“ゆなすみ”こと長岡柚奈&森口澄士組の木下グループ杯での快進撃を見ながら、
「オリンピック最終予選会のことをちゃんと調べてみよう」と思いました。
興味はすごくあるのですが、細かいルールは案外わかっていませんでした。
というか、理解するのにとても時間がかかりました。

🔔正式名称:ISU Skate to Milano Figure Skating Qualifier 2025 – Beijing
(ISU スケート・トゥ・ミラノフィギュアスケート予選2025)
🔔9月18日~21日まで北京で開催
📺CS「テレ朝チャンネル2、スカパー! ★いくらなんでもISUの放送はあると思う。ジオブロックかかると思うけど、どうにかして見たい。
🔔オリンピック最終予選エントリー条件(ISU公式)
① 世界選手権で枠を獲得できなかった国
その種目の出場枠がゼロの国は、各国・各種目につき最大1枠のみ(1名/1組のみ)エントリーできる。
⇒ジョージアの女子グバノワ、日本のアイスダンス“うたまさ”他
② 世界選手権で2枠/3枠のポイントは得たが、FS/FDに必要人数が進めなかった国
世界選手権でFS/FDに進出していない選手(※世界選手権に出場していなくても可)を1名/1組、北京の最終予選にエントリーでき、追加の1枠を狙える。
⇒【女子】ベルギー、エストニア
【男子】韓国、カザフスタン、フランス、ジョージア
【ペア】日本、ジョージア、米国、ハンガリー、オーストラリア、ウズベキスタン
【アイスダンス】イタリア、スペイン、ジョージア
③ 世界選手権で必要人数がFS/FDに進み2枠/3枠が確定した国はNG
その国は北京予選にエントリーできず、北京で枠を増やせない。
※ルール②・③では、世界選手権でFS/FDに進んだ当人はエントリーできません。
※ルール①では、枠ゼロの国は世界選手権でFS/FDに進んだ選手でも参加できます。
※出場枠は、個人ではなく「国」に与えられます。
誰が出るかは、その国が後から決められます。
④ 個人中立選手で出場を目指す人
ロシア、ベラルーシの審査を通過した選手が、個人中立選手(AIN)として最終予選に参加可能。
🔔ミニマムスコア(最低技術点:TES)の要件
※北京予選で上位に入っても、技術点のミニマムスコア未達ならオリンピックには出場できません。
この大会は、ミラノ・コルティナ2026への最後の出場切符を懸けた最終予選です。
現時点で残っている出場枠は以下のとおりです。
男子:5名
女子:5名
ペア:3組
アイスダンス:4組
各国は各種目につき、北京で獲得できるのは最大1枠のみです。
⚠️ 枠は大会順位の上位から配分されます。
🔔「予選上位は無理とわかって出場する」ケースはなぜ?
- 若手や発展途上国のスケーターが、世界的な舞台で経験を積む。
- その国の連盟としてオリンピック出場枠の獲得を目指す、あるいは将来の強化・スポンサー対応などの事情。
- チャンス狙い:調子が良ければオリンピックの技術点合算ミニマムをこの大会で達成できる可能性がある。
ペアの“ゆなすみ”こと長岡柚奈&森口澄士組
アイスダンスの“うたまさ”こと吉田唄菜&森田真沙也組
どちらの組も、世界選手権ではフリーに進めませんでしたが、
ペアは“りくりゅう”の優勝で“追加1枠の資格国”に該当し、
“ゆなすみ”はもう1枠を狙える立場です。
アイスダンスは日本は現在獲得枠0なので、出場枠を狙える立場です。
“うたまさ”は、(おそらく)団体戦に日本チームとして出場すると思われますが、
ミニマムをクリアし、4位内に入って個人戦の出場を目指します。
次に気になるエントリー選手をカテゴリー別に見ていきましょう。
男子残5枠/エントリー選手
★スマホでは表は横にスライドできます。
| 国 | 選手名 |
SB(Total Score) |
|---|---|---|
| 個人(ロシア) | ピョートル・グメンニク | 314.54 |
| フランス | フランソワ・ピトー | 243.00 |
| 個人(ジョージア) | ヤウヘニ・プザナウ | 234.56 |
| 韓国 | キム・ヒョンギョム | 226.12 |
| ドイツ | ゲンリク・グルトゥン | 218.94 |
| アルメニア | セメン・ダニリアンツ | 216.89 |
| イギリス | エドワード・アップルビー | 216.48 |
| イスラエル | タミル・クペルマン | 210.47 |
| ウクライナ | キリロ・マルサク | 209.28 |
| メキシコ | ドノバン・カリージョ | 208.73 |
| 台湾 | ユーシャン・リー | 206.40 |
| 北朝鮮 | ロ・ヨンミョン | 205.62 |
| オーストリア | マウリツィオ・ザンドロン | 201.61 |
| カザフスタン | ディアス・ジレンバエフ | 197.66 |
| クロアチア | ヤリ・ケスラー | 191.73 |
| チェコ | ゲオルギー・レシュテンコ | 191.25 |
| フィンランド | ヴァルター・ヴィルタネン | 187.63 |
| ハンガリー | アレクサンドル・ヴラセンコ | 187.03 |
| トルコ | ブラク・デミルボーガ | 177.90 |
| モナコ | ダヴィデ・ルートン・ブレイン | 179.58 |
| マレーシア | ファン・ゼ・ツェン | 174.86 |
| オーストラリア | ダグラス・ガーバー | 167.03 |
| 香港 | ジャーヴィス・ホー | 165.18 |
| フィリピン | パオロ・ボロメオ | 154.32 |
| エクアドル | ガブリエル・マルティネス | — |
| アイルランド | ディロン・ジャッジ | — |
| ポルトガル | デイヴィッド・グヴィア | — |
ミラノ・コルティナ2026男子の技術点ミニマムスコアは、SP、FP合算で86点。
注目は何と言っても、ロシアのピョートル・グメンニク。

ジュニア時代から国際舞台で大活躍していましたが、
ロシアが国際大会から遠ざかっている間に、驚異の進化を遂げまして、
4回転ジャンプの種類なんて、ルッツ、フリップ、ループ、トゥループ、サルコウの5種類。表現面も素晴らしいです。
予選1位通過は間違いないと思っておりますが、
ロシアの威信をかけて大会に出てくるので、めちゃくちゃな鬼構成でくるかも…。
フランスのフランソワ・ピトー、韓国のキム・ヒョンギョムの若手の躍進にも期待。
フランスは、世界選手権でアダムが4位、ケヴィンが5位の素晴らしい結果で3枠のポイントを得たものの、フリー進出者が2人だったため(2人しか出ていなかった)、北京の最終予選で追加1枠を狙う資格があります。
韓国はジュンファンが7位となり、オリンピック2枠のはずでしたが、もう一人の出場者キム・ヒョンギョムが26位でフリーに進めなかったため、確定したのは1枠。キム・ヒョンギョムは、フリーに出られなかったことで、最終予選会で再度挑戦する権利を得ています。(フリーに進んでいたら、最終予選会には出られない。伸び盛りの19歳なので、進歩する時間ができたのが吉と出そうです。
カザフスタンは、シャイドロフが世界選手権で2位、ジョージアはニカ・エガゼが9位で2枠獲得できるところでしたが、他の出場者がいなかったので、新たな選手が追加1枠に挑みます。
混戦と思われるラインに、欧州選手権のベテラン組がけっこういますね。
メキシコの人気者ドノバン・カリージョが、巻き返してくるか?
女子残5枠/エントリー選手
★スマホでは表は横にスライドできます。
| 国 | 選手名 | SB(Total Score) |
|---|---|---|
| 個人(ロシア) | アデリア・ペトロシアン | 262.92 |
| ジョージア | アナスタシア・グバノワ | 211.19 |
| 個人(ベラルーシ) | ヴィクトリア・サフォノワ | 192.49 |
| ベルギー | ロエナ・ヘンドリックス | 179.78 |
| ノルウェー | ミア・リサ・ゴメス | 161.71 |
| オランダ | ニキ・ウォーリス | 159.65 |
| キプロス | ステファニア・ヤコヴレワ | 158.12 |
| 中国 | ルイヤン・ジャン | 153.44 |
| スウェーデン | ジョセフィン・ターリガード | 149.59 |
| スロベニア | ユリヤ・ロヴレンチッチ | 148.92 |
| メキシコ | アンドレア・モンテシノス・カントゥ | 146.96 |
| インド | タラ・プラサド | 143.01 |
| アゼルバイジャン | ナルギズ・スレイマノワ | 137.40 |
| チェコ | ミカエラ・ヴラスタコヴァ | 135.84 |
| 香港 | ツーチェン・チャン | 134.53 |
| 南アフリカ | ジアン=クェン・アイザックス | 123.54 |
| セルビア | アントニナ・ドゥビニナ | 122.20 |
| ニュージーランド | ペトラ・ラハティ | 121.97 |
| マレーシア | オードリー・リー | 117.57 |
| ウクライナ | ソフィア・フリホレンコ | 109.87 |
| ギリシャ | ディミトラ・コリ | 91.89 |
| アルゼンチン | ソフィア・ナタリー・ダヤン | — |
| オーストラリア | ビクトリア・アルカンタラ | — |
| エストニア | クリスティナ・リソフスカヤ | — |
| モルドバ | アナスタシア・グラチェワ | — |
| フィリピン | マキシン・バウティスタ | — |
| スロバキア | ヴァネサ・シェルメコヴァ | — |
ミラノ・コルティナ2026女子の技術点ミニマムスコアは、SP、FP合算で75点。

怪我で昨シーズン休養したベルギーのヘンドリックス選手、世界選手権でまさかのフリー進出ならずだったジョージアのグバノワ選手のビッグネームが順当に上位にきそうです。
そして、ロシアのアデリア・ペトロシアンが、4回転を組み込んで高得点を叩き出しそうですね。ロシア国内でのすっごい得点が、ISU大会でどのように再評価されるのか興味があります。
ロシア国内では、ベルギーのヘンドリックスとペトロシアンの激突も注目されています。これは、ワリエワ事件を受けて、欧州選手権等で特に影響を受けたヘンドリックス選手が、インタビューで「クリーンなスポーツ」を訴えたためです。
中国は、ジュイ・イーが補欠で若手選手を出してきました。
最後の一枠が混戦になりそうです。
ペア残3枠/エントリー選手
★スマホでは表は横にスライドできます。
| 国 | 選手名 |
SB(Total Score) *直近の試合含む |
|---|---|---|
| 日本 | 長岡柚奈 森口澄士 |
192.77 |
| 中国 | 張嘉軒 黄一航 |
190.23 |
| アルメニア | カリーナ・アコポワ ニキータ・ラフマニン |
174.84 |
| ウクライナ | ソフィア・ホリチェンコ アルテム・ダレンスキー |
168.55 |
| フランス | カミーユ・コヴァレフ パヴェル・コヴァレフ |
167.63 |
| アメリカ合衆国 | オードリー・シン バラージュ・ナジ |
165.76 |
| チェコ | アンナ・ヴァレージ マルティン・ビダル |
161.48 |
| スウェーデン | グレタ・クラフォード ジョン・クラフォード |
155.56 |
| オーストリア | ソフィア・シャラー リヴィオ・マイヤー |
153.37 |
| 北朝鮮 | リョム・テオク ハン・グムチョル |
151.14 |
| フィリピン | イザベラ・ガメズ アレクサンドル・コロヴィン |
143.49 |
| アイスランド | ジュリア・シルヴィア・グンナルスドッティル マヌエル・ピアッツァ |
138.30 |
ミラノ・コルティナ2026ペアの技術点ミニマムスコアは、SP、FP合算で75点。
なんと、なんと、“ゆなすみ”が優勝するのではないかという位置にいます!
1位通過、GoGo!

そして驚きは、このお二人が中国の「補欠」でエントリーしていること。

北京オリンピック金メダリスト、スイハン!
2022年に239.88 点(世界記録)を叩き出しておりますが、
本当に補欠かどうか、最後まで目が離せません。
急に正選手が体調不良になったりするのか!?
アイスダンス残4枠/エントリー選手
★スマホでは表は横にスライドできます。
| 国 | 選手名 | 2025年ベスト |
|---|---|---|
| リトアニア | アリソン・リード サウリウス・アンブルレヴィチウス |
196.66 欧州選手権 |
| オーストラリア | ホリー・ハリス ジェイソン・チャン |
178.12 四大陸 |
| スペイン | ソフィア・ヴァル アサフ・カジモフ |
176.67 Int'l Ice Dance Dordrecht |
| ハンガリー | マリア・イグナテワ ダニイル・セムコ |
174.95 ブダペストT |
| スウェーデン | ミラ・ルード・レイタン ニコライ・マヨロフ |
173.15 Maria Olszewska Memorial |
| 日本 | 吉田唄菜 森田真沙也 |
161.06 木下グループ杯 |
| アイルランド | キャロライン・スーシス シェーン・ファイラス |
160.08 Dordrecht |
| イタリア | ジュリア・イザベラ・パオリーノ アンドレア・トゥーバ |
159.74 Dordrecht |
| イスラエル | シラ・イチロフ ミハイル・ノソヴィツキー |
157.77 Chesapeake Open |
| キプロス | アンジェリーナ・クドリャツェワ イーリヤ・カランケヴィチ |
160.19 Sofia Trophy |
| メキシコ | ハーロウ・リネラ・スタンリー 浦野誓二 |
121.27 Dordrecht |
| オランダ | チェルシー・フェルハーフ シェリム・ファン・ヘッフェン |
136.38 Dordrecht |
| カザフスタン | ガウハル・ナウリゾワ ボイサンガル・ダティエフ |
137.97 Dordrecht |
| ジョージア | マリア・カザコワ ヴラディスラフ・カシンスキー |
— |
| アルメニア | クリスティナ・ドブロセルドヴァ アレッサンドロ・ペレグリーニ |
— |
| アゼルバイジャン | サマンサ・リッター ダニエル・ブリカロフ |
— |
| 中国 | 王詩玥 柳鑫宇 |
復帰 |
| ポーランド | ソフィア・ドフワル ヴィクトル・クレシャ |
— |
| ウクライナ | ゾーイ・ラーソン アンドリー・カプラン |
— |
ミラノ・コルティナ2026アイスダンスの技術点ミニマムスコアはRDとFDの合算で85点
“うたまさ”の木下グループ杯の技術点は、計87.72点でミニマムクリアはいけそう。

問題は順位ですね。
厳しい戦いの中、混戦を抜け出せるか…
ネーベルホルン杯は171.59点だったから、まだまだいける、いける!
がんばれ~🎌うたまさ🎌
あれ、スウェーデンのニコライ・マヨロフ、もうここまで上がってきたの!?すごい。
中国のさらなるびっくりは、あの“ワンリウ”こと王詩玥/柳鑫宇が復帰していること。
北京オリンピックでのスコアは185.57点です。
当時のスコアが出せるのであれば、このエントリーの中では2番手ですね。
世界選手権に出場した中国代表組は、フリーに進めていません。
以上、頑張って理解してまとめましたが、間違いがあったらすみません。