かおちゃん、25歳のお誕生日おめでとうございます。
おそらく最後のオリンピック(とご本人が覚悟を決めている)ミラノへ向けて、
悔いの残らない、すばらしいシーズンが始まることを願っています。

珠玉の演技が続出した世界選手権2025。
大盛り上がりだった一方で、
あの日のフリーを何度も見返しながら
「あんなに興奮したのに…あんなにすごい演技だったのに…」と
なんだか狐につままれたような感覚もあります。
でも、彼女が「いったん肩の荷を下ろせた」と感じているなら、
ラッキーな結末だったような気もしています。
優勝かどうかは関係なく、
坂本花織はやはり私の中では、立ち居振る舞いが世界女王なんですよね。
自分の演技だけでも大変なのに、
「場の雰囲気をつくる」「選手たちが気持ちよく演技ができる環境にする」という役割を、坂本花織はこの数年、ずっとしてきているように感じます。
思い返すと、かおちゃんがまだ世界女王ではなかった時期、
ロシアが表彰台を席巻していた時期は、
大会の雰囲気はどこか厳しくつらいものでした。
エテリ組の選手たちはもちろん、努力に努力を重ねて高難度のジャンプを跳んでいたわけで、
その努力を否定するつもりはありませんが、
他のヨーロッパの女子選手の表情がどんなものであったか、みなさん覚えていらっしゃいますか?
まるで「早く演技を終えて帰りたい」と、顔に書いてあるようでした。
キスアンドクライは、お通夜のようで、
自分を恥じているような表情の選手も少なくなありませんでした。
あの空気を変えて、スケートの楽しさ、選手一人ひとりに個性があることを気づかせてくれた。そこに大きな影響を与えた一人が、坂本花織選手ではないかと思います。
トップとどんなに点差があっても、
シーズンベストを出せたことに大喜びできるキスクラになったと思います。
それを見ている私もしあわせな気持ちに…。
彼女の回りは、選手も観客も記者も関係者も、みんな笑顔になる。
そんな素敵な彼女には、誰よりもしあわせに滑ってほしいです。

(NBC フリー演技後実況)
会場全体が大興奮しています。
すべての苦難、疑念、不安定さを乗り越えて
偉大なチャンピオンはその瞬間をしっかりと掴むものだ。
彼女は、冷静で芯の強い選手。
プレッシャーに見事に対処し、冷静沈着でいながら、
炎が燃えたぎるような滑りを見せた。
多くの人たちが、この大会で彼女は優勝できないだろうと考えていたと思う。
今シーズン、他のスケーターたちが躍動感を見せたし、
彼女はSPでミスのある演技をした。
でも、6分間練習の彼女は、
「私を見て。またこの大会で優勝してやるわ」と宣言しているようだった。
彼女はプレッシャーに押しつぶされることなく
ミュージカル『シカゴ』のヴェルマ・ケリーのように
堂々とした輝きを放っていた。