こんばんは。読書をするには厳しい暑さですが、
ネイサン・チェン自伝『ワンジャンプ』を読み終わりました。
読み応えがあったけど、読みやすくて、いろいろなことを考えさせられました。
「ここまで書いていいの」と思うくらい、
自分の気持ちを包み隠さず明かして、
しかも誰も傷つけないように言葉を選んでいるネイサンに、
人間的な強さ、誠実さも感じました。
本の序盤は、ネイサンのお母さんのバイタリティと行動力に、ただただ敬服。
お金と時間が限られていても、
5人の子どもに、こんなにたくさんの習い事をさせられるの??
それを可能にする方法を考えて実行する行動力。
「あきらめる」という発想がない。
ネイサンのお母さんは、アメリカ大陸をいったい何百万キロ運転したのだろうか。
トヨタがスポンサーにつくのも、当然だと思いました。
まさに、「Drive your dreams」(トヨタの企業スローガン)。
途中からは、ネイサンを取り巻くスケート関係者の懐の深さを尊敬しました。
「お金がないので、一週間に15分だけレッスンをしてほしい」と言われて、
結局、毎日、何時間も無料で教えるなんてことは、私にはできないなぁ。
自腹で大会に同行してあげるのも…
いくらその生徒に才能があったとしても、です。
しかも、ゆくゆくは、その生徒は自分のところから去ってしまうわけなので。
そのあたりが、私の“ちっちゃさ”であり、“強欲さ”であり、
教育者精神の欠如でありましょう。
ラファとの関係も、興味深く読みました。
マンツーマンでべったり、という単純な師弟関係ではなかったみたい。
哲学者のようなラファの言葉の数々も面白かった。
考える力がないと、ラファの下で学ぶのは、難しそう(笑)
それから、ネイサンは、元々時間の使い方がうまい人なのかと思っていたけれど、
「そうではなかった」と。
もちろん、凡人とは比較にならない集中力は養っていたと思いますが、
スケートと勉学を両立させる方法を、
指導者の助言も得ながら身に着けていったのは、興味深かったです。
平昌オリンピック、北京オリンピックでの心情を赤裸々に書いてある箇所は、
臨場感があって、どきどきしました。
ためになるだけでなく、ネイサンのプログラムや衣装選びの裏話も知ることができて、ファンにとっては、「そうだったのか」と思うところもたくさん。
『ラ・ボエーム』を振り付けたときのシェイ=リーン・ボーンの心情も、
初めて知りました。
ネイサンが、こんなにも怪我に苦しめられていたことも、知りませんでした。
それを全面に出すことがほとんどなかったし、
怪我を抱えながら、あれだけ安定した高度な演技をし続けたのも、驚異としか言いようがありません。
話はそれますが、宇野昌磨選手が、
「出番の前に、他の選手の演技を見る」し、「それを踏まえて自分がどの程度の演技をすればいいか考える」と話していて、珍しいなぁ、強心臓だなぁと思っていましたが、
ネイサンも、同様なんですね。
お父さんが計算に強いのも、昌磨さんと同じです。
そうそう!!
ネイサンは、多種類の4回転ジャンプを、試合で変幻自在に組み合わせていたように思いますが、
プラスαの4回転ジャンプは、対戦相手によって判断していたらしいです。
「日本の宇野昌磨と対戦するときは、技術的に強くて、芸術性も高い選手なので、4回転を1本増やした」というようなことが書かれていました。
昌磨さんは、それを知っていたのかな。
知ったら喜ぶのではないか、と思うのですが、どうだろう?
他の出場選手にとっては、ネイサンと昌磨が揃う試合は、
脅威だったかもしれませんね。
「ネイサン・チェン自伝 ワンジャンプ」は、
読みやすい言葉で書かれていながら、
「こうやってピンチを乗り越えればいいんだ」という体験が詰まっています。
学生にとっては、人生のガイドブック、
大人にとっては、教育書、啓蒙本のような自伝だと思いました。
そして、ネイサンが、かつて、無償で力を貸してくれた関係者の名前を本に記して、
感謝の気持ちを示せたことに、なんかほっとしたのでした。
ザ・アイスのときにも、執筆の理由の一つに、「お世話になった人たちのことに触れて、感謝を示したかった」と言っていたような気がします(うろ覚え)。
…と、ここまで書きながら、文章がまとめられないことに、ぐったり。
「小学校低学年の夏休みですら、もう少しマシな読書感想文を書いていた気がする」と、トホホな気分になるのであった。
まったく…読書感想文って、どう書くんでしたっけ??
Amazonリンク
あらまぁ😂Amazonのレビューのほうが、熱くて詳しくてすばらしいですぞ。