オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

ワリエワ問題が決着しないのは、なぜなのか

スイスのジュネーブでいよいよ開かれた、

ワリエワ選手のドーピング問題に関する公聴会は、

いったん中断されて、11月9日-10日に再開されることになったそうです。

 

 

この過程、グルグルと何度も繰り返している気がしませんか?

 

北京オリンピックから19カ月。

米国のジャーナリストや米国スケーターたちの熱意ある追求、要望にもかかわらず、

決着がつきそうでつかないワリエワ問題と、宙に浮いた団体戦メダル授与。

 

U.S. Figure Skating on Instagram: "#MoreThanMedals x #Beijing2022"

 

「CAS(スポーツ仲裁裁判所)がヒアリング日程を決定」とか

「IOC(オリンピック委員会)会長がコメント」とか

「WADA(世界ドーピング防止機構)がワリエワの資格停止処分を求める」とか、

数カ月ごとにニュースが上がっては、消えていく…

解決する気がないんじゃないかと思うくらい、亀の歩のように進行がのろいです。

 

北京オリンピック後のヴィンスのインタビューや、ネイサンの自叙伝を読むと、

オリンピックを目指す過程では、とてつもない量の努力はもちろん、

家族との摩擦や葛藤などもあったよう。

ここまでの人生すべてを賭けた結果の象徴であるオリンピックメダルが手にできない、正義が通らない…となると、

私なら、もどかしくて発狂しそう。

 

銀メダル(仮)の米国チームは、折に触れて強いメッセージを発信していますが、

銅メダル(仮)の日本チームは、

「メダルを心待ちにしているけれど強くは言えない選手」「メダルに無関心(そうに私には見える)な選手」「発信方法がわからない選手」というふうに、私には思えます。

 

 

本音を言ってもいいですか?

チームの中に、一人でも、オリンピックメダルを心待ちにしている仲間がいるのなら、

たとえ、自分はメダルに関心がなかったとしても、声をあげてほしいんです。

私は、ちょっと寂しい。これ以上は言えません🙊

 

さて、北京オリンピックで、光と地獄の両方を経験したヴィンセント・ジョウ選手。

何度かコメントを出していますが、

先日、さらに踏み込んだコメントを発表しました。

Statement from United States of America Olympic Figure Skater Vincent Zhou — Global Athlete

 

称賛すべきは、コメントのこの部分。

Valieva’s positive drug test is not an isolated incident. My teammates and I are aware of widespread doping by other Russian skaters – and this, unfortunately, should surprise no one, given that a non-compliant anti-doping organization is still tasked with ensuring the integrity of sport inside Russia.

ワリエワの薬物検査で陽性反応が出た件は、特別な出来事ではありません。私のチームメイトも私も、他のロシア人スケーターにもドーピングが蔓延していることは、知っています。そして残念ながら、そのことに驚く人はいないでしょう。コンプライアンスの欠如した反ドーピング団体が、依然としてロシア国内のスポーツの健全性を確保する任務を負っていることを考えれば。

 

つまり、選手もコーチも関係者も、

ロシアのスケーターが、ドーピングと思しき行動をしているのは、

目撃していると思うんですよ。

 

以前、「The Skating Lesson」のYouTubeとポッドキャストで、

ゲストのポリーナ・エドモンズ元選手が、以下のような概略の話をしていました。

 

「ジュニアGPファイナルの公式練習のときのロッカーで、ロシアの女子選手たちが、各々、瓶に入った液体をスポイドで口に入れ、『私のドクターはこれは飲みにくいと言っていた』『私のは飲みにくくない』というような会話をしていた。その後、リンクへ出ると、彼女たちはわずか30秒で(体を慣らすことなく)トリプル×トリプルを跳び始め、試合への体力を温存することなく、30分~40分の練習をパワー全開でこなしていた」

This and That: 2022 Olympic Games Women's Recap with Polina Edmunds (Alexandra Trusova) - YouTube

 

その時のジュニアGPファイナルに出場していたロシア女子は、

金メダル マリア・ソツコワ

銀メダル エフゲニア・メドベージェワ

銅メダル セラフィマ・サハノビッチ でした。

 

マリア・ソツコワは、平昌オリンピックの後に、

ドーピング違反で出場資格停止10年…と同時に、引退しました。

 

好きなスケーターだったのに残念

 

エフゲニア・メドベージェワは、一時、カナダに移籍していましたが、

以下の情報は初めて耳にしました。

ロシアのアスリートがトレーニングや試合で他の国に行くとき、ドラッグは箱に入れられ、船便で送られる。メドベージェワがカナダにいるとき、船便で取り寄せていた悪名高き“ビタミンの入った小包”について、誰かクリケットクラブに問い合わせてください。カナダのトロントには、(ビタミン剤の買える)薬局がないのかも。

 

また、「ドラッグがスケーターにどのような影響があるのか?」という質問に対してポリーナ・エドモンズは、

「筋肉を増やす」といった系統のものではなく、

例えば、「メルドニウム」という薬は、持久力とスタミナを増強し、トレーニング後の回復力やストレス耐性の向上に役立つ…というような話をしていました。

 

ワリエワの尿から検出されたのは、

トリメタジンとハイポキセンとL―カルニチンでしたよね。

チーム専属のドクターがいることからも、

スケーターごとの処方があるのかもしれません。

 

「持久力やスタミナアップ」で思い出したのですが、

宇野昌磨選手が、エテリ組の夏合宿に参加したときのこと。

休憩時間に体育館の床で寝ている写真がありました。

 

あの“体力お化け”の昌磨が、

「エテリ組の練習はハードだ」と話していましたよね(どこで読んだか失念)。

 

あのとき、変なものを飲まされなくて、本当によかった🙊

当時、トレーニング場所を探していた昌磨さんは、

お試しでエテリコーチのところへ行っき、特別な理由があったわけではなく、「なんかこの場所は違うな」と感じて合宿を終えたようでした。

 

「The Skating Lesson」のデイブが以前、

「ショーマは何か目撃しているかも」と、わくわくしながら言っていましたが、

残念ながら、昌磨さんは、寝ていて何も見ていないと思います(笑)

 

それより、最近、エテリ組を離れたダニエル・グラッスル選手が、

ドーピング検査を3回ぶっちぎって(検査機関と連絡がつかない、所在不明。これは違反)、試合を辞退しましたが、まだゴタゴタしているみたい。

これには、いろいろと思うところがあります。

ネペラ・メモリアル杯には、無事に姿を見せてくれるでしょうか。

 

怖いのは、ドーピング問題が、ロシア選手だけの問題ではなく、

他国のスケーターにも飛び火すること。

 

多くの関係者が、ロシア選手のドーピングについて知りながら、

🙈🙊🙉(見ざる言わざる聞かざる)状態なのは、

なんか、いろんなことが複雑に絡まっているからなのではないかと、邪推してしまう。

 

検査の結果が陽性で、アウトなのは間違いないのに、

なぜか結論が出ない、もどかしさ。

 

ワリエワ選手が、スケーターとしてのキャリアを終え、

ロシア国内で富と名声を十分に手にした頃に、

試合への出場停止が発表されるのかな。

 

北京オリンピック団体戦の日、メダルを手にするはずだった米国チームと日本チームの興奮と幸せ、達成感は、時間と共に薄れてしまうかもしれないけれど。