こんにちは。ネーベルホルン杯が始まっておりますが、
その話の前に、ミラノ五輪最終予選で
私が鳥肌立つくらい感動した2人の選手のことを書かせてください。
🏆一人目は、女子のアナスタシア・グバノワ選手です。
おそらくこれが彼女の最終シーズンであり、最後のオリンピック。

かつての欧州選手権女王ですが、昨シーズンはご結婚された一方、
競技のほうはうまくいかず、世界選手権ではまさかのSP落ち😨
ジョージアは女子シングル枠ゼロかつ世界選手権フリーに進出していないため、
最終予選会に出場することができました。
SPは、ボリウッド映画『アショーカ』のヒンディー語の歌『サン・サナナ』。

以前にも『スラムドッグ・ミリオネア』で滑ったことがあり、
インド系の曲がなぜか似合います。
妖艶な手の動きや表情が合うのかな。
そしてこの緊張のオリンピック・ラストチャンスの場で、
彼女は、一切の緊張を感じさせず、外界と切り離されたかのような空間で、
ノーミスの魅惑的な演技を披露してみせました。
さらに、さらに、フリーでは、
映画『ゴースト』の世界を、これまた外界の雑音から切り離された映画の世界に没入し、ほぼノーミスで演じて見せました。

私は、この演技を見て泣きました。
そのくらい、エモーショナルな演技なのに、ジャンプもしっかり決める凄さ。

「人はここまで強くなれるのか」。
追い詰められた場面、ここで決めなければすべてが終わるという場面で、
しっかりと決めてみせる。
これぞオリンピアン。これぞ欧州選手権女王だと、驚愕しました。
女子では、ルナ・ヘンドリックス選手もさすがのカムバックでしたが、
彼女は、SPの選手入場シーンで転びそうなくらいのスピードでダッシュしてきて、
アドレナリンが抑制できていないと感じました。
実際、SPではミスが出てしまい、よく言われる「エネルギーや興奮をコントロールする大切さ」とは、これかなぁと。
ジョージアスケート連盟のいつものゴージャス系女史が、
SPではヒョウ柄をインナーに、

FPではヒョウ柄をアウターに着ているのが印象的でした。

🏆もう一人は、男子のドノヴァン・カリージョ(カリーリョ)選手です。
オリンピックには、キラキラ衣装でラテン系の曲を踊りこなし、濃いスマイルビームを放つドノヴァンが不可欠です。
が、北京オリンピックの後は、怪我をしたり4回転ジャンプが不調だったりで、
次のオリンピックは無理かもしれないと、恐れていました。
しかも、最終予選会では最終滑走😨
申し訳ないけど、雰囲気負けしちゃうんじゃないかと思っていました。
SPは、ケージ・タナカでお馴染み『ヒップヒップチンチン』。
(ケージ君、岡山で元気かな…)

冒頭は4回転サルコウのコンビネーション。
しっかり構えて飛び上がり、なんとか着氷したと思ったら、3回転トゥを回り切りました。
わお!
続く3Aはゴージャス、ルッツは美しい。
なんか、最近見ていたドノヴァンじゃないかも(笑)
しかも、濃いスマイルビームを飛ばしまくりで、スピンもステップもオール4。
完全無欠のノーミス演技で、ロシアのピョートル・グメンニクに続く2位となりました。

ガッツポーズ&氷にキス&世界中のみんなサンキュー&いぇーetc.
大興奮で男子シングルは幕を閉じたのでした。

しかし、フリーでは、4回転サルコウで転倒、4回転サルコウのコンボがパンク、その他のジャンプも調子が今一つで、
フリーは暫定8位(のちに9位)。
キスクラでは、最後の審判を待つ人みたいになっていました。
フリーが8位と表示されると、「あ~」と言う感じに。
しかし、総合得点は、暫定2位。
その瞬間、喜びが大爆発し、吠えてました。

ドノヴァンにしても私にしても、計算が得意じゃない人にとっては(ドノヴァンを決めつけて申し訳ないけど)、
フリー8位から総合2位になるイメージはないですよね。
最終的には、SP2位、FP9位、総合3位。
よく「ショートで勝つことはできないが、ショートで負けることはできる」って言いますよね。
「ショートで勝つこともできるんだな」と、思いました。
正確には、「ショートで逃げ切れる」かな。
一方で、ショートですばらしい演技を見せたのに、
オリンピック切符を手に出来なかった選手もいました。
まだ若い選手です。
その時、グバノワ選手やドノヴァン選手はオリンピックを経験しており、
オリンピアンだから肝がすわっているのだろうか…と考えました。
もしくは、ここ一番で決める力があるからオリンピアンなのか、
そして、うまくいかなくてもジャンプを跳び続けたドノヴァンを見て、
「どんな場合でも、ジャンプは跳ばなきゃだめなんだな」と思いました。
切符を手に出来なかったその選手は、ジャンプを跳ばずにスルーしたことを、ずっと後悔する気がする。
グバノワもドノヴァンも、ジャンプを跳び急がないのが共通していました。
構えが長すぎるのでは?と思うこともありましたが、タイミングが合うまで踏み切らない。
これから、日本国内でオリンピック代表選考の厳しい競争が続きますが、
私の推しているあの選手には、ぜひ、ジャンプをパンクせずに跳んでほしい…と
思ったりしたのでした。