オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

ワリエワNHK「“絶望”と呼ばれた少女」を見て

こんばんは。

先ほど、テレビでNHKスペシャル「“絶望”と呼ばれた少女 ロシア・フィギュア ワリエワの告白」を見ました。

 

 

ワリエワのほかに、エテリ、アデリア・ペトロシアン、ザギトワ、トゥクタミシェワ、ウクライナのシュムラトコ選手等が登場し、

スケートに興味がある者としては、見入ってしまう番組でした。

 

でもね…うまいこと言った風の〆の言葉

「かつて“絶望”と呼ばれた少女は、本当の絶望の中で今何を思うのだろうか」

に象徴されるように、

 

ドーピングから軸をずらし、ワリエワという少女の苦悩に焦点を当てた企画になっていたのが、なんとも後味が悪かった。

 

先日公表されたCAS(スポーツ仲裁裁判所)の資料によれば、

カミラ・ワリエワ選手は、2020年から2021年にかけて、薬とサプリメントを通じて約60種類の成分を摂取していたことがわかったそうです。

 

60種類ですよ!!

多くは、ドーピング違反にはならない成分ですが、

15歳の少女が60種類の成分を自分で飲もうと決めてお取り寄せしてお金を払って…なわけがない。

 

しかし、番組内で、ロシアスケートアカデミーの医師や栄養士が出てきて説明したり、

少女たちがサプリを摂取する方法が紹介されたりするわけではなく、

 

ドーピング違反によって国際大会に出場できなくなり、

その間に選手としてのピークが過ぎていくワリエワの様子が描かれているわけです。

 

 

4回転フリップを跳ぶ後輩ペトロシアンと同じリンクで練習を続け、

4回転が跳べずにうなだれる様子が映り、

「彼女はもう少し体を絞るべき」というエテリの指摘が入る。

 

それでも彼女はスケートが好きで、「ワリエワは終わった、と言う人には言わせておけばいい」「次のオリンピックでは金メダルを獲りたい」と話す。

 

「よく撮影させたなぁ」と思うような、残酷な映像。

もしや、同情を引くのが狙いなのだろうか。

 

ドーピングの核心は??

私の期待した“告白”は、どこ行った??

 

先日スポーツ仲裁裁判所が公表した、ドーピング違反聴聞会でのワリエワの釈明資料を読みましたが、ツッコミどころが多すぎて、笑うに笑えませんでした。

 

禁止薬物で陽性反応が出たのは、

  1. ワリエワの祖父が、
  2. 禁止薬物トリメタジンを含む錠剤を砕くのに使用した
  3. 同じまな板の上で調理した
  4. イチゴのデザートを食べたから と主張した。

 

※イメージ画像

 

お祖父ちゃんは、錠剤を砕かないとのみ込めないほど、重篤なのだろうか?

しかしながら、ストロベリーを使ったデザートを調理できるほどの体力はあるようだ。

パティシエか?!

 

また、発覚当初は、「お祖父ちゃんと同じグラスで水を飲んだことが原因」と釈明し、「どれだけ大量の唾液が混入していたのか」と揶揄されました。

 

聴聞会では、その点を修正してきていて、

  1. 2021年の12月21日(試合の日)より前に、
  2. 祖父は彼女にイチゴのデザートを与えたが、
  3. 彼女はそれを大会の地に持参することにし、
  4. 列車に持ち込んで冷蔵庫に入れ、
  5. 数日かけて食べた。

 

ショートケーキだか苺ムースだか知らないが、冷蔵庫での保管が必要なスイーツを、

一日では食べきれないほど大量に持たされ、大会まで食べ続けたということだ。

 

スイーツはおろか水や固形物の摂取さえ制限されているエテリ組で、

ワリエワがデザートを、パックンパックン食べていたとは驚きである。

 

特別待遇か?!

 

公聴会で、この説明をさせられたワリエワを想像したときも、哀れだった。

大人が作った下手なストーリーを言わされる少女。恥の上塗りとしか…

 

きっと、彼女一人に罪をかぶせて、この話は終わっていくのだろう。

彼女の国際大会出場禁止は、2025年12月25日で期限を迎える。

2026年ミラノオリンピックには、間に合うと言えば間に合う。

国内での人気もものすごく、お金も稼いだことでしょう。

 

結局のところ、本当に“絶望”を味わわせられるのは、

スポーツにクリーンに挑む他国の選手たちなのである。