オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

「母の日のカーネーションが腐ってた」事件。

「カーネーションが届いたんだけど・・・、花が腐っていて・・・」

5年前の母の日、母からの電話を受けて耳を疑った。

 

「カーネーションが腐ってる?」

意味が分からず、写真を送ってほしいと頼むと、メールに写真が添付されてきた。

 

はい、確かに腐ってました、カーネーション。

 

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全体的に元気がない花束であったが、ピンク色のカーネーションの何本かは、茶色を通り越してダークブラウンになっていた。「腐っている」という表現は、確かに正しい。

 

母と離れて暮らしている私は、毎年、母の日にカーネーションの花束を届けてもらっている。

その年は、いつも頼むお花屋さんがwebショップを始めたと聞いて、「これは便利!」と申し込んだのである。(日本有数のお花屋さんです)。

4、5000円する商品に、東京から札幌までの送料が1000円以上かかって、けっこうなお値段だったと記憶している。

 

あわててショップのカスタマーセンターに電話をかける。

 

不思議なことに、カスタマーセンターに電話をするときは、自分に落ち度がなかったとしても、クレーマーになったみたいで気おくれしてしまう。

「気温が高いせいだろうか・・・文句を言っちゃいけないのかな?」

「遠方に花を送った自分が悪いのか?」

 

おどおどしながら電話をし、担当者にカーネーションが腐っていたことを伝えると、

「すぐに新しいものを送り直します」

 

数日遅れの母の日となるものの、これで一件落着か・・・とりあえず、ほっ。

 

が、2日後にかかってきた母からの電話は、

「カーネーションが、また腐っていたんだけど・・・」。

 

あ~は~? 

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二度も腐った花を届けるとは、どういうこと??

「あ゛~そ~(脱力)。悪いけど、またメールで画像を送ってくれる?」

 

再び届いた画像には、またしても腐ったカーネーションが映っていた。

 

が、そんなことはどうでもいい(いや、本当はよくないが)。

 

あろうことか母は、“参考までに”と、姉が贈った見事なカーネーションの鉢植えの写真まで送ってきたのである。

 

「なんでこんな写真を送ってくるわけ?」

「いや、参考までに、お姉ちゃんが贈ってくれたから」

「だから、なんで送るわけ? 無神経じゃない!!」

「無神経とかそういうことじゃなくて、お姉ちゃんはこういうのを送ってきたよってことで」

「そんなのおかしいでしょ!!」

 

こうなると、カーネーションの品質うんぬんより、「なぜ姉が贈った花の写真を送ってきたのか」という点に、議題は移っていく(笑)。

 

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母と娘のバトルは、こういう枝葉の部分からこじれていくものだ。

「もう二度とカーネーションは贈らないぞ」

「絶交だ」

 

自分が贈ったカーネーションのみじめさに傷つき、怒りがこみ上げてきた私は、カスタマーセンターに堂々とクレームを入れた。

 

「今度こそ、今度こそ、きちんとしたカーネーションを届けてください!!」

 

すると、「二度もあるのはおかしい。コイツ、クレーマーでは?」と思われたのかもしれない。

札幌にある実店舗から、花を届けるという。ついては、「腐った花を保管し、見せてほしい」というではないか。

 

正直、腐った花を自宅に数日、保管するのは気持ちがいいものではない。しかも、母とは絶交状態だというのに、担当者が実家を訪問するスケジュールを打ち合わせねばならなかった。花を贈ったばっかりに、ものすごいストレスだ。

 

さて、新しいカーネーションを持って母を訪ねた実店舗の担当者。

保管されていたカーネーションを見た第一声は、

「あ、だめだこりゃあ。腐ってる」

 

花を水切りするときに、ハサミではなくカッターか何かで乱暴に茎を切ったあとがある。その状態で倉庫に数週間保管すれば、もれなく輸送途中に腐ってしまうということだった。「繁忙期のバイトがやったのかも」って、他人事かーい!!

 

そのお花屋さんには絶大な信頼を寄せていたのだが、通販部門と実店舗では、花の仕入れも保管もルートが違うということであった。

 

カーネーションは届いた。原因もわかった。

でも、母と私の苦い関係は、しばらく続いた。

 

あれ以降、札幌の実店舗に電話して、カーネーションを届けてもらうようにしている。そのほうが品質が確実で、送料もかからない。

しかし、私の苦い体験が、通販部門の発展に寄与できていれば幸いである。通販を利用せざるを得ない人も、たくさんいるのだから。

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「ありがとう。とても見事な大輪のカーネーションが届いたよ」

母の日の翌日、電話があると、ほっとする。

母も高齢になり、あと何年、カーネーションを贈り続けられるかわからない。

母に感謝し、今年もまた花を贈れたことに感謝する、母の日である。