宇野昌磨選手の2022年シーズン初戦、
ジャパンオープンの演技の記憶を書き留めておこうと思います。
男子の滑走順は、
1ミハル・ブジェジナ、2三浦佳生、3ジェイソン・ブラウン、4ダニエル・グラッスル、5宇野昌磨、6イリヤ・マリニンでした。
6分間練習の昌磨は、調子がよさそう。
イヤフォンによる町田さんの解説では、
朝の練習から、フルマックスでジャンプを跳んでいたとのこと。
脚を怪我していた時期は、直前練習では力をセーブして、ジャンプを跳ばずに周回していました。
今回は怪我なしと考えてよさそうです。
ジャンプを跳ぶところと、イメージを確認するだけのところと分けながら、
落ち着いて時間を使っていました。
さて、ダニエル・グラッスルの演技を見ていたら、
右方向の視界に、キラキラ光る物体が。
そこには、おお、昌磨だ!!
やたらにキラキラした衣装を着て、入場口付近を歩きまわっています。
近年の昌磨は、イヤフォンなどつけずに、
カタカタ、コトコト、リンクサイドを行ったり来たりして、
集中を高めつつ、体を温めつつ、出番を待っているようです。
ステファン・ランビエールは、少し離れた位置から、
「何かあったら声かけてほしいけど、僕は他のこと考えてますねー」
といった無関心を装いつつ、気配で昌磨を見守っている。
来ました、来ました、この感じ。
昌磨のシーズンが始まります。
いよいよ出番。
ステファンに声をかけられると、
サムズアップして微笑みながら、リンク中央へ。
悠然と両手を広げて場内コールに応える表情は、
怖いくらい落ち着いています。
もう作品の世界に入っているのだろうか。
と思ったら、雨に濡れた子猫のように不安げな表情でスタートポジションへ。
どっちなのぉぉ😆
『G線上のアリア』。
冒頭、祈りを捧げるようなポーズで氷の上にひざまずく昌磨。
この場面ではいつも、小さな礼拝堂が思い浮かぶ。
小さいころ、1年だけ通った幼稚園にあった礼拝堂。
静ひつな空気を足元に集めてから、
ゆっくりと翼を広げ、天上から天使を呼び寄せる昌磨。
差し伸べた手を、額にかざすしぐさ、初めて見た。
ゾクッ。すでにやられた…。
するすると動き始める昌磨。
ふんわりループ。
すーっと流れていくサルコウ。
「カシャッ」。誰もが呼吸を止めた会場に、
トゥループのかすかな着氷の音が響く。
宙を切るトリプルアクセルまでが、抒情的でやさしい。
ここまで、動き出してからアクセルまでが、
一筆書きのようにつながっている。
高難度ジャンプを次々と決めていく演技を見ているのに、
癒されていくような気持ちになる不思議。
以前の私なら、ジャンプに入る前に祈ったり、肩に力が入ったりしていたけれど、
今では、4回転ジャンプは、はなから成功するものと決めてかかっている。
なんという信頼感(笑)
というより、ジャンプがコリオに溶け込んでいるので、
ジャンプとジャンプの間の、
腕や上半身の動きのほうに引き込まれてしまう。
全方位カメラの映像を見ると、
コレオシークエンスで審判席の前を通る時の、昌磨の腕や背中の動き、表情が、
完全に天上界の人になっている。
これは、やばい。
私が審判だったら、固まってしまったと思う。
と、「ダーン」という音と共に場面が切り替わり、
後半の『メア・トルメンタ・プロペラーテ!』がスタート。
私の頭の中は、小さな礼拝堂から、ケルン大聖堂へ。
大道具さんがいたら、幕を「ダーン」と落として、
背景画を切り替えてほしいくらいです。
音楽は盛り上がり過ぎるほど盛り上がり、
私の心臓の高鳴りと共に、4回転ジャーーーンプ!!
あれっ??
フリップが空中でパンク。
珍しくないですか?
一番盛り上がるタイミングでのパンクは、
若干痛いが、気にせずゴーゴー。
次は、今シーズンのルール変更で導入した新技アクセル×アクセル。
このジャンプシークエンスは、リンクを移動する距離が長いから、華やか。
セカンドが2Aだったのは、その時は気づきませんでした。
最後は、帰ってきた4T+3Tさんで〆!!
・・・のところ、4T+2Tさん、お帰りなさい。
でも、ぜんぜん気にならなかったのは、
つなぎの動きが昨シーズンと違う次元に達していて、
ジャンプよりそっちに目が行くからか?
そして、待ってました!!
プログラム最大の見せ場、ステップシークエンス。
ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ氏の神の声を、
ここまで表現できる人は、地球上に他にいないと思う。
音楽を表現しているというよりも、声を表現しているかのよう。
ヤクブさんの声が憑依したかと思うほど、
カウンターテナーの高音域や声の伸び、かすかな震えを、
全身のしなりや上半身と下半身のきわどいバランスで表現していく昌磨。
私の好きな、足先をパタパタってするコリオは、
今回入ってなかった気がするけど、
洗練されたステップは、驚嘆するしかない。
ザ・アイスの頃よりも、さらにさらに音楽的になっていました。
ステップ、ずっと見ていたいなぁ。
と思ったけど、お別れの合図の連続スピン。
このあたりから、観客席の拍手が鳴りやまず。
フライングしてからのフィニッシュと同時に、
賑わい席(コーチ陣、関係者席)のみなさんが、スタンダップ!!
私もスタンダップ。
と、えええええーーー😱😱
いっせいに掲げられた、オレンジ色のバナータオル。「Shoma Uno」。
「昌磨ファンのみなさん、今までどこに隠れていたんですか?」
ってくらい、客席に揺れるたくさんのたくさんの宇野昌磨バナー。
泣きそうだよー😭
なんでー? みんな、さっきまで、そんな素振り見せていなかったじゃない。
どこに持ってたの?? 私とあと数人だけかと思ったよー(そんなバカな)。
来てよかった。
真実が見られてよかった。
ランビ「グッドファイト」(よくやった)
しょま「イエッ」
この昌磨の「イエッ(ス)」の言い方と表情が、かわいーーーーーー
何これ~~保存版だな。
「ベリー カーム ベリー グッド」(すごく落ち着いていて、とてもよかったよ)
おめでとう、昌磨。
おめでとう、ステファン。
鮮やかな初戦の演技でした。
しかし、ハラハラ、ドキドキ、ジェットコースターのように先が見えなかった、
昔の試合も懐かしく思っている私がいる…ことは秘密。
衣装は、ザ・アイスのときよりも激しく光っていて、
ストーンが増えたように見えたけれど、
見比べてみると、ストーンは同じ。
ザ・アイスのときの衣装は、写真によっては青味がかって見えるけれど、
ライトの関係かな。
マシューさんは、同デザインで色違いを作る傾向があるけれど。
ショーと違ってライトのない試合では、本人自身が輝くしかない。
ライトがある場所より、ない場所の方がキラキラ光って見えるようにストーンを装飾しているとしたら、マシュー・キャロンさん、天才だ。
以上、宇野昌磨選手、初戦の記憶の覚書でした。
次は、スケートカナダ。
昨シーズンとは違う次元に達している宇野昌磨を、
全世界の人が目にする反応が楽しみです。