オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

北京でも秀逸。昌磨の受け答え

フィギュア銀メダル鍵山優真、銅メダル宇野昌磨

は~い、テレビ局のみなさん、ここで確認しておきましょう。

北京オリンピックフィギュア男子のメダリストは、

 

金メダル ネイサン・チェン

f:id:tanegashimapi:20220212004417j:plain

 

銀メダル 鍵山優真

f:id:tanegashimapi:20220212004455j:plain

 

銅メダル 宇野昌磨

f:id:tanegashimapi:20220212004542j:plain

 

フリーが終わってから、あんまりテレビ見てないんですよね。

メダルを獲った二人よりも、4位の人が4Aに挑戦したっていう話題ばかりで…。

本人には何の罪もないけど、辟易しています。

 

記者会見でも、日本のメディアは、メダリストに別の選手に関する質問ばかり。

メダリストの3人は人格がすばらしいから、丁寧に答えてあげていて、

そうすると、それをニュースで使うから、もーうんざりで~す。

 

f:id:tanegashimapi:20220212011509j:plain

視聴者は事実を知りたいのです!!

 

「平野歩夢選手が新技に挑戦して金メダル」という報道で、現地レポの荒川静香さんが、スタジオの櫻井翔さんに「●●選手も4回転アクセルに挑戦したように、平野選手も新技に挑戦しましたが、どう思いますか、櫻井さん」みたいな質問をしていて、恥ずかしい~😌

 

と、静かにテレビを消しました。(櫻井さんは、さすがの対応でした)。

 

そして、昨日の二人の日本語記者会見。冒頭で、

「男子シングルに関する内容、選手本人に関する質問以外はご遠慮ください」というアナウンスがあり、すばらしい対応だと思ったので、見てみました。

 

f:id:tanegashimapi:20220212005025j:plain

昌磨はペコリ。優真はペコ、ペコ、ペコリ

 

昌磨の質問に対する受け答えを聞くと、「すごいなぁ」と思うし、

「この人のファンでよかった」と、しみじみ思います。

 

率直。謙虚。質問に誘導されない。誰も傷つけない。

 

平昌のときは、「天然」って言われましたが、天然なんじゃなくて、聞き手の予想とは違う方向から答えが返ってくるから、ドキッとするし新鮮なんですよね。

【ノーカット】鍵山と宇野が喜び語る フィギュア一夜明け会見 - YouTube

 

記者会見の中から、私が印象に残った言葉をピックアップ。

本人の意図を誤解されたくないので、発言も書き起こします。

 

 

 

挑戦によって、高難度の構成が当たり前になった

質問)メダルの感想を

昌磨)銅メダルを獲得できて、嬉しく思います。フリープログラムに関しては、決して素晴らしい内容ではありませんでしたが、ただ四年間という大きな節目で考えた時に、 今年に入って、このフリープログラムの高難度の構成に挑戦して、それが当たり前になっている。その成長が嬉しいですし、この四年間でまた銅メダルという場所に戻ってこれたことに嬉しく思っています。 

 

4年後のオリンピックに出たい

質問)これから先の四年間、どんなことが必要でどういう変化が予想されるか。

昌磨)まず僕の中で、先ほど平昌が終わってからの四年間という区切りで話させていただいたんですけれども、スケート人生においてオリンピックが全ての区切りではないので、このオリンピックが終わってから四年間っていう区切りで、何か変化する、何か成長したいというよりも、とりあえず僕は、次の世界選手権までにより成長したいと思っています。

四年後に何かしていたい、何か変わってるならこうしていたいというよりも、もう一刻も早く、来年にでも、自分にできることなら全てできることに挑戦して、より確率も精度も完成度も上げていきたいです。

今やりたいことは、やってないことばかりなので、新しいジャンプの挑戦に関してもなんですけれども、そうですね…僕はまだ深くは考えていないですけれども、

やりたいという自分の意思が大きく前に出た時は、怪我しないようにしつつ、それに挑戦したいなと思ってます。自分も四年後のオリンピックに出たいと思ってます。

 

近くに高め合う存在がいることに憧れていた

f:id:tanegashimapi:20220212011904j:plain

 

質問)二人一緒に練習する機会があったと思う。刺激、互いへのアドバイス、見て盗んだなどのエピソードを。今後も一緒に練習したいか。

昌磨)僕は、今まで割と一人での練習がずっと多かったので、年はあの…数字で見た時に6つ離れてることにびっくりしてはいるんですけれども、自分とっては同世代の感覚で一緒に練習させて頂いていて、

なんか本当にずっと、自分の周りに横を一緒に走ってくれると言うか、一緒に高めあっていく存在ってのは、なかなか近場にはいなかったので、すごくそんな存在に憧れていたので、嬉しいです。

またそのおかげで、「自分がもっともっと成長しなければいけないな」って、優真くんの練習を見ていると、僕にはないもの、「ジャンプの完成度」「プログラムの完成度」も素晴らしいものを持っているので、見るたびに「今のままじゃダメだな」っていう刺激を毎日もらえるということだったり、ジャンプの細かいとこで言うと、4回転サルコウは、僕は今だに4回転の中では苦手な方なので、今後も見ながら参考にしていきたいです。

言葉でも一度、「どうやって飛ぶの?」って聞いたことあるんですけれども、なんかふわっとした感じ(の説明)だったんですけど、まぁジャンプ全部、そんなもんっていうのは分かるので。

今後も見て、どこが自分に足りないのか研究していきながら、もっともっと上を目指していきたいなと思ってます。

 

「世界一になるには?」とステファンが聞いたのは、ネイサンの演技後

質問)コーチからのアドバイスで一番原動力になったのは?

昌磨)昨年の世界選手権の後なんですけども、ネイサンが演技を終えた後に、「君が彼のように世界一になるには、自分にとって何が必要だと思う?」とあの声をかけていただいて、その時は、「ジャンプかな」とお答えしたんですけども、僕の答えと内容よりも、そういう言葉をかけていただいた時に、「僕がまだまだもっと上を行けるって言うのを信じて下さってるんだな」っていうことを感じて、すごい「もっと上手くなりたいな」っていう原動力になりました。

 

着氷後のアレンジを想定したことでジャンプの質も向上

質問)ジャンプの質が高くなった理由。

昌磨)ジャンプの質に関しては、今回跳べたジャンプはすべて出来が良く、点数も沢山貰えて、そこが一番今大会で良かったなって思える点ではあったんですけれども、

ショートプログラムに関しては、ジャンプの着氷後少しステップを入れるなどしてアレンジを変えてみているんですけれども、フリーではまだ全くそうすることができていないので、世界選手権に向けてフリーでも同じような事ができるように改善していきたいなって。

そうするためには、そのジャンプそのもの自体も、やはり綺麗に降りないとその後のステップはできないのですが、そういったところを練習で意識していたことが、ジャンプの質の向上につながったのかなと思います。

 

デミさんへの恩返し

f:id:tanegashimapi:20220212011955j:plain

 

質問)団体戦の時のトレーナーさんが横についていて、心の面などで支えられた部分は。

昌磨)団体戦で出水さんがリンクサイドに立っていらっしゃったんですけど、

そうですね、すごい仲がいいので、言葉を選ばず言わせてもらうんですけども、

出水さんがいたことによって多分落ち着いたとかそういったのはなかったと思います。

ただオリンピックっていうのは、もちろん僕にとっても大切ですけれども、こうやって皆さんに見て頂きますし、支えてくださった人たちに一番恩返しになる場だと思うので、今回個人戦始まってからリンクサイドでほとんど会っていないんですよね。ずっと会えず、一度も顔を出すことがなかった。それでも、こうやって試合のリンクサイドに出水さんが立って、キスクラも座ってくれて、一生の思い出になったんじゃないかなって。そこは、僕はすごく良かったなって。トレーナー業など、あんまり世間に見られないけど支えてくださってる方がたくさんいるので、そういう人が日の当たる場所で見られたっていうのは、嬉しく思います。

 

金メダルを目標にするのはネイサンの失敗を願うこと

質問)金メダルへの想い。コーチの首にかけてあげたか。

昌磨)メダルに関してなんですけれども、今の僕の実力でこの3位というの順位は、本当に納得しています。昨日の演技は、完全に優真くん、ネイサンの方が素晴らしかったですし、またネイサンに関しては、明らかに僕より実力が上だったっていうのもあり、今大会で金メダルを取るっていうのを目標にすること自体が、自分の成功じゃなく、ネイサンの失敗を願うことと一緒だと僕は思っていたので、そういったことは全く考えてなく、本当に自分のやってきたことをそのままやろうと。

「僕の目標はここが最後ではない」「もっと先を見据えて成長できる舞台にしたい」と考えていました。メダルを受け取ってから、ほぼ取材になり、まだ忙しいので、メダルを誰にもかけてあげることはできていません。ステファンは、多分もうすぐにスイスに戻ってしまったので、僕のエキシビが終わり次第、日本に帰って家族に見せてあげたいなと思います。 

 

ネイサンのような存在になりたい

質問)具体的な目標。道の先にあるスケーター像。

昌磨)具体的な数字、順位の目標は全く立っていないですけれども、ただ今大会で思ったのは、「僕もネイサンのような存在になりたい」っていうのは思いました。

僕は、そんなにプレッシャーに強いタイプではないと思うんですね。練習よりいい演技ができるって言うのは、ほぼなく、この4年間でも一度もないというぐらい、練習通りかそれ以下というのがほとんど。実力そのものが皆さんよりかなり圧倒的にならない限り、僕が世界のトップに立つっていうことは不可能だっていうのは、もうここ数年間でわかりました。

なので、そういったものを見据えて、今年の構成でも、全て自分のやれることを全部詰め込んだ構成にしてます。今後もトップっていうのを目指すためにも、いろんな新たなものに挑戦しなければいけないと思います。今、挑戦しているものをやっているだけでも楽しいし、確率をすごく上げれば、限りなくトップに近い存在に近づけると思っているので、今からでも結構自分の練習&成長が楽しみでもあります。

 

ここで、「選手本人に関する質問」と言われていたのに、ジャパンタイムズの記者が例の質問を😡二人は答えたけど割愛します。

 

今回の演技の表現面は自分で見返したくない

f:id:tanegashimapi:20220212012114j:plain

 

質問)ジャンプが高難度する中で、ほかにこだわりたい部分は。

昌磨)もちろん、今フィギュアスケート界はジャンプが一番点数が高く、ジャンプがないと世界のトップにはいけないというのは分かっているんです。けれども、やはり僕は表現力といった面では、今回も全然、自分でも見直したくないって思えるぐらいよくない表現ばかりでした。

世界選手権まであとひと月ぐらいですけれども、やれることを全部やって、ショートプログラムももちろんですけど、フリーでは本当にジャンプにばかり意識がいっていると思うので、これからの限りある時間の中で、なるべくこのボレロっていうのをしっかり練習して、なるべくステファンコーチが納得してくれるようなものを滑り切りたいなと思ってます 。

 

残り一試合でステファンに捧げられる『ボレロ』を

質問)メダリストとして臨む一か月後の世界選手権に向けて。今大会で日本選手が二人表彰台に立ったのは初めて。ほかの選手たちを勢いづけたと思うか。エールがあれば。

昌磨)世界選手権では、僕のスケート人生はまだまだ続くと何度も言っていますけれども、この『ボレロ』と『オーボエコンチェルト』は、世界選手権で最後の滑りになると思うので、特に『オーボエコンチェルト』は、今大会で100点には届かないですけれども、このままもし終わったとしてもギリギリ納得できなくもない。ただ、「まぁまだまだいけるよね」と思いながらも。

『ボレロ』に関してはまだまだやり残したことばかりなので、残りの1試合でステファンコーチにこの『ボレロ』を捧げられるようなものに、世界選手権でしたいなと思っています。

日本人が同時に表彰台に乗れたことはすごいと思いますし、うれしいんですけれども、全選手がこのオリンピックに向けていろんな形で努力してきて、いろんな思いがあると思うので、僕が勢いをつけたとか全く思っていないですし、本当に全選手がどんな形であれ、悔いの残らない全てを出し切った形で、一人でも多く笑顔で日本に帰れることを願ってます。

 

一緒の練習で“僕は”間違いなく成長できる

質問)鍵山選手が中京大へ進学。同門になるが二人で日本のスケート界を引っ張っていきたいなどあるか。

昌磨)中京大学に来てくれたことに、これから長く同じリンクで同じ練習ができることを、すごく嬉しく思いますし、間違いなく、僕は間違いなく成長に繋がると思うので、ありがたく一緒に練習させていただきます。

日本のフィギュアスケート男子、本当にまだまだ若い人たちがどんどん勢いをつけて成長して、来年再来年には、もっともっと毎年たくさん現れると思うんですけれども、僕も置いて行かれないように、成長し続けたいと思っています。

日本のフィギュアスケート男子は、ずっと世界のトップで挑戦者が何年にもわたって出続けていますし、それを引き継ぎたいとも思っています。(一部略)。僕は僕の形で、今後続けていけたらなと思ってます。

(以上)

 

どんな質問にも誠実に、質問者にも配慮しながら、短時間で何十個もの言葉から単語を選んでしゃべっているであろう昌磨。

演技で人々を魅了し、言動で人々を魅了し、昌磨のファンが増えていく。

世界中のみなさん、オール ウェルカムです!!