ロシアのコリヤダ君(ミハイル・コリャダ選手)が、
競技生活の一時中断を発表しました。
ロシアの国際大会出場禁止期間にも、時間はどんどん過ぎていき、
私の好きなスケーター、コリヤダ君やアリエフがいつか引退する予感はありました。
二人とも性格が繊細で、だからこそ、彼らが紡ぐ世界が私は好きなのですが、
過酷な外部環境のあれやこれやで、メンタルが心配な二人でもありました。
しかし、昨シーズンから、アリエフがまさかの復活。
ナショナルチームにも再び名を連ねています。
一方で、コリヤダ君は、代表チームの補欠にも名前がなく、心配してはいました。
そして、このたび、テレビ番組内で、
スポーツ選手としてのキャリアを一時停止する決断をしたことを発表しました。
理由は、心身の健康上の問題とのこと。
本人のコメントを読むと、今は、絶対に休憩すべきだと理解できます。
「ミハイル・コリャダは健康上の問題を理由にキャリアを一時停止する決断を下したと語った。
このインタビューは昨秋に録音されたが、スケーターは適切な瞬間まで公開しないよう求めた。
- モスクワでのグランプリ後、完成に至るまで、将来のキャリアについてさまざまな考えがあったと聞いています。
―本当にそういう思いがありました。いろいろ考えて、次に何をすればいいのか考えてみました。今は間違いなく休憩が必要です。精神的に疲れている上に、対処しなければならない健康上の問題もあります。
- 現在の体調の原因は何ですか?キャリアを休止するという決断は、ゼロから起こるものではありません。
- 説明するのはとても難しいです。健康上の問題で身体的に完璧にフィットすることができず、精神的にもおかしくなってしまいます。私たちはアレクセイ・ニコラエヴィッチ(ミーシン)と話をしましたが、彼は私の中でいくつかの変化が起こっていると信じていますが、私はそれを完全には気づいていません。そういった場合、どうすればいいのか分からないときはやめたほうが良いでしょう。
- 休憩が心地よすぎて、もう戻りたくなくなるのではないかと心配しませんか?
- 怖くないよ。私はすでにフィギュアスケートを本当に大切にしていることを理解できました。彼らが言うように、今行かなければ、釘の上でスケートをして「さようなら」となります。でも、息を吐いたり吸ったりする時間は絶対に必要です。
長いキャリアを持つ多くのアスリートが休養をとっている。私の意見では、最も明白な例は、エフゲニー・プルシェンコが2006年のオリンピックで金メダルを獲得した後、3年間スケートをしなかったことであり、2010年のバンクーバーオリンピックの後、彼は2年間休んだと思います。アスリートの軌跡が長ければ長いほど、より多くの停止が必要になります。私は常に長いキャリアを望んでいた。
―年齢は復帰の障害にはなりませんか?
- いいえ。そうですね、従来のスポーツの基準からすると、自分はちょっと年齢がいっているような気がします。しかし、私は自分の状態を評価し、まだ多くの人より有利な点もあると思っています。持久力、スピードなど。したがって、私は肉体的に年をとったとは感じません、とコリャダ氏は言いました。」
昨秋には、休憩することを決めていたのね。
だから、ナショナルチームに名前がなかったのかもしれません。
まさに、波乱万丈だった、コリヤダ君の競技生活。
平昌オリンピックで、ロシアの男子エースの役割を任されたものの、
団体戦でジャンプのミスが相次ぎ、
味方であるはずのロシア国内から大バッシングを受けたコリヤダ君。
あのときは、本当に、私の心も凍りました。
翌シーズンからは、引き続き、ロシアのエースの位置にいながら、
治療しても治療しても続く、副鼻腔炎との闘いが待っていました。
激痛に耐えながら飛行機で海外遠征して、
スピンの途中に痛みで失神しそうになっていたときもありましたね。
手術後も体調に苦しめられましたが、
しあわせな結婚生活がコリヤダ君を支えているのが、ファンとしては救いでした。
そして、長年師事したチェボタリョーワコーチから、ミーシン巨匠の元へ移籍。
奇跡の大躍進を遂げ、『ホワイト・クロウ』などの傑作プログラムを生み出して、
再び、ロシアのエースとなりました。
しかし、北京オリンピックを控えたシーズン、
少しずつまたジャンプに苦戦するようになり、
オリンピック直前合宿期間でのコロナ感染…不可解とも思われたオリンピックチーム離脱…と、とんでもない悲劇がコリヤダ君を襲いました。
オリンピックは開催されているのに、なぜか自宅にいるコリヤダ君…。
が、オリンピック後にテレビに出演し、
「私はこれで終わりではない。前進あるのみ」と話して、大喝采を受けました。
だけどさ…本当は、いっぱいいっぱい苦しみを抱えて、
葛藤していたんだと思うよ。
昨シーズンのフリーは、シュトニケの『Tango in the madhouse』。
頭のおかしくなってしまった教授を演じていたコリヤダ君。
芸術路線、深くプログラムを追求しているのは変わらずだけど、
改めて見返すと、ギュッと胸がしめつけられる。
美しい。そして、とても細い。大丈夫かい?!
私は、かつて大好きな香港の俳優がいたのですが、
サイコスリラー映画に感情移入した迫真の演技のあと、
悲劇的な最期を遂げてしまいました。
コリヤダ君は、自分で自分をわかっている。
今は間違いなく休憩が必要です。精神的に疲れている上に、対処しなければならない健康上の問題もあります。
今行かなければ、釘の上でスケートをして「さようなら」となります。
休むべきだと思うし、ちゃんと選択してくれたことに安心した。
また戻ってくるかこないかわからないけれど、
もう十分、頑張ったから、拍手で送りだしたい。
そして、ミーシン巨匠の言葉に、救われました。
「私のコーチとしてのキャリアには、数多くの優れたアスリートがいました。コーチとして私の心と魂に最も鮮明な印象を与えたのは、ミーシャ・コリャダとの仕事だったと言いたいです。私は幸運で、とても明るくて興味深い選手たちに恵まれました。
私はミハイルに別れを告げるのではありません。『またね、親愛なるミーシャ』」とロシアの名誉ある監督は言った。
コリヤダ君のオフィシャルに、これがあった。
コリヤダ君も、気に入って、想い出に残っているのだったらうれしい。
もう、現役は、昌磨とボーヤンだけになっちゃったね。