オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

マリニン&エイモズ、凄まじ過ぎ。世界選手権のようだった、スケアメ男子フリー

スケート・アメリカ男子フリーは、ご覧になりましたか?

いやー、すごかった。しびれました。

 

特に、最後の二人、ケヴィン・エイモズとイリア・マリニンの演技は、

本来なら、シーズンの最後の最後、

世界選手権あたりで見せてもらうようなレベルの演技。

GPシリーズ初戦でそれが見られるとは、思ってもいませんでした。

 

まずは、私の中でのケヴィン・エイモズの代表作となった『ボレロ』。

 

大迫力

 

動き出しの滞空時間の長いバレエジャンプからして、

これから始まる極上の演技を予感させるコリオですよね。

プログラムの随所に散りばめられた、

膝と体幹を使ってゴム鞠のように弾んでリズムを取るコリオが、快感。

 

3A+2Aの前のコリオなんて、狂気の沙汰ですよね。

これやってからジャンプを跳ぼうなんて、デンジャラス過ぎる。

 

 

赤い手袋は、「指先まで手抜きしないで演じるから、どうぞ見てください」という、自信の表れ。

表情も自信にあふれていて、これが先々シーズン、怪我でジャンプを跳べなかった人とは思えません。

終盤に向けて、観客の熱狂がどんどんすごくなって、

締めのコリオシークエンスで、心奪われない人はいないのではないでしょうか。

 

あの場にいたら、間違いなく、私も立ちあがって叫んでいたと思う。

なんて叫ぶんだろ。「キャー」しか思い浮かばないけど。

いやー、すごいものを見せてもらった。

ありがとう、ケヴィン!!

181.75のSBで、2位以上決定でした。

 

続いて、イリア・マリニンの『Succession』。

マリニン君のプロの中で一番好きなプログラムですが、

まさか、これほどの演技を、彼がスケアメで見せてくれるとは、

まったく思っていませんでした。

 

 

どんな高難度ジャンプも、ブレなし揺るぎなし。

彼を見ていると、4回転ジャンプがとても簡単な技に見えます。

 

昨シーズンのように、体力やコントロールを失うこともなく、

粗さが見えることもなく、

ただ、ただ、完膚なきまでに圧倒され、

言葉を失って、見入るのみ。

 

「帝王」という言葉が浮かびました。ドラマの影響かな。

 

恐れ入りました。

 

テクニカルボードは、112.94点を指してました(暫定)。

フリーは、206.41点。これでまだ4Aとか伸びしろがあるからすごい。

総合310.47点でもちろん優勝です。近い将来、330点はいきそう。

 

そして、この段階で、佐藤駿選手のメダルは確定していました。

だから、エイモズ君とマリニン君の演技を、

落ち着いて堪能できたというのもあります。

 

ギヨーム・シズロン振付『四季』。

衣装も、シズロン味を感じませんか?洗練されていて素敵です。

 

 

 “新生”佐藤駿の期待が高まる冒頭のコリオ。

昨シーズンは、ジャンプでプログラム全体のリズムを奏でている感じがありましたが、

今シーズンは、ジャンプ以外にも、コリオの見所がたくさんあります。

特に、「春」のパートは、軽やかで心が弾みました。

 

4回転3本が得点源にならなかったのと(単独の4T、跳んだあとにツルっとなって、本当にもったいなかった)、

スピンとステップで、なんとなく昨シーズンがよみがえってきてしまったのは残念でした。

(「スピン間違えた」って、本人が日下コーチに言ってましたね。ステップで、「うっ」て止まったのも、ヒヤッとしました。本人、後半は疲れていたそうです)

 

が、昨シーズンとは明らかに表現への意識の向け方が違って感じられました。

高難度ジャンプと魅せる動きの両方で楽しませてくれるスケーターになりつつあると思います。

 

 

演技直後は、「メダルを逃したかなぁ」と不安でしたが、

キスクラで暫定1位になった瞬間、

駿くんも日下コーチも涙ぐんでいるように見えて、もらい泣きしました。

駿くん、メダルおめでとうございます。結果がメダルとして表れて、本当によかった。

 

ということで、スケート・アメリカ男子の順位はこちら。

 

第一戦から、すごい大会で幕を開けたグランプリシリーズ男子。

マリニン君やエイモズの演技を見て、

出場者のみなさんも、ピリッと気持ちが引き締まっているのではないでしょうか。

次のスケート・カナダも楽しみです。

佐藤駿選手、第二戦はフィンランドです。