オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

昌磨の気持ちの現在地:世界選手権に向けて

『フィギュアスケートTV!』ご覧になりましたか。

「世界選手権に向かう代表選手のインタビュー」で、宇野昌磨選手も登場。

型どおりではない、とてもいいインタビューだったと思います。

 

ステファンとリンクで練習する映像も、流れました。

これまで見てきた練習風景とは、少し空気が違うように感じました。

あくまでも、画面を通してですが、二人とも何か覚悟を決めたような…腹をくくって何かに挑むような、違う世界にいってるような次元の練習。ステファンも、いつものエレガントな感じとは、ちょっと違って見えました。

 

一方で、笑顔がとても素敵で、昌磨の原点を見ているようでもあり、かわいかった。

 

ただ、インタビューを聞いて、「昌磨の今の気持ちはこう」とか「こういう状態みたい」と、まとめるのは難しい。

言葉で決めつけたり、要約したりするのは不可能なので、

昌磨の言葉を文字にしたいと思います。

 

■世界世界選手権3連覇について

「2連覇中ですよね…?(3連覇はどうでしょう)」みたいなインタビュアーの振りに対して、

そういえばそうですね。実力がもう、トップじゃないっていうのは分かっているから。マリニン選手がいるので。その…あんまり2連覇しているっていうイメージはないです。そんなに「その座を守る」っていう立場じゃなく、「自分が挑戦する立場」っていう風に、自分の中で意識は変わっているので。

 

僕の信条っていうか、僕はスケーター、そもそもアスリートらしくない部分もあれば、何か根っからの古くから伝わる“気合い” “根性”みたいな部分もありますし、ま、なんかそこの自分の境界線っていうのはすごくはっきりしていて、自分が必要だと思うこと、そこは譲れない所っていうのは、絶対に譲る気はないというのはありますし。

本当に、おっしゃることは分かりますし(3連覇のこと?)

自分にとって本当に諦めなきゃいけない部分、ちゃんと諦めなきゃいけない部分と、絶対に諦めたくない部分の両方があるからこそ、ここまで来れたと思います。

 

皆さんの…どう期待をするとか…「結果をよく」なのか「内容をよく」なのか。ただ、本当に僕が僕の身の回りの人たちに対して感謝した上で、ここまで僕にスケートをさせてくれた、そして、モチベーションを上げてくれた人に対しては感謝してますし、その僕をよく思ってくれてる人たちのために、「日々を全力で生きよう」っていうのは思っています。

 

結果なんてもう、ダメな時はダメですし、いい時はいいですし、もちろん「結果が全て」と言われる世界でもあるんですけど、ただそれは世間の評価で、自分のことを一番に思ってくれてる人たちは、「結果が全て」なんて思ってる人は一人もいないので。もちろん、結果が良ければ、みんな喜んでくれますけれど。

 

一番大事なことは…他人に評価されることが一番大事なのか、自分が満足することが一番大事なのか…でも自分が満足するっていうのは、他人に評価されているからこそ自分が満足できるんじゃないかとか、いろいろこう考えるんですよね。やっぱ僕は、考えて行った先に、まず自分が満足したいなというのはありますし、あとは僕を支えてくれている一番近い 身の回りの人たちを大切にしたい。

 

で、それを紐解いていくと、一番スケートで近いステファンがどんな結果を望んでいるのか?よりいい結果、演技内容、そして過程っていうところに結局行き着いたかなっていうところがあって、だからその自分にとって一番大切にしたいものが、スケートにとってはそこにあるかなと。

 

結果とか評価は、デリケートで難しい部分で。表現とかも、いい、悪いとか(点数、評価を)付けづらいじゃないですか。だから色々考えてたら、よくわからんくなってきて、とりあえず「自分の大切なものを大切にしよう」と思って、今はそんな感じです。

 

一言でまとめることができない言葉たちなのに、

すごくよく、今の昌磨の気持ちが理解できました。

 

同時に、「世界選手権で、私は昌磨にどういう結果を期待しているのか」というのも、考えてしまいます。

 

昌磨とステファンとデミさんとハマさんが、笑顔で顔をくしゃくしゃにしている光景が見たいのですが、(ジスラン、どこ行った😅)

それって、どういう状況なんだろう。今一度、考えてみたいと思います。

 

そして、先日読んだabsoluteskating.comの記事の最後に、

こんなステファンの言葉がありました。

Absolute Skating

But for me, points matter because I see how figure skating is evolving, and not just at the high level of competitions. The issue is that this kind of situation, where you don't understand what's going on, is happening at all levels - the rule changes, the judging, the concept of GOEs, the concept of components, or under rotations - and it kills our sport. I understand that I need to do what I want and how I want it, I need to believe in what I believe in and stick to my values, but if the system doesn't allow it...

ステファンは、メダルや順位や得点といった成功は、人生において一番重要なことではないと思っている。でも…

(意訳。正確ではありません)「得点に関する件は、単に高いレベルの競争が行われるというだけでなく、フィギュアスケートがどういう方向に進化していくのかを見極めるのに、重要だと考えている。問題なのは、何が起こっているのか理解できない状況が、あらゆるレベルで起こっていること。ルール変更や採点、GOEや構成の概念、アンダーローテーションといったことで。それは、私たちのスポーツをダメにしてしまう。自分のやりたいことをやりたいようにする必要があること、自分が信じるものを信じ、自分の価値観を貫くべきだと理解していますが、もしも、システムがそれを許してくれないのであれば…」

 

ステファンと昌磨は、自分たちが信じるものを信じ抜いて、

この世界選手権で、それを貫き通そうとしているように感じます。

そして、スケート競技に対して、何かを問おうとしているようにも感じます。

まさに、“同志”。

その先に何が待っているのか…私も、いろいろ考える、三月の夜であった。