オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

ラファの抜け穴発言について

こんにちは。種子島ぴーです。

東京は、晴れていますが、冷たい風が吹いています。


さて、「ネイサン・チェンのコーチであるラファエル・アルトゥニアンの発言が物議をかもしている」というタイトルのブログ記事が散見されます。

 

大騒ぎ系方面なので、たぶん真相は違うのだろうと思いつつ、
気になったので確認してみました。

 

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元記事は、ロシアのこの記事です。

news.sportbox.ru

 

記事の1ブロック目をGoogle翻訳にかけると、日本語でこのようになります。

陳が最強だというのは神話です。彼が腫れるほど、彼を信じることはより危険になります-とアルトゥニヤンは言いました。 -ライバルがいないことはスポーツでは起こりません。後ろから飛び出せる人は必ずいます。では、なぜ停止するのでしょうか。今あなたの後ろにいる人々が近づくように?正直なところ、ネイサンがオリンピックで対等な立場で誰かと競争することは私の計画ではありません。したがって、私たちはあらゆる機会と抜け穴を利用して、最大限の進歩を遂げ、はるかに前進します。そして、減速するのに遅すぎることはありません。

 

Google翻訳でロシア語⇒英語にすると、このように表示されます。

It is a myth that Chen is the strongest. The more he swells, the more dangerous it is to believe in him, - said Harutyunyan. - It does not happen in sports that there are no rivals. There is always someone who is able to jump out from behind. So why are we going to stop? So that those who are now behind your back come close? To be honest, it is not my plan at all for Nathan to compete with someone on an equal footing at the Olympics. Therefore, we use every opportunity and loophole to make maximum progress and go far ahead. And it's never too late to slow down.

 

攻撃のもとになっている表現は、
「loophole」 です。

これを「抜け穴」と訳して、

 

「私たちはあらゆる機会と抜け穴を利用して」と「ネイサンがオリンピックで対等な立場で誰かと競争することは私の計画ではありません」をつなげて、

 

  • ラファは、オリンピックでネイサンを勝たせるために、ルールの抜け穴を利用すると言っている。
  • とんでもないコーチだ。
  • そのコーチに師事しているネイサンも、同じ考えの選手だ。
  • 私が推す〇✖選手は、立派なコーチについていてよかった。

という、あ~は〜?な理論を展開しているようです。

 

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しかし、わたしは、ラファ親父は、ずるいことをするのとは正反対の、愚直なスケート馬鹿(あえてこの言葉を使います)だと思っています。

 

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なので、英文をよく読んでみました。

 

まず、記事をGoogle翻訳して批判している人は、「彼が腫れるほど、彼を信じることはより危険になります」という表現には、疑問を持たないのでしょうか?

Google翻訳が100%正確でないことは、誰でも知っている事実ですよね。

 

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そして、USE=「使う」とloophole=「抜け穴」をつなげて、
「抜け穴を使ってズルをする」と脳内変換しているのだと思いますが、

 

ポイントは、

  1. loopholeであって、loophole in the rules(ルールの抜け穴)ではない。

  2. 「loopholeを利用する」のは、「最大限に進歩するため(to make maximum progress)」であり、「有利になるように」とは言っていない。

 

loopholeには、「あいまいな部分」「漏れ」という意味もあります。

類語として、inconsistency⇒浮き沈み、波乱、flaw⇒不具合、欠点があります。

 

ということで、私の訳はこのようになります。

 

「チャンが最強だというのは、そう言われているだけです。彼が強くなればなるほど、やみくもに彼を信じるのは危険です」とアルトゥニヤンは言いました。「スポーツにおいて、ライバルがいないなんてことは起こりえません。後ろから飛び出てくる人は、必ずいます。だったら、なぜ立ち止るのですか? 後ろにいる人々に、追いつかれそうになるためですか? 率直に話すと、ネイサンをオリンピックで、誰かと同じくらいの力量(接戦)で競わせるつもりは全くありません。したがって、最大限に進歩して他を大きく引き離すために、私たちはあらゆる機会やうまくいかなかったこと(欠点、漏れ)を活かします」。

 

この記事が書かれたのは、スケート・アメリカの後です。

スケート・アメリカで、ネイサンは、フリーのジャンプで珍しくミスをしました。

 

そういったことも踏まえて、ラファエル・アルトゥニアンは、


「ネイサンが最強だと過信するのは危険なこと。圧倒的な力の差を持ってオリンピックで勝つために、あらゆる機会(試合)や失敗経験を活かして上達する」と話しているのだと思います。

至極まっとうなお話です。

 

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だいたい、「ルールの抜け穴を利用する」なんて、公の場で言うわけないじゃないですか。(ばーか。)


「トランジション(つなぎ)ってどういう意味だ?」と言ったとかいう話も、

「(教え子の)プログラムには、つなぎが少ないという批判がありますが、つなぎを加えますか?」と質問されて、


「“つなぎ”という言葉をどういう意味で使って質問してるんだい?」と、むっとして聞き返したわけで、

要素としてのトランジションの意味を知らないのとは違います。

 

言葉の上っ面をとらえて騒ぐのは恥ずかしいな と、

しみじみ思う秋の夕暮れ。 


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