オオナゾコナゾ

種子島ぴー/九州出身、東京在住。夫と二人暮らしです。旅行のこと、フィギュアスケートのこと、香港のことを中心に、右から左へ流せなかった大小の謎やアレコレを、毒も吐きながらつづります。

宇野昌磨『Boléro』。今日の演技は、やばすぎた。

スターズ・オン・アイス横浜公演に行ってきました。

 

 

宇野昌磨の『Boléro IV 〜New Breath〜』。

今日のは、やばい。やばすぎました。

 

あまりにもあまりにも素晴らしくて、

頭の中の残像を、できるだけ多く、できるだけ長く残したいと、いま必死です。

 

私が見た宇野昌磨というスケーターの演技の中で、

間違いなくナンバーワンの一つ。最高に完成された演技だったと思う。

 

 

思い起こすと、初めて昌磨×ステファンの『Boléro』を見たのも、ここ横浜アリーナでした。

 

あのときの演技は、粗削りだったけれど、生命力と野心にあふれ、とにかくゴージャスな『Boléro』。

天井から幾千ものダイヤモンドが降り注いでいるようでした。

 

今日の『Boléro』には、“凄み”があった。

湧き上がる感情と最高難度のジャンプが放つ“熱”を、

精緻で洗練された技術でコントロールしてみせた、王者のスケート。

 

「この演技に到達するまで練習できる人は、そうそういませんよ」と言うような。

 

まず、動き出した昌磨の眼が、イーグル(鷹)状態。

アイスショーなのに、アイスショーの表情ではなかった。

どの試合のときよりも、真剣な勝負師の眼をしていました。

 

最初のジャンプは4回転トゥ。

まっすぐできれいな軸と美しい着氷。高さもある。

全体でジャンプ5本、4回転トゥ2本、トリプルアクセル、3回転サルコウ2本を跳んだと思うのですが、試合のときよりも加点がつきそうなジャンプでした。

そもそも、アイスショーでやるジャンプ構成ではないけれど。

 

1本目の4回転トゥを跳んだ瞬間、なぜか涙腺がビヨーンとゆるんだ。

ダメだ、まだ泣いちゃいけない。演技が曇って見えなくなるぞ。

というか、なぜ泣く??

 

ステップのツイヅルとかチョクトーとか、

コレオシークエンスのイーグルとか見ていると、

北京オリンピックのときのこととか、

いろんな記憶がブワーッとよみがえってきて、感情を制御不能に。

しかも、あの当時よりも確実に巧いことは、素人目にも明らかだった。

 

体感1分の演技を食い入るように見つめたけれど、

“ほころび”は、一切なかった。

すごすぎるものを見せられて、余韻で金縛りに陥りそう。

 

「ジャンプと表現の両立というのもまた皆さんの前で見せられる瞬間があると思うので、その場で体現できたらなと思います」という、世界選手権後の言葉が浮かんできました。

 

これを見せるために、世界選手権の後も、休憩どころか猛練習したんじゃなかろうか。

 

体感1分の演技なのに、フィニッシュ20秒前から拍手がやまず。

会場総立ちのスタンディングオベーションでした。

 

見に行ってよかった。

見に行ってよかった。

 

世界選手権前と変わらず、宇野昌磨は世界最高峰の“選手”であり“スケーター”なんだけど、このあと、何か起こるのか?

なんの気配も感じない私であった。