オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

昌磨SP。ただ月夜を支配する王のごとく。

言葉なし。

言葉を失うとは、まさにこのこと。

演技が終わってからも、黙って頭の中の残像をたどるのみである。

 

宇野昌磨選手のSP『I Love You Kung Fu/Clair de Lune』。

今日の演技は、これまでと雰囲気が大きく違っていた。

 

いつもは、幻想的でファンタジーの世界に導かれるようだったけれど、

今日は、幻想的ながらも、輪郭がはっきりして、力強さを感じさせた。

 

冒頭の体の向きを変えながら、2方向を指さすコリオは、

眼光するどく、暗闇の中から、気配なきものたちを呼び寄せるがごとく。

 

 

冬の月夜を支配する王のようなたたずまいに、

「これは間違いなく、4回転フリップを決める男だ」と確信した。

 

 

そして、本当に4回転フリップを決めた瞬間、泣いちゃったよ(笑)

 

qマークとか、レベルとか、そういったことを意識せずに、

「1日も無駄にすることなく練習を積んできた」という

最高のプログラムを堪能したかったので、

画面上のカウンターを隠し、正座して見ていた。

 

どの瞬間も、指先、目線、すべてに、

中国杯、NHK杯、ファイナルよりも意識がいっていたように思う。

 

 

空気が凍った月の光の中で、昌磨だけが動いているようで、

ただ、ただ、息を止めて見ていた。

 

演技を見終わって、こんなにしあわせで、いいんだろうか。

 

今日は、体感20秒。

いつにも増して、短かったけれど、

ぎゅっ、ぎゅっとすばらしいものが詰め込まれたクリスマスBOXを、

一足早く受け取ったようだった。