコ エストニア

🥉マッテオ・リッツオ イタリア

 

 

おめでとう、マッテオ・リッツオ。

手術とリハビリがうまくいって、来シーズン戻ってきてくれますように。