毎日新聞倉沢仁志さんの振付師・宮本賢二さんインタビューの記事が、
とても読み応えがありました。
有料記事ではありますが、その価値は十分にありました。
振付師・宮本賢二さんインタビュー 「昌磨君の技術が支えている」 | 毎日新聞
一つには、こういうことを書くとアレですが、
私自身が、宇野昌磨選手のフリー『Timelapse /Spiegel im Spiegel』について、
初めて見た時から、「この曲なの?このプロなの?」という不安があり、
それを消化、そして浄化してくれる記事だったからです。
賢二先生自身も「本当にこの曲なの?って」と(←ここまでは無料で読める範囲なので書きます)いう、素直な感情を共有できたし(笑)、
そこから、どうするか? どう振り付けるか?というところも、理解・納得できました。
それが、安心感につながった…と言うと変ですが。
プログラムに対する好みは人それぞれなので、
『Timelapse /Spiegel im Spiegel』が最初から大好きで、すばらしいプログラムだと感じている人も多いと思います。
私はどうかというと、まだ、「感動で震える」というところまではいっていません。
誤解を恐れずに言えば、昌磨自身が「そう感じるならば僕の力不足」と、謙虚にも話していたように、全日本選手権でも、まだ完成していなかったと推測します。
このプログラムは、とんでもなく難しい。間違いなく難しい。
だから、未完成の段階では、
私のような未熟者には消化不良な部分もあるのでしょうが、
完成したあかつきには、とんでもなくすごい感情が、見るもの(私)に押し寄せてくると期待しています。
そして、その時は、世界選手権で訪れると確信しています。
『Timelapse /Spiegel im Spiegel』に吞み込まれたい。
『Timelapse /Spiegel im Spiegel』に押しつぶされたい。
それにしても、もうずっと前から、「宇野昌磨選手の振り付け=宮本賢二」だった気がしていたけれど、考えてみると、二人がタッグを組んだのは、つい最近のことでした。
同時に、「宇野昌磨選手の振り付け=樋口美穂子」というイメージも、
「宇野昌磨選手の振り付け=ステファン・ランビエール」といイメージもあります。
きっと、どの振り付け、どのプログラムに対しても、
完成形と言える領域まで、宇野昌磨選手が仕上げてシーズンを終わるからなのだろうと、
記事を読み終えて、感じました。
そして、このようにコリオに真摯に向き合って表現するスケーターと出会えたら、
振付師冥利に尽きるんだろうな、とも。
どんな仕事でもそうですが、自分が精魂こめてやった仕事に敬意を払ってくれる相手に対しては、次もいい仕事をしたいと思いますよね。
世界選手権で目にする『Timelapse /Spiegel im Spiegel』の完成形は、
賢二先生のすべてを注ぎ込んだ作品になっているのではないか。
宇野昌磨というスケーターが、超難曲に合わせた超難プロを、静かなる超絶技巧で演じて見せるのではないか。
という気がしています。