「国際スケート連盟(ISU)が、フィギュアスケートの競技方式を技術要素の強いプログラムと芸術性の強いプログラムに分けることを検討している」というニュースが入ってきた(by時事通信)。導入目標は、2022年の北京オリンピックから。2018年のISU総会で提案されるそうだ。真っ先に浮かんだのは、「高橋大輔が競技に復帰して金メダルを取れるのでは!!」ということ。
現在⇒ショートプログラム(技術点+演技構成点)&フリー(技術点+演技構成点)で採点。
新方式⇒「テクニカル(技術)プログラム」、「アーティスティック(芸術)プログラム」(仮称)の二つに分ける。テクニカル、アーティスティックのどちらかのみに出場することも可能にする方針。
「テクニカルは技術要素の評価に重点を置き、アーティスティックはより自由な演技で技術点に上限を設け、表現力の得点比重を高める」となれば、
アーティスティック部門の金メダルは高橋大輔で決まりなのでは??と思ってしまう私は、少々あほなのか。
ランビエールもコーチを辞めて参戦してきそうなので、フィギュアスケートが乗馬のごとく息の長いスポーツになるかもしれない。
しかし、宇野昌磨のような「芸術性も追究するけど4回転も跳ぶぜ!!」って人は、どうするんだろう。迷うな。
そもそも、どうしてこんな話が出てきたのだろうか。
記事中の「ある関係者は『競技への関心を高めるため可能性を探る必要があり、案を精査している』と述べた」という話から推測すると、「アジア系のジャンプ競争に欧州勢はシラケテますよ」ってことなのか、「これじゃあ、ロシア男子がメダル獲れないぞ」ってことなのか、「4回転が苦手な選手は戦意喪失してますよ」ってことなのか。
「別の関係者は『(総会で)反対する人はおそらくいないのではないか』と話している」(文中引用)からすると、ここしばらく議論に上っていたということか。
もうひとつ気になる記事があった。
パトリック・チャンは、4回転ジャンプ時代のスケーターの身体状態を懸念している。by ロイター
(ざっくり概要)
10代のネイサン・チェンや宇野昌磨が、人間の可能性に挑戦するようなハイリスクのジャンプをプログラムにたくさん詰め込むのは、見てる分にはスリリングだ。でも、「誰かが怪我をするまでISUが傍観しているのはまずいと思う」とパトリック・チャンは懸念している。
パトリックは先の世界選手権で3本の4回転を跳んだけど、それでもメダルには届かなかった。メダルを獲るにはフリープログラムで4本のクワドが必要なのだ。
「日本のフィギュアスケートは、カナダのホッケーや米国の野球みたいに特別なものだから……、でも、自分にはスケート以外の人生もあるし、スケート以外の世界も広げたい。スケートをやるからにはまっとうしたいけど、なんかもう、スポーツを楽しめなくなるか、30歳で人工股関節にしなくちゃいけなくなるって感じだよね」。
4大陸で米国のネイサン・チェンが4種類5つの4回転をフリーで跳んで優勝したのを見ても、彼は後を追おうとは思わなかった。平昌オリンピックが迫っているとしても。
「自身の経験からすると、怪我をしていても、若いうちは速く回復するし潜在的な怪我をカバーしてしまう。でも、未知の領域に入ってきてしまったから、ISUはフリープログラムで4回転を跳ぶ回数を制限するべきだ」。
"But I don’t think that will happen until somebody actually does get hurt."
でも、誰かが怪我をするまで、そうはならないと思うよ。
確かに、4回転+4回転をフリーに2本入れるとか、4回転+4回転+3回転なんてことになったら、選手の身体が空中で分解してしまいそう(イメージ)。
パトリック・チャンは、オリンピックチャンピオンの羽生結弦が「科学的には5回転も可能だ」と発言したと聞いて、目をむいてびっくりした。そうするためには、今より平均0.7秒空中に長くとどまって、より高く跳んで速く回る必要がある。
"Unfortunately... I definitely don’t see another Javi or another me coming up in the world of skating. I see a lot of Boyangs and lot of Shomas coming up in the sport in the junior level," Chan said.
残念ながら、世界選手権では、自分やフェルナンデスみたいなタイプの後輩選手にはお目にかからなかった。ジュニアから上がってくるのは、ボーヤンや昌磨みたいなタイプだよね。
"That’s the direction dictated by the judges and how the events are being judged."
つまりそれが、ジャッジが求めるものであり、大会が何を求めているかってことだよね。
----引用ここまで
なるほど。パトリックは、スケートをするからには一生懸命やりたいけど、自分の20代後半の身体が4回転競争に耐えられないこともわかっている。きっと、身体の異変を感じているんでしょうね。
「観客が見たいからって、どこまでジャンプ競争をエスカレートさせるのさ」ってことか。こういう話は、選手やコーチやジャッジや解説者なんかの間で、議論されているんでしょう。
でも、オリンピックをテクニカルとアーティスティックに分けたら、テクニカルにエントリーした選手は4回転を6本入れなきゃとか、4回転+4回転は必須とか、5回転も1本入れとこうかってことになるわけで、身体への影響は考慮されないわけですよね。
あと、男子ばかり注目されてますが、浅田真央のトリプルアクセルを徹底的にアウト判定してきたせいでオリンピック2大会分ストップした女子の技術の進化はどうするんだろう。女子のテクニカルにエントリーした人は、何すりゃいいの? アーティスティックと差がつかないんだけど。