実を言うと、昌磨よりも緊張したのは、
ネイサン・チェンが演技をするときでした。
昌磨の演技は、正座して、一瞬たりとも見逃すまいと凝視していたけれど、
ネイサンのときは、まず部屋の隅に立って、いつでも逃げられる態勢になり😅
始まる直前に、やっぱり部屋の外に出て、わずかに開けたドアの隙間から、
薄目を開けて見ていました。
昌磨に勝ってほしいけど、ネイサンが不幸な結果になるのも嫌なんです。
前のグループで、「氷の穴にはまってジャンプを失敗した」と言っていた選手がいて、
鍵山選手がステップでつまづいたのも同じ辺りだったような気もして、
バンクーバーの浅田真央ちゃんフリー『鐘』のときも、
氷にはまってジャンプを失敗したのがあったよな…と悪夢がよみがえり、
「ネイサンも同じ穴にはまったらどうしよう」と怖かった。
それに、ネイサンファンにとっては、
平昌オリンピックでの悪夢の記憶がある。
金メダル候補と言われていたのに、SPの失敗で夢が消えてしまったあの記憶。
今日のSPの前に、
「世界最高得点を出してほしい」
と望んでいたファンは、いないんじゃないかな。
「平昌の悪夢が繰り返されませんように」。
「いつものネイサンでありますように」。
それだけだったと思います。
結局、「ネイサンの脚力なら穴にはまっても飛び上がれるはず」と、
自分に言い聞かせながらも、
ジャンプをすべて跳び終わるまで、
薄目&半開きドアの隙間から見続けました。
圧巻。
圧巻でしたね。
118点くらい出ると思った。
演技が終わった瞬間のネイサンの表情に、10点満点。
113・97。
男子SPの記録を塗り替えただけでなく、
悪夢のような4年前の記憶を塗り替えたネイサン。
ネイサンの人生にとっても、
間違いなく大きなことだと思いますが、
私の記憶にとっても、重要なことでした。
ありがとうネイサン!!